予定変更
その日は休むはずだったが?
眠い眼をこすりながら、
勇者達は魔王領は魔王城下の町で目を覚ます。
「朝が来たか、すっかり魔族の町だってこと、
忘れて寝てたぜ!」
「みんなおはよう!」
「おはよう」
「おはよー」
「起きたか全員」
盗賊が確認すると、ドアをノックする音がした。
「皆さま、支度は終わったかしら?」
「えっなんだよサルシャ姫?
今日はお休みのはずだろ?」
「ええ、本来ならそうだったのですけど」
「また何か路線変更かい?お姫様」
盗賊は昨晩のこともあってか、少し強い口調で言い放った。
「皆さんが寝てる間にテロが起きまして、
これ以上、城下に留まっていては、
危険が及ぶと思っての事ですわ」
「よくもいう、いつの間にそんなことになったんだ?」
盗賊は、
「まだ一日はあるはずだろ?」
姫を信用していない。
「あーあ、せっかく休みだとおもったのにさ、ね僧侶?」
「そうですね魔法使いさん、少し残念です」
「さて、皆さまが落ち着いたところで、
今後の話もしたいので、
支度が出来ましたら、声を掛けて。
扉の前でまってますわ」
サルシャ姫は部屋から出た。
「せっかくだし待たせちまおうか?
痺れを切らせた顔もみてみたい!」
「悪いわよ勇者、相手は朝早くから支度してたようだし」
「そうですね、意地悪するのは良くないと思います」
「まったく、勝手な姫様だ」
一同は思い思いに支度を済ませると、
「待たせたな」
「早かったですわね、
では参りましょうか、四天王の間に」
早朝、テロがあったばかりの四天王の間に向かう。
道中、馬車の中にて。
「姫様は、魔界の事どれくらい詳しいんだ?」
「歴史書で読んだだけで、訪れたことはございませんわ」
「そうか、それにしても魔王は長いこと生きてるのに、
子供はサルシャ姫しかいないんだな、意外だな」
「そうですわね、疑問に思ったこともなかったですわ」
「姫様は結構ぬけてるのね」
「お母様は? どうしたんでしょう?」
「僧侶、あまり話したくないのだけど、いいかしら?」
「あ、はい、無理でしたら構いません」
サルシャ姫は何を考えているのだろう?
(読めない女だ)
盗賊はそっと目を向けて、そのまま背けると、
町の風景に目を止めた。
魔王城への街道、
大きなアーチをくぐって、
魔王城前に馬車は止まった。
「姫様のお通りだ!
皆、敬礼!」
びしっと決まった魔王軍の兵隊の列を入ると、
一行は四天王の間に通された。
「いかがでしたかしら?
四天王?
みな無事かしら?」
四天王カラバルバが代表して、
「はっ、みな息災です」
「ならよかった、では始めたいと思います」
「わたし達はこのあと、
魔界のゲートを通って、
魔界に向かうわけですけれど」
「すこし条件がありまして、
その条件を満たすには、
事前に決め事をしておく必要がありますの」
「条件? なんだいそれは?」
「魔界に赴くには一人ずつ、
それも別々の場所に転移しなければならない」
カラバルバは四天王を代表してそう言い放った。
「そんな、無茶でしょ?」
「そうです! 向こうは魔界ですよ?!」
「よくないな、そう来るとは」
「だからこそ、生き残るための決め事ですわ、
そして、皆が安全に合流できるようにするための、
さもなくば、我々に明日はありませんわ」
緊張の面持ちの一行に、
サルシャ姫は告げる。
姫に策はあるのか?




