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Legendary Saga Chronicle  作者: ポテトS
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 魔神が地面に激怒すると同時に、地震のような揺れにまた襲われた。


 「手助け、するには邪魔になるかなぁ」


 雷槍を手に、苦笑するレオン。

 アーサーも動く気配がない。


 「下手に手を出すと、巻き込まれるだろうな確実に」


 アーサーがそう言うと、カガリを見る。


 「助けに行くか?」


 「助けって、何なんですかね?

 レジナを見てるとよく分からなくなります」


 魔神が落ちた場所はかなりデカい窪みになっていた。

 クレーターと呼んでも差し支えはないだろう。

 魔神が、何故かこちらを見て嘲笑した。

 すわ攻撃か、と身構えるが違った。


 魔神は、レジナの名を口にしたのだ。


 「レジナ、そうか、貴女の名前はソレか」


 その言葉の意味を正しく理解出来たのは、アーサーだった。


 「あ、呪か」


 いま、魔神は名前を口にすることで、レジナを支配しようとした。

 仮にも、神と冠されているのだ。

 名前を知られれば、相手を道具すら使わず戦闘不能にすることも出来る。

 そんな説明を、アーサーはカガリとレオンにする。


 「えー、まずくないですか?」


 レオンが少し焦ったように言った。

 カガリも、だ。

 二人とも、レジナの敗北を想像してしまった。

 しかし、アーサーは余裕だった。

 レジナのことを欠片も、いや砂粒ほども心配していないようである。


 「レジナはアホだけど、こういう事の場数だけは踏んでるからな」


 カガリとレオンが、もう一度魔神を見る。

 嘲笑が一瞬で驚愕の表情に変わっていた。


 「何故?」


 戸惑う魔神の声を、ゆっくりと足場を作りながら降りてきたレジナは聞いた。


 「なんで、一番原始的な方法で縛れないかって?

 当然でしょ、あたしの本当の名前じゃないもん」


 その表情は、イタズラが成功した子供のそれである。


 「偽名、ですか」


 レオンがアーサーを見ながら言った。

 アーサーも頷く。


 「そういうこと」


 「レジナの本名って?」


 カガリが好奇心に負けて、訊ねてみる。


 「悪いが俺も知らないんだ」


 カガリが物凄く呆れた顔をした。


 「それじゃ、実質レジナ無敵じゃないですか」


 魔神の翼を狩りとって地に落とした。

 攻撃も、受ける前に避けてしまう。

 どちらが人外か、これではわからないではないか。


 「だよなぁ、でも、あいつは自分のことを弱いと思ってるんだよ。

 知ってるだろ?」


 知っている。

 レジナは、自分のことを過小評価し過ぎている。


 「本当なら、それこそ神ですら滅ぼせるかもしれない武器と技術を持っているのにな」

 

 三人の視線は、地上に降りてきた紅い髪の少女へ注がれる。

 ただ、レジナは背を向けているので、どんな表情かはわからない。

 何かを考えてるようだが。


 「ねえ、魔神さん? 魔神君?

 提案なんだけど、あたしのコレクションにならない?」


 薄ら寒い空気が流れた。


 「ほら、アホで馬鹿だった」


 アーサーは続けて、


 「というか、魔神って人型だけどコレクションしたら犯罪にならないんだろうか?」


 なんてことを呟く。

 いまさらだが、この人もかなり変だ。とカガリは思った。

 レジナとの付き合いがそれなりに長いらしいから、影響を受けているのかもしれない。


 「なんの話だ」


 魔神は、レジナの言葉の意味を計りかねて、首を傾げている。


 「また封印されるのも面白くないでしょ?

 それに、一応【魔神】の称号に縛られてはいるけど、君は【人間】に見えるんだよね~。

 面白いから、あたしの生きたコレクションになってよ」


 めちゃくちゃな誘いだった。

 魔神は怒ってもいいくらいだ。

 ちなみに、そんなレジナの瞳は血のような紅である。


 「ダメ、仕事がある」


 「世界を壊すお仕事?

 そんな小さいのに、仕事、ね。

 君を造った人はきっと社畜だろうね。

 自分の置かれた環境と、世界を恨んで卓袱台を引っくり返して自殺するために君を造ったってところかな」


 しかし、レジナの言葉には答えず魔神は、レジナの紅く変化した瞳を見つめる。


 「魔血紅玉(ルビー・アイ)を持つ人間は、初めてみた。

 なんで、最初から使わない?」


 脈絡なく言われて、しかしレジナは苦笑を返すしかない。


 「ごめんね、使い方がよくわからないんだ」


 「それがあれば、貴女は本物の神にも悪魔にもなれるのに。

 勿体ない」


 「なら、使えなくて良かった。

 あたし、神様や悪魔になりたいわけじゃないし」


 「最初から使ってれば、武器なんか使う必要もなかった」


 「違うよ。それは、違う。

 それじゃ、面白くない」


 「でも、たいがいの人間は神に憧れてなりたがる」


 「それは、他の人の話だよ。

 それよりも、お腹減らない?」


 レジナが言った時、魔神がふらついた。


 「そりゃ、そうなるよねぇ。

 元々の魔力は、強大でも使わなければバッテリーが上がる。

 使用期限が過ぎて、あれだけ派手に復活すれば残ってた魔力も使い果たすよねぇ。

 思ったより早くバテてくれた助かったよ。

 あたしは運が良い」


 運がないと言えば、結局殴れなかったことだろうか。

 レジナの予想としては、持っている武器や道具が全て使い物にならなくなるかな、くらいは考えていたのだが。


 今度は杖を出現させて、レジナは魔法を展開させた。


 「ま、しばらく眠っててよ」


 なんて言って、発動させる。

 地面に浮き出た魔法陣が回転して、魔神を包む。

 そして、パタリ、とまるで糸の切れた人形のように魔神は倒れたのだった。


 「あ、終わった」


 カガリそう呟いた。


 

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