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②認めない
わっきゃ、あった女は好まね。わっきゃ、あった女ば好がね。あいづは、所詮ナルスツサスだ。あの女は、謙虚ば知ね。自分ばすその気だら、なんでもでぎっど思っちゃあ。
なすて、あいづは、じゃいごば飛び出す、女優さなったんず。もう、あいだば、須々木乙彦のごどば、わんかも、なんも、思ってねえべ。悪魔、でねば、白痴だ。
すたばって、女は、すんぶあったもんだがな。よろごびも、信仰も、感謝も、苦悩も、狂乱も、憎悪も、愛撫も、みんな刹那だ。その場ばすだ。一時期すぎっど、つけらっとしちゃあ。めぐせえじゃ。それがきれがんだ人間性だ、とわーも、めえは思ってら。
わっきゃ科学者だ。人間の官能ば悉知すちゃあ。だばってわっきゃ、なも肉体万能論者でね。バザロフなんて、なんなんず。精神、信仰、人間の万事ば決する。わっきゃ、聖母受胎ばも、そっくど信ずちゃあ。
そのだめにかって、科学者どすてのわーが、破産すたって、かもね。わあわ、きれかんだ人間、まぶい人間でれば、――




