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リンジーという発光苔や、シェルパというこれまた発光するキノコ等がびっしりと一面を覆う、洞窟の中の広場で、二百人を越える数のゴブリンやコボルドに囲まれていた。
「ギザマラ、ドーヤッテココマデキタ!?」
「ナンダ、ゴイヅラ!?」
「ゴイヅラ、ヅヨイゾ!?」
「ソトノヤツラ、ミンナヤラレダ!?」
さすがに、たった四人にここまでの侵入を許すと、ゴブリン達も怯まずには居られない様だった。
「ナニ!?ソトニムカッタナカマハ、ミンナヤラレダノガ!?」
「ゾウダ!コイツラヅヨイ!」
「ショウメンカラハイッデキタ!!」
広場全体が、ゴブリン達の響動めきに埋め尽くされる。
これは、チャンスなんじゃないか!?
「聞け!ゴブリン達!」
このチャンスを逃す手はない。
そう思って、俺はゴブリン達を追い払う為に大声を放つ。
「外の入り口からここまで、俺達四人でお前達の仲間を倒して入ってきた!それは、お前達がホビットを人質に取っているという情報があったからだ!」
俺は、あえて自分達の強さを誇示するように告げ、これもゴブリン達のせいだと圧力をかけてみる。
すると。
「ほびっとヲヒドジヂ!?」
「ゾンナハナジ、キイデネェゾ!?」
「ごぼるどドモガ、ナンカヤッデンダロ!」
返ってきたのは、ゴブリン達のそんな反応だった。
どうやら、ゴブリンの大半はこの戦いの理由すら知らない様だ。
尚更、この戦いの不毛さが明らかとなる。
それなら。
「今、すぐそこまでホビットの軍が来ていて、お前達が人質を返さないのなら、軍が突撃を行うと言っていた!」
「ナニッ!?ドヅゲギダト!?」
「オ、オデタチハ、シラネェ!!」
「イヤダ!ジニダクナイ!!」
いい感じの反応だ!
リリー達は俺のやり取りを黙って見届けている。
「じゃあ、知らない、関係ないヤツは自分達の穴に帰れ!軍が来て捕まったらゴブリン族は間違いなく処刑だぞ!?」
「ウワーッ!ニゲローッ!!」
「ショケイ、ヤダーッ!!」
「オレタチャカンケイネェ!!」
上手くいった!
陽動作戦成功だ!
「だったらさっさと自分達の穴に帰れ!!!」
一際大きな声で、広場中の騒ぎに負けない様に言い放つ!
すると、ギャーギャー言いながら、左手前方の穴へ入っていくゴブリンが。
「やった!あそこの穴がゴブリン達の穴に繋がってるのね!?」
小声でリリーが耳打ちしてきた。
数人が逃げ出すと、特に結束していない亜人の群れは壊滅的に統率が乱れる。
あっという間に左手前方の横穴は、自分達の穴に戻ろうとするゴブリン達でごった返した。
「ハヤクシロ!」「オマエラジャマダ!」「オレザマガサキダ!」などと言う騒ぎ声を聞きながら。
「ああ。どうやらそうらしいな。でも……」
そこまでリリーに合わせて小声で答えたが、ここから声を上げて尚もゴブリン達に告げた。
「外からここまでに居たお前達の仲間も、俺達はワザワザ殺さずに倒してきた!穴に帰るなら仲間も連れていけ!そして、外に居る仲間達も、戦争を止めて自分達の穴に帰るように伝えろ!今は軍は本気で攻めたりはしないから、外に居る仲間もまだ沢山生きているはずだ!ホビットの軍が本気で攻めたら、必ず皆殺しになるからな!解ったら、さっさと動け!!」
トドメの言葉だった。
「ナニッ!?ナカマタチハマダイキテルノカ!?」
俺の言葉に反応したゴブリン達は、自分達の武器を放って、入り口の方へも散り散りに走り去る。
ゴブリンと言えど、友や親兄弟などが生きていると知れば、放っておけないのだろう。
彼らは弱肉強食の摂理に忠実で、死んでしまった者はどうしようもない、どうにもならないと片付けてしまうが、生きているとなれば、やはり何かしらの感情を抱くのだ。
言葉を話し、感情を抱く人類の一種族なのだ。
ところが、そこにコボルドが口を挟んだ。
「マデ!ゴブリンドモ!ワレラこぼるどノキキダ!ドウメイシタナラトモニタタカエ!!」
「コボルド!残念だ!せっかく築き上げてきた共存の道を、こんな形で破棄する事になるとはな!」
ここでコボルドにゴブリン達の士気を上げさせてはならない。
咄嗟にそう言って、コボルドも殲滅するくらいの意志がホビット側にあることを示した。
「ナッ!?モトハトイエバ、キサマラほびっとガシクンダコトダロ!?」
広場に居た別のコボルドが、そう吐き捨てると、あからさまに慌てふためく。
それと同時に、ゴブリン達にも動揺が走った。
コボルドの言葉にゴブリンが傾けば、この広場の左手前方のゴブリンの穴から、再び止めどなくゴブリン達が溢れ、キリの無い戦いになってしまう。
それを避けたい俺は、最後に言い放ったコボルドを睨みながら、頭をフル回転させていた。




