81,Q今日の客足は?A死ぬほど多いです!
昨日は楽しかったな~。
モクラン先生の土地神口座が終わった後、アヤメさんが突撃してきたんだよね。
そして「モクランばっかりずるいわよ!!」と叫んでいた。
モクランさん、すごい深いため息をついてた。
で、その後はアヤメさんとモクランさんと3人でお祭り回ったんだ。
魔物に襲撃されたよ……☆
アヤメさんが瞬殺してくれたよ……☆
なんで……なんでガルダ内で襲われるんだよ……って嘆いていたらモクランさんが飴細工の羊を買ってくれた。
可愛かったしおいしかったです。
その後コガネちゃんとジェードさんと合流して、アヤメさんとモクランさんは見回りに行った。
アヤメさんを動かすのが大変だった。
私がお願いしたらすぐに動いてくれたけど。
お祭り回ってる時のコガネちゃんが可愛くてさ~
ジェードさんと私の手を引っ張って「あれが見たいこれが見たい」って……
ただの天使だった。
ジェードさんもかなり和んでた。
「主、看板出したよ」
「うん。ありがと」
噂をすれば……とは違うか。
コガネちゃんが看板出したら戻ってくるのは決定事項だったし。
「アオイちゃん、コガネちゃん、今日は忙しくなると思うから頑張ってね。私は作業部屋で色々作ってるから」
「はーい」
ヒエンさんがリビングから作業部屋に移動しつつそんなことを言っていた。
……忙しく、なる気がする。
私の勘もそう告げている。
「主、忙しくなりそう?」
「うん。なると思う」
「分かった」
「……なんで忙しいのかな?」
「昨日のお祭りではしゃぎ過ぎた人たちが薬買いに来るんじゃない?」
「……あー……なるほど」
つまり今日は筋肉痛の薬と酔い覚ましと胃薬が売れまくりますな。
ヒエンさんが色々作ると言っていたのもこれらだろう。
普段はあんまり作り置きしないからね。
「さて、コガネちゃん。10分後くらいから怒涛の来客ラッシュの予感です」
「……今のうちに水飲んでくる」
「いってらっしゃい」
コガネちゃんが若干青ざめつつ奥に引っ込んだ。
まあ、私が言う怒涛ってマジの怒涛だからね。
過去2回くらいしかないからね。怒涛。
あれは地獄のよう……というか地獄だった。
死ぬかと思ったよ……
「主、水いる?」
「あー……こぼしそう」
「カウンターの中に……」
「こぼした時の事を考えると……」
「……置かない方がいいかな」
「うん」
そんな会話をしていたら、開店から15分が過ぎていたわけでして。
……はい。来客がありました。
ここから地獄の始まりだぁ☆
死にそう。軽く死ねそう。
今何時?え?10時?まだ1時間しか経ってないの?ウソダロオイ
「アオイちゃーん、ちょっと」
「はーい!コガネちゃん、いい?」
「うん」
ヒエンさんに呼ばれて作業部屋に入る。
作業部屋の中には色々な道具や材料が広げられていた。
ヒエンさんはそんな部屋の中を忙しそうに動き回りながら、私に1個のカゴを差し出してきた。
む。結構重いぞ。
「ヒエンさん、これは?」
「それ、お届けしなくちゃいけないのよ。私は今手が離せないし、アオイちゃん行ってきてくれないかしら。行先と商品はメモに書いてあるわ」
「分かった~。……時間かかるかもしれないけど……」
「いいわよ。それから、回収したお金で買い物もしてきてもらえるかしら?それもメモが入ってるわ」
「はーい。いってきます!」
「気を付けてね」
カゴを抱えて店に戻り、コガネちゃんに声をかける。
「コガネちゃん、ちょっと配達行ってきます!」
「うん、気を付けて!」
忙しそうに動き回るコガネちゃん。
……早く帰って来よう。
そのためにも……
「モエギー!」
「チュン」
「配達、手伝って」
「チュン」
「ピィッピ!」
「うん、サクラもお願い」
小鳥2羽、連れていきますか。
この2羽がいるといないとでは4時間くらいの差が生まれる……と、私は思っている。
とりあえず、今回の作戦を伝えておかないとね。
「サクラ、モエギ。今回はそれぞれ別の場所を探してもらうよ。モエギは最初の場所、サクラは次の場所、モエギは最初の店を見つけたら私に教えて。その後3番目の場所を探して。……伝わった?」
「ピ!」「チュン」
この説明で分かるとは……
さすが私のお供たち。
そのくらい察知能力高くないと私の言語理解できない時とかあるもんね!
「それじゃ、お願い!」
「ピィ!」「チュン」
ヒエンさんのメモを確認したサクラとモエギは、一瞬で見えなくなるほど高くまで舞い上がった。
私もメモを見ながら歩き出す。
探すのは3番目に行くべき場所と最初の場所だ。
3番目の場所は見つけておけば後が楽だし、最初の場所には少しでも近づいておきたい。
「チュン」
「早いな!?」
「チュン、チュンチュン」
「そっか。じゃあ、案内お願い」
「チュン」
モエギが思ったよりもずっと早く戻ってきた。
普段からこの辺りで遊んでいるから探しやすいそうだ。
……これ、割と早く終わるかもな。
1件目のお宅から出ると同時にサクラが舞い降りてきて、肩に止まっていたモエギが飛び立った。
おお……優秀……
「ピィッ!」
「ありがとう、案内して」
「ピ!」
サクラを小走りで追いかけながらメモを確認して次の商品をすぐ出せるようにしておく。
これで少しは時間短縮できるだろ。
「サクラ、もう少し早くても大丈夫だよ」
「ピィ!」
声をかけると、サクラがスピードを上げた。
うん。大丈夫。
こっちの世界来てから運動しまくってますからね!
「ピッ!」
「ここか……行こう」
「ピィ!」
軽く息を整えてから中に入る。
中でやり取りを済ませて外に出ると、すぐにモエギが飛んでくる。
サクラは先ほど中で確認していた次の場所を探して飛び立った。
それを繰り返して早2時間。
ようやくお届け物が終わった。
……疲れた。あとは買い物だね。
お腹空いたし早く終わらせて帰ろう。
「もうひと頑張り、お願いね」
「ピィ!」「チュン」
サクラとモエギは頼もしく鳴いて空に舞い上がった。
私も探そう。
そういえば、お届け物をした家はほとんどがお年寄りしか住んでいなかった。
エキナセアでは有料だけど定期的なお薬の配達をしていて、今日は配達日だったのだ。
私はおばあちゃんたちから孫のように可愛がってもらえ、クッキーとか貰った。
帰ったら食べよう。
「チュン」
「見つけた?」
「チュン」
「よし、案内お願い」
「チュン」
考え事をしている間にモエギが戻ってきた。
早いね~。さすが。
それじゃ、お買い物開始だ。
買い物メモを制覇した!
大体1時間くらいで終わったかな。
買ったものはおそらく薬の材料だ。
もう何なのか、何に使うのか分からないものとかも大量に買った。
10時にエキナセアを出て、配達で2時間、買い物で1時間かかったから今は午後1時。
お腹空いたな。
エキナセアの客足は落ち着いたころだろうから、帰ったらお昼ご飯食べよう。




