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82,Q賑やかですね。Aなんでしょうね?

 今日もいつも通り9時に店を開け、カウンターの内側に座ってコガネちゃんとおしゃべりだ。

 薬師試験の勉強?後でな!!

 ……それにしても、何だか今日は街が賑やかだ。

 なんでだろ?


「ピッ!ピィッピ!」

「え?いいけど……」

「ピッ!」

「あっ!ちょっ!モ、モエギ!」

「チュン」


 サクラが街を見てくる!と言って飛び出したので、慌ててモエギを送り出す。

 ……なんか、モエギも慣れたな……名前読んだだけで行ってくれたし……


「コガネちゃん、これ何の騒ぎか分かる?」

「ドラゴン襲撃とかじゃないことしか分からない」

「だよね~」


 悪い騒ぎではないと思うのだが、一体何なのか……


「祭り……じゃないよね」

「祭りならもっと騒がしいし……」

「こないだ終わったもんね」


 収穫祭は終わったばかりで、次の祭りと言ったら春だ。


「有名人でも来たとか?」

「有名人……例えば?」

「……強いパーティー?」

「クリソベリル……」


 大陸最強パーティーが国内で暮らしているので、ギルドの有名人が来た、というのも違いそうだ。

 だとすると……なんだ?


「ピピッ!」

「チュン」


 コガネちゃんと首を傾げていると、サクラとモエギが帰ってきた。

 何か分かったかな?


「お帰りー。どうだった?」

「ピッピィ!ピーッピピ!」

「落ち着け、落ち着けって」

「ピッピー!!」

「ごめん、モエギ説明お願い」


 サクラが使い物にならない。

 どんだけ興奮してんの。何があったよ。


「チュン、チュッチュン(勇者さんパーティーが来てるらしいですよ)」

「……え?マジで?」

「主、勇者って……」

「「残念勇者さん?」」


 コガネちゃんと声が重なった。

 正直、存在を忘れてた。

 そういえば居たな、そんな人……。

 隣を見ると、コガネちゃんも遠い目をしていた。

 2人そろって遠い目をしていると、チリリン♪と音をたてて扉が開く。


「こんにちは」


 小さな声で言いながら入ってきたのは、クロちゃんとシロちゃんだ。


「あ、いらっしゃ~い」

「いらっしゃい」


 コガネちゃんの声が柔らかい。

 常連さんへの好き嫌いがはっきりしているコガネちゃんだが、この2人のことはかなり好きなようだ。

 そんなことを考えていると、シロちゃんがカウンターに駆け寄ってきた。

 可愛いな。


「アオイさん!コガネさん!勇者がこの国に来たのって知ってますか!?」

「そうらしいね~」

「私たち、ガルダまで一緒に来たんです!」

「……え?」


 えーっと、つまり……どゆこと?

 私が混乱していると、クロちゃんが説明してくれた。


「私たち少し前まで第2大陸にいたんですけど、ガルダに来る途中に勇者さんに会いまして、ガルダまで一緒に来たんです」

「へえ~……って、流しそうになったけどそれってすごいことだよね!?」

「そうだね。クロちゃん、詳しく」


 コガネちゃんが身を乗り出している。

 珍しい。やっぱり気になるんだね。


「えーっと、勇者さんたちは第2大陸からガルダを目指してたらしくて、道中でポーションが切れたついでに魔物の大通りに突っ込んじゃってて、私とシロで道案内を……」


 ……勇者なにやってんの!?

 それじゃ本当に残念勇者だよ!?

 安全地帯から安全地帯に移動するときはアイテムボックスいっぱいに回復薬入れなきゃだめだよ!

 私よく準備を怠って教会に送られてたもん!


「残念勇者……」

「コガネちゃん、しー」

「あはは……でもいい人たちでしたよ」


 クロちゃんがそう言うと、シロちゃんが嬉しそうに話し始めた。


「私たちのこと、獣人だからって差別しなかったし、獣人差別をなくす努力をするって言ってくれました」


 シロちゃんがふわふわ笑う。

 ああ……これが癒しか……


「シロは、人が嘘をつくとそれが分かるんです」

「勇者さんたちは嘘ついてなかったです」

「そっか~。残念でもいい人なんだね」

「主、しー」


 コガネちゃんが人差し指を口に当てて注意してくる。

 可愛い。というかコガネちゃん、さっき自分でも言ってたよね?


「エキナセアのこと教えたので、近々来るかもしれませんよ」

「え、マジで?」

「はい」


 マジか~。勇者さん来るのか~。

 ちょっと楽しみかもしれない。


「あ、クロちゃん、時間が」

「あ、ほんとだ。アオイさん、ポーション6本と毒消し2本、それと化膿止め1つ下さい」

「はーい。毒消し、私が作った半額のがあるけど……」

「そっちで!」

「はーい」


 結構買うな~。勇者さんパーティーにあげたって言ってたけど……それにしても量が多い気がする。

 もしかしてこれからクエストだったりするのかな?


「シロクロちゃんはこれからクエスト?」

「はい。洞窟に現れるアンデットの討伐です」

「洞窟……危なくない?」

「私たちは夜目が利きますから」


 そっか。獣人だから暗くても平気なのか。

 え~、いいな。私全然夜目利かないんだよね。


「はい、これ」

「ありがとうございます」

「それじゃ、私たちはこれで」

「うん。バイバイ」


 癒しが帰っていった。

 可愛かったな~。

 それにしても洞窟か~……

 行ったことないな。行く気もないけど。


「主、化膿止め在庫わずか」

「はーい。ヒエンさんに言ってくるね」

「うん」


 今日は作業部屋に居るんだっけ?

 とりあえず覗いてみるか。


「ヒエンさーん?」

「あら、どうしたのアオイちゃん」

「化膿止めがなくなりそうです」

「分かったわ。作っておくわね」

「お願いしまーす」


 ヒエンさんは作業部屋で読書中だった。

 なんか古い本だったな……多分難しい奴だ。


「店主居た?」

「うん。読書中だった」

「そっか。そういえばさ、なんで勇者さんはガルダに来たんだろ?」

「……言われてみれば……何で?」


 ガルダに何か特別な用事でもあるのだろうか。

 ゲームだったら途中の町全部行くのが普通だけど、実際はそんなことないだろうし……


「修行のため……的な」

「だったら普通はイツァムナーに行くと思うよ」

「いつぁ……?」

「イツァムナー。第2大陸にある、4国からなる同盟の名前だよ」

「へえ~……何でそこがいいの?」

「4国の間をかなり自由に行き来できるから、いろんな技術が身につくんだ」

「なるほど……」


 私が納得していると、コガネちゃんはリビングから1冊の本を持ってきた。

 ……あ、<世界とは何か・地理編>だ。


「ほら、ここ。この、トル、カウイル、キニチ・アハウ、カブルって4国」

「わあ、くっついてるね」


 コガネちゃんが指をさしている4つの国は、かなりくっついていた。


「カブルがイツァムナー同盟諸国のトップ」

「あ、それで真ん中なの?」

「うん」


 カブル、と書かれたくには、ほかの3つの国に囲まれていた。

 なんか、すごく安全そうだな。

 ……というか、何だろうこれ。

 汚れかと思ったけど書かれてるよな?


「コガネちゃん、この細い線なに?」

「それは道だよ」

「……道?」

「うん。イツァムナーの国と国の間は道が整備されてるの」


 ……すげぇ。

 イツァムナー、なんかすごいことしてた。

 道の整備って、結構大変なんだよ?

 まえにレヨンさんが言ってた。


「……話は戻るがコガネちゃん」

「なに?」

「勇者さんパーティー、ちょっと前まで第2大陸に居たって言ってた気が……」

「……そういえば」


 つまり勇者さんたちはイツァムナーに居た可能性が高い。

 ……なんでガルダに来たんだ?

 うーん……分からん。


 その後コガネちゃんと色々考えてはみたものの、納得のいく答えは出てこなかった。

 謎は深まるばかりです……

あけましておめでとうごさいます。

今年もゆるゆる頑張りますので、暇つぶしにでも見てやってください。

ちなみに私の今年の目標は「エキナセア完結」です。

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