35,Q無事ですか?Aなんとか……
「お嬢ちゃん、ほらこっちおいで」
「大丈夫。怖くないよ〜」
こえーよ!!普通に怖いよ!!
というかさっきの会話聞いてるからね?
上玉とか、そこら辺の会話聞こえてるからね?
心の中でそんな事を叫び、どうにか逃げられないか考えてながら自分を囲むオッサンたちを見る。
「ほら、美味しいお菓子だよ〜」
「迷子かな?一緒に保護者を探してあげようか?」
分かりやすく誘拐犯のセリフ言ってやがるぜ……
これ、完全に私のこと小さい子供だと思ってるな。
そんなに幼く見えるかな?
「お嬢ちゃん、こっちにおいでって」
「おいでおいで」
幼く見えるか〜。そっか〜。
でも残念。17です。そんな手には乗りません。
「ほら、来いって言ってんだろ!」
うわあ、キレた。
え、怒りの沸点低くね?
ともあれ不味いぞ〜掴みかかって来てるぞ〜
「うひゃあっ」
頭を庇いつつしゃがんで掴みかかって来たオッサンを回避する。が、このあとどうしよう。
とりあえず走ってオッサン包囲網から脱出する。
「あっ、まてこら!」
待つかボケ〜!待つわけ無いだろ!
口汚く(内心で)罵りつつ走る。
そこそこの体力とそこそこの足の速さのお陰でどうにか捕まらずに走り続けられたのだが、とうとうやってしまった。
入った路地の先が行き止まりだったのだ。
……アーメン……
「フヒヒッもう逃げられないぜ」
「大人しくしな。そうすりゃ痛くはしねえよ」
ああ、最後にヒエンさん特製バターロールが食べたかったな……
私に向かって伸ばされる腕を見ながらそんなことを考える。
美味しんだよな〜ヒエンさんが焼くパン。
「ちょっと。この子に手、出さないでくれない?」
唐突に若い声が響く。
……おや?この声は。
私と誘拐犯たちの間に立ってオッサンの手を掴むこの人は。
「なんだ、テメエ!」
「この子の保護者だよ」
「保護者?ガキじゃねえか!」
私より幼く見えて私より年上のハーフエルフさん。
モクランさんが現れた。
「わあ、モクランさんだ」
「君、なんでこんなに面倒事に巻き込まれるの?」
「それは私が聞きたい質問ですね」
とりあえず安心。
モクランさんと合流出来たと言うことは……
ビュオッ
風を切る音がして、上からアヤメさんが降ってきた。
……デジャヴ。
「ふぅん。コイツらがアオイちゃんに手を出そうとしたの?こんな汚い手で純白のように汚れを知らないアオイちゃんに触れようとしたの?あら、そう。万死に値するわね」
今日は静かな怒り方だった為、余計恐かった。
それはとりあえず置いといて、今回も鬼と化したアヤメさんにより誘拐犯たちはフルボッコにされ、見るも無残な姿になった。
「あぁアオイちゃん。恐かったわね。大丈夫だった?あの変態たちに触られてない?」
「アヤメさ〜ん。触られてはないよ〜包囲はされたけど」
「なんてこと……こんな汚い虫にアオイちゃんが囲まれたなんて……ちょっと殴ってくるわ」
「アヤメ。いい加減止めな」
「なぜ!?あと1人20発くらい殴ってもいいじゃない!?」
「それより、宿に戻って湯浴みでもしたら?この子と一緒に」
「アオイちゃんとお風呂……そうね。そうしましょう」
言いながら、アヤメさんは私を抱き上げる。
類に言うお姫様抱っこというやつだ。
……うん。やっぱりこれ怖い。
私がアヤメさんにしがみつくと、アヤメさんは歩き始めた。
気絶した誘拐犯たちを踏みながら。
その後宿に戻って(というか案内されて)コガネ君と合流し、何があったのかを説明して、部屋に入る。
部屋は2人部屋が私とコガネ君、モクランさんとジェードさん、1人部屋がアヤメさんだ。
コガネ君がここだけは譲らなかったらしい。
とりあえず、疲れたでござります……




