30,Q6人ですか?A9人でした。
お店を閉める。
あ、閉店時間だからですよ?
ちゃんとお仕事してましたよ?
「主〜?」
「あ、はーい。今行くよ〜」
これからヒエンさんに先代勇者さんパーティーの事を教えて貰うのだ。
楽しみ。すごく楽しみ。
ウキウキしながらドアノブの札をclosedにして、看板をしまって店の入口に鍵をかけたらリビングに行く。
コガネちゃんとヒエンさんはもう座っていた。
「さて、どこから話そうかしらね」
「どこからでもどうぞ!」
「わくわく」
「コガネちゃんそれ口で言うのね……まあ、とりあえずパーティーの人数からにしましょうか」
「6人だっけ?」
「いいえ。9人よ」
……おや?コガネちゃんの話と違うぞ?
コガネちゃんを見るとコガネちゃんはコガネちゃんで首を傾げている。
「でも、白キツネには6人で伝わっていてもおかしくないかしらね」
「どゆこと?」
「目立つのが6人、サポート系が3人なのよ。先代勇者パーティー」
つまり目立つ前線のみが白キツネに伝わったってことかな?
「それで、その9人の勇者さんたちってどんな人?」
「分からないわ」
「……へ?」
「分からないのよ。書物が全然ないの」
「え?なんにも?なんにもないの?」
「ほとんどね。その理由も話しておこうかしら」
ヒエンさんはそこで一旦水を飲んで話し始めた。
「先代勇者が魔王を倒した直後には、色んな人が勇者たちの事を本に書いたわ。でも、勇者が魔王を討伐してから五年後、摩訶不思議な事が起こってね。
消えたのよ。勇者の事を書いた本が全て。
ほんの2ヶ月ほどで、世界中の勇者に関する本が消えた。エルフたちの記憶からも、勇者は消えた。かつて会った事があるはずなのに、全くその姿が分からなくなった。
いやはや、不思議よね〜魔王の怨念とかかしらね〜」
本当に不思議。
消えたってどういう事だよ。
隣でコガネちゃんもキョトンとしてるよ。
「あれ?じゃあ、ヒエンさんはなんで先代勇者さんパーティーの人数とか知ってるの?」
「ほんの少しだけ、書物が残っていたの。私は昔王宮図書館で読んだわ」
「王宮……」
「まあ、それは置いといて。残っていた勇者の記録は本当に少しだから、名前も分からないの」
「名前も?じゃあむしろ何が分かってるの?」
「異名とその由来」
異名。それ即ち二つ名。
わりと気になるかも知れない。
厨二心がくすぐられるね!
「伝わっている勇者たちの異名は、
神速の聖剣、桜花の姫君、錬金王、不死鳥、闇の支配者、精霊女王、烈火の錬磨士、月影の烈風、神考の軍師」
……すげぇ!すげぇ厨二病感!!
というかまって!1人おかしい人いない?
「ヒエンさん、1人魔王さん側の人がいる気がする」
「闇の支配者、は、ちょっと勇者じゃないわよね。私も初めて見た時ツッコんだわ」
「ちなみになんでそんな異名に……?」
「なんか、闇属性の魔法が異常に強い人だったらしいわよ」
「つくづく魔王さんパーティーだな!?」
「店主、由来、由来の説明求む」
「ああはいはい。
神速の聖剣は、まあ、速い聖剣使いって感じね。ちなみにこの人がリーダーだったらしいわ。
桜花の姫君は、桜を模したムチ使い。この人がいなかったら桜は世界に知られてなかったわね。
錬金王は、錬金術を確立させた人。普通はサポート役のはずなのに前線で戦ってたらしいわ。
不死鳥は、勇者パーティーのヒーラー。回復力が強すぎて不死鳥って呼ばれてたんですって。
闇の支配者は、さっき言った通り。
精霊女王は、召喚術の天才ね。不可能と言われていた精霊の召喚を成し遂げたから、この異名。
烈火の錬磨士は、鍛冶職人だったらしいわ。剣とか以外にも色々作りまくってたって伝わってるけど。
月影の烈風は、分かりやすく言って忍者ね。のちに忍術と呼ばれる術を編み出した人。
神考の軍師は、まあ、そのまんま軍師。ただ考える事が神がかってたらしいわよ」
なるほど。さすがヒエンさん。分かりやすい。
それにしても勇者さんパーティーに忍者いたのか……
すごいな。
「それにしてもヒエンさん、よく覚えるね。9人分の異名と由来」
「若い頃って、そういうのに憧れるじゃない?」
「ヒエンさん私と同い年じゃなかった?」
「あら、言ってなかった?私、今年で21よ」
「ふぇ!?えっ!?でも、高2だったよね……?」
「全力でサバ読んだのよ」
「ええ!!」
なんか勇者さんパーティーの事よりずっと衝撃的な真実だ……
私の中で先代勇者さんパーティーが一気にかすれた。
ヒエンさんによる驚きのカミングアウトが脳内占拠した。
「ヒエンさん……私、なんか今日の出来事全部記憶から吹き飛んだ気がするよ……」
「あらそう?もしかしてエルフたちもなにか衝撃的すぎる事を聞かされて勇者パーティーの記憶を消されたのかしら」
「それはないと思う……」
「そうよね〜私もないと思うわ」
なら言わないで……
「店主、錬金術について詳しく……」
「あら、コガネちゃん気になるの?」
「うん。すごく興味がある」
「なら、私じゃなくて専門家に聞いた方がいいわ。今度紹介してあげる」
「ありがとう。」
「ヒエンさんは分かんないの?」
「錬金術って、扱うのが難しいのよ。極小数の人しか使えないの。私は使えないものは覚えない主義だから」
「なるほど、合理的」
とりあえず、コガネちゃんのわくわくした顔が見れたので満足だ。
すごい可愛い。
目がキラキラしてる。
今日の分で残る記憶はこのコガネちゃんのわくわく顔とヒエンさんの年齢だな。
説明回でした。
ヒエンさんが久しぶりに出てきたかと思ったらめっちゃ喋って行きました。
ヒエンさん、使いやすいです。
顔広いし、わりとなんでも知ってるし。




