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26,Qその子たちは誰ですか?Aいつぞやの獣人少女たちです。 2

 シロちゃんと連れ立ってエキナセアに戻る。


「ただいま〜コガネちゃん」

「おかえり主。……その子は?」

「えっとね、うちで待ち合わせすることになった」


 我ながら説明になっていない。

 伝わるわけないよね。


「なら奥を使った方がいいよ。ここはお客さん来るから気が休まらない」


 あれ?伝わってる。

 さすがはコガネちゃんだ。

 この感じだとシロちゃんが獣人だってことにも気付いているのだろう。


「ありがとコガネちゃん。店番お願いしていい?」

「もちろん」


 お礼を言ってからカウンターを通って奥の住居スペースに入る。

 シロちゃんは後ろからついてきて、扉が閉まるとホッと一息。

 そして被っていたフードを脱いだ。


 現れた髪はクリーム色でふわふわとしていて、背中まであるので結構長い。

 特徴的なのは、髪に半分埋もれている、クルリと曲がった角だ。

 角の上には羊を思わせる耳がある。

 というか、角もガッツリ羊なんだけどね。

 シロちゃん羊だったんだね。


「シロちゃん、お茶でいい?」

「あ、はい。ありがとうございます」


 お茶をいれて、シロちゃんを促して座る。

 2人でお茶を飲みながら、気になっていた事を聞いてみた。


「シロちゃんとクロちゃんって、どういう関係なの?血は繋がってない、よね?」

「はい。血の繋がりはないです。でも、クロちゃんはお姉ちゃんみたいな感じです」

「それは見ててもなんとなく分かるな〜」

「えへへ、クロちゃんはしっかりしてて頼りになるから、小さい頃からずっと頼ってばっかりです」

「小さい頃から一緒なんだ?」

「はい。一番古い記憶にも、クロちゃん居ます」

「そうなのか〜。名前が似てるのも、なんか関係あるの?」

「ああ、私たちは自分で自分に名前を付けたんです。だから、シロとクロ」


 自分で自分に……なんか深いわけがありそうだからそこら辺は突っ込まないでおこ。


「店員さんは……」

「アオイでいいよ〜」

「じゃあ、アオイさんは、この国の人じゃないんですか?」

「うん。ヒエンさんに拾われたの」

「キツネさんと一緒に、ですか?」

「いや、コガネちゃんはここに来てから……あれ?シロちゃん、コガネちゃんがキツネだって気付いてた?」

「あ、はい。獣人は、獣の気配に敏感なんです」


 へぇーそうなのか。

 でもなんか納得出来るな。


「あ、ねえねえ。獣人って、動物と話せる?」

「話せ、はしないですかね。お互いの言いたいことは伝わりますけど、それも自分と同じ種族だけです」

「種族?」

「私だったら羊、クロちゃんだったら猫です」

「なるほど。その括りか」


 というか、やっぱりクロちゃんは猫だったのか。

 いやあ、いいね。ネコミミ美少女。


 そんな感じでたわいもないお喋りを続けた。

 クロちゃんとモクランさんが店に現れたのは、私たちが戻ってきてから2時間後だった。


「ごめんね、シロ。待たせちゃって。店員さんも、ありがとうございました」

「いえいえ〜クロちゃんお疲れ様」

「クロちゃ〜ん。どうだった?」

「それがね、なんか異常に報酬が多くって……」


 クロちゃんはそこでモクランさんをチラッと見る。

 モクランさんはその目線に気付いて、


「……なに?言っとくけど俺は何にもしてないから」


 と、先手を打った。

 クロちゃんはモクランさんがなにかしたと思っていたらしく、その言葉にビクッとした。


「俺が何にもしなくても、どうせ君たちのこと見てた人は沢山いたし。報酬は高くなってたよ。人を守って戦ってたんだから」


 相変わらず優しいのかなんなのか分からないモクランさん。

 いや、優しいんだろうけどね?


「それに、堕ちを食い止めたんだからその額が妥当だよ」

「……堕ち?」

「知らない?」

「恥ずかしながら」

「じゃあ、後で説明する」


 うん。モクランさん優しいわ。

 フツーに優しいわ。

 ただ、手が先に出ます。そしてデコピンも、頭を叩くのもすごく痛いです。


 その後、シロちゃんとクロちゃんを見送り、モクランおにーさんの用語講座が始まる。


「堕ちっていうのは、文字通り『堕ちた』生物の事をいう言葉。生物っていうより生命、かな」

「堕ちた……エデンへ?」

「なに言ってんの?」

「なんでもないです」

「ふうん。そう。……で、『堕ちた』の定義だけど、これは、『魂が闇側に行く』ことを言うんだ」

「……なんですか?それは」

「知らないよ。詳しく認識してる人なんて、この国にいるのかすら怪しいんだよ。この定義。ただ、堕ちたって言えばこういう事だって言われてるんだ」


 うーむ。堕天って認識でいいのかな?


「それで、堕ちるとどうなるんですか?」

「理性を失って、ひたすら光側の生物を襲い続ける。あとは、魔力が異常に強くなるかな」

「光側……?」

「人間とか、エルフとか、獣人とか。とりあえず、こっちの世界で暮らしてる生物全部」

「バンパイアはどうなるんですか?」

「あれは半分闇側半分光側」

「へぇ……ところでこっちの世界って?」

「世界は2つに分かれてるんだよ。光側を人界、闇側を魔界って呼んでる」

「おお。魔界か。そうか」

「……君、常識的な事ほとんど知らないのに魔界は知ってるんだね」

「あは、あははは……」


 笑ってごまかす。ごまかしきれてないけど。

 目を逸らしながら笑っていると、モクランさんが立つ気配がする。


「それじゃ、俺はそろそろ帰ろうかな」

「あ、そうですか?」

「うん。まだ例のトラから聞き出せてない事が結構あるからね。さっさと帰んないとアヤメが何するか分かんないし」


 ……それは心配だ。

 アヤメさんの怖さを実感したばかりの私はすぐに納得し、モクランさんを見送った。


 それにしても、波乱の多そうなヒエンさん不在週間である。

 ……またドラゴン来たりはしないよな……?

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