表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/148

20,Qその人は誰ですか?Aクリソベリルの人です。

〜ちょっとした変更点〜

Q&Aの前に話数付けました。

 初級薬師免許を取得してから2日。

 今日はヒエンさんに言われて私服で1階に降りた。


「ヒエンさーん、おはよー」

「おはよう」

「主、おはよう」

「おや、今日はコガネ君なの?」


 リビングにはヒエンさんと、なぜかコガネ君がいた。

 なんでだろ。

 どうでもいいけどコガネ君、髪飾り手に持ってるよ。

 さすがにその姿じゃつけられなかったか。


「今日はこっちの姿でいるようにって、店主に言われた」

「へぇ〜そうなんだ」


 コガネ君も少しばかり指定を受けたらしい。

 今日はなにかあるようだ。


「さてアオイちゃん。朝ごはんを食べ終わったら出かける準備をしてちょうだい」

「今日はどこか行くの?」

「コガネ君とアオイちゃんはね。私は店番をしてるわ」


 確かにヒエンさんの服装はいつも通りエキナセアの制服だ。


「じゃあ、2人でおつかい?」

「いいえ、2人には別々に行ってもらうわ」

「まて、それは危険だ。おもに主が」

「そうだね。私が危険だね」

「大丈夫よ。1人で行くわけじゃないから」


 どういう事だろう。

 コガネ君、分身の術とか使えるのかな。


「さあ、アオイちゃんも朝ごはんを食べ終わった事だし、お店に行きましょう」


 朝ごはんのクロワッサン(ヒエンさん作)を食べ終えると、即座にヒエンさんが促してくる。

 言いながらさっさとお店に行ってしまったヒエンさんを慌てて追いかける。

 すると、扉がノックされる。

 現在時刻は8時。

 開店まであと1時間ほどあるのだが、ヒエンさんは躊躇いなく扉を開けた。


「いらっしゃい。さすがね。時間ぴったりよ」

「そうじゃなきゃ怒るだろうが。お前」


 入って来たのは、もはや(私の中では)お馴染みのクリソベリルの方々だった。


「アオイちゃーん!コガネちゃーん!」

「あ、アヤメさん、おはよーございます」

「おはよう。ふふふ。今日も可愛いわね。……あら、アオイちゃんだけ?コガネちゃんは?」

「ここにいる」

「……え?私の言うコガネちゃんは真っ白な髪のアオイちゃんより小柄な女の子よ?」

「アヤメさん、アヤメさん、この子がコガネなんですよ」


 アヤメさんは混乱しているようだが、真実なのだ。

 アヤメさんはその後3秒ほど固まり、コガネがキツネであることを思い出したらしい。

 納得の声をあげた。


「ほらアヤメ。今日はお前そっちじゃないだろ」


 楽しくおしゃべりしていたら、アヤメさんが回収されていった。

 ついでに、コガネ君も回収されていった。

 その代わりなのか、1人の男の子がこちらに向かって歩いてくる。


「……あんたがアオイ?」

「あ、はい」


 ……上から目線だな〜。微妙なる身長差があるから物理的にも。


「そう。それじゃ、行くよ」

「……え?」

「詳しくは歩きながら話すから」

「あ、はい」


 くだらんことを考えていたら、置いていかれそうになった。

 慌てて後ろをついて行く。


 店を出ると、大通りに向かって歩いていく。

 大通りになんかあるのかな?

 のんびり考えていたら、またまた置いていかれそうになる。急に歩くスピードが上がったのだ。


「ほら、早く!」

「えー?急に?」

「あの路面列車に乗るよ!」

「……路面列車?」


 前を歩く(今は走る)男の子の指差す方をみると、確かにあった。路面列車。

 えっ、すごい。


 静かに感動しながら列車に乗り込む。

 なるほどね。街の中にあった道路の凹みは列車の為のものだったのか。


「ふう。間に合った」

「よかったですね〜」


 かなりギリギリだったようだ。

 私たちが乗り込んですぐに、列車は出発した。

 乗ったはいいが、私は目的地を知らない。

 どこに行くのかな〜


「ねえ」

「はい?」

「とりあえず目的地とか説明するから落ち着いて座っててくれない?」


 ウキウキワクワクしながら窓の外を眺めていたら、呆れたように言われてしまった。

 なので大人しく席に座る。


「まず、自己紹介ね。俺はモクラン。今日1日、あんたの案内と護衛をやらされることになった」


 あくまでやらされる、らしい。

 自分の意思ではないのだと主張したいのだろう。


「で、目的地だけど、北区だからちょっと時間かかるよ」

「……北区?」

「分かんない?この国を4分割してる区切りのことだけど」

「……恥ずかしながら」


 あー、これは呆れられるかな?

 それか馬鹿にされるかな?


「まあ、仕方ないんじゃない?」


 ……おや?

 なにか予想と違うぞ?


「あんた、ハーブさんに拾われたんでしょ?拾われたっていう表現を使うってことは、この国に身の置き場がないってことになるじゃん。そうなるとこの国の人間じゃないってことになって、その中で薬師免許とか取ってたなら余計に自分の周りのこと覚えるので精一杯でしょ」


 おやおやおやおや?

 なんだか今ので印象がガラリと変わったぞ?

 確かに合ってますね。

 私この国の人間じゃないです。はい。

 確かに身の置き場なかったです。


「……なに?」


 驚いてガン見してたら睨まれた。

 ……なんだろう、ツン……ツン……ツンデレ……?


「ありがとう、ございます」

「はあ?別にお礼言われることなんてなにもしてないけど?」


 よし。ツンデレって事にしよう。

 それがいい。そうしよう。


「……まあいいや。区切りについて説明するよ」

「はい。お願いします」

「まず、この国が円形なのは知ってる?」

「あ、はい。なんとなく」

「じゃあ大丈夫。完璧な円形のこの国は、4つの区で分かれてんの。で、そのうち国の入り口がある、1番人通りの多い区が南区。エキナセアのある区ね。

 今俺たちが向かってるのは北区。南区とは場所が正反対で、その区にある店の用途も正反対」

「と、言いますと?」

「南区の店は、冒険者とか、街に住んでない人用のものを取り扱う店が多くて、北区はガルダに住んでる人用の店がほとんど。というか、隠れ家みたいな店が多いかな」


 なるほど。逆だ。

 考えてみれば冒険者って1つの街に留まらないよね。普通は。クリソベリルがこの街を拠点にしてるから忘れそうになるけど。


「今から行くのも、知ってる人が案内しないと絶対気付かないような店だよ」

「なんのお店ですか?」

「それは行ってからのお楽しみ」


 ……この人、印象が細かく変わり過ぎてなにがなんだか分かんなくなってきた。

 第一印象がどんなだったかも分かんなくなったぞ。


「ところでさ、あんた、旅人かなにか?」

「なんでですか?」

「黒髪に黒眼なんて、この国どころか大陸中探してもいないと思うから。どっから来たのかな〜って」

「どっから、ですか……うーん……」


 どっからって、言われましても。

 日本だなんて答えられないでござります。


「遠く、ですかね〜」

「なに、その曖昧な感じは」

「実際どれくらいの距離があるのかが分からなくて」

「方角とかも?」

「分かんないです」


 これ、怪しまれたりしないかな。

 あまりにも分からない事が多すぎる。


「そっか。よく分かんないけど、なんか事情があるんでしょ。とりあえず、大変だったね」


 ……この人分かんない!

 絶対に思考回路が人と違う!!


「……なに?俺の顔になんかついてる?」

「イエ、ナンデモナイデス」


 とりあえず、悪い人じゃない事はわかった。

 話しかければちゃんと応じてくれるし、列車の窓から見えるものの事を尋ねると、丁寧に説明してくれた。

 ……なんというか、少なくとも「男の子」ではないっぽい。

 なんか申し訳ない。

 見た目は若いってか幼い感じなんだけどな。


 そんなこんなで列車に揺られ、どんくらいかな、2時間くらいかな。

 まあ、そんくらいの時間揺られ続けまして。

 北区に到着した。みたいです。


 北区は南区に比べて静かで、なんというか、閑静な住宅街、みたいな雰囲気だ。

 例えるならそう!

 京都と大阪みたいな感じ。

 どちらにもそれぞれいいところがありますから、どちらを好きになるかは人それぞれ……

 そんな感じ。


 そんな北区をモクランさんの案内で進み、たどり着いたのは小さな建物。

 ……これは確かに、案内無しでは分からないだろうな。


 扉を開けたモクランさんの後ろにくっついて中に入ると、大小様々、壁掛け、卓上、持ち歩き用などなど、数え切れないほどに置いてある。

 ここは、時計屋さんのようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ