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包囲網

≪業火の魔術師≫一行が立会人探しを行っている。

その理由は冒険者の間で密かに噂になっていた。


「おい、聞いたか。」


とある町の酒場で男が尋ねる。


「ああ、《獅子皇帝》の奴らが≪無敗の防壁≫に挑むらしい。」


尋ねられた男は現在陰で話題になっている話を聞いて苦笑する。


「マジかよ。自殺行為だろう。勝ったとしても元《散歩に行こう》の一団を敵に回すことになるぞ。」


それを聞いていた隣の男が話に入ってきた。

元《散歩に行こう》のメンバーの仲が良いのは周囲の事実であるため、《散歩に行こう》の古株である≪無敗の防壁≫が倒されれば下手をすればすべての元《散歩に行こう》メンバーを敵に回すことになる可能性があることは周知されている。


「ああ。でも、最近あいつらは活躍しすぎて調子に乗っているからな。そもそもガードナーだったとはいえ、生ける伝説に挑む時点で頭おかしいからな。」


酒場に入ってきた男が酒を頼んでからそう言って自分の頭を指さす。


「ああ、魔獣討伐で手柄を挙げたからって大きな顔しやがってよ。若造が!」


話しかけられた男が若くして実績を積み上げた《獅子皇帝》の連中を批判する。


「ああ。なんでも、自分たちは新世代の冒険者だから昔の奴らよりは強いと思っているらしい。」


入ってきたばかりの男がそう言ってそれに便乗した。

その後、十数分間。2人の男達は《獅子皇帝》の面々を批判する。


「全く。新世代だからって偉そうに・・・ で、新世代ってなんで強いんだ?」


そんな2人の男達の会話も、最終的には「新世代って何?」という疑問に行き着いた。

2人はその後、視線を交わした後で隣にいた男を見た。

2人に視線を向けられた男は苦笑いを浮かべながら話を始めた。


「お前らそんなことも知らずにあんなに騒いでたのかよ・・・ 新世代ってのはな。簡単に言えば二つの力を使いこなす連中のことさ。一つは彼の大魔法使い。オールド=ヴィルター考案の最新魔法術式によって魔法を以前よりも効率的に仕えるからだろう。なんでも従来の3倍の出力が出るだけじゃなく、使いこなせば以前の魔法術式よりも高速で起動できるらしい。」


「おいおい。マジかよ。それは恐ろしいな。」


隣の男の話を聞いて話しかけられた男が驚きで目を見開いた。


「それだけじゃね~ぜ。新世代の連中は闘氣法っていう妙な術も使うらしい。」


「闘氣法?なんだそれ?」


入ってきた男が隣の男が自信満々に言った言葉を聞き返す。


「・・・なんでも、魔力とは別の闘気なるモノを操って身体能力を向上させる技らしい。」


隣の男はそれを聞かれると少しだけ間をおいてから答える。

実際、男も噂で知っているだけで実際に見たことはないのだった。


「ふ~ん。そんなの誰が考えたんだ?」


「さぁ?知らんな。でも、もう何年も前から広まっているらしい。場所によっては高い授業料を払えば教えてくれるそうだ。ま、ガセ情報も多いらしいからどこで習えるのかは不明だけどな。」」


話しかけられた男の質問に隣にいた男は正直に答えることにした。


「ふ~ん。そうなんだ。ところでお前らよ・・・ 『彼の伝説に挑む不届き者を討伐せよ』ってクエストが出ているらしいんだがどうする?」


入ってきた男はそう言ってクエストの書かれた依頼書を男達に見せる。


「おいおい、お前・・・ 生ける伝説に挑もうっていう勇者の邪魔しちゃダメだろう。」


「だよなぁ~。」


隣にいた男の言葉を話しかけられた男が肯定する。


「いや待て、でもよ。差出人は《散歩倶楽部》とか《ダンジョンに行こう》や《竜の背を歩く》だぜ?」


入ってきた男はそう言って差出人の欄に指を這わせる。

そこには確かに、数々の有名な冒険者の名前が記載されていた。


「おいおいマジかよ。下手すりゃこの人達に恩を売ることになるんじゃないのか?」


「ああ、報酬もかなりの高額だ。しかも、討伐しなくても行動を邪魔するだけでも報酬が出る。」


「よし行くか。」


「魔王を倒すまでには障害があるのは普通のことだよな。」


こうして、冒険者による《獅子皇帝》包囲網は徐々に形になりつつあるのだった。

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