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第九章 白鳥の歌 場面一 アウグストゥス(五)

 実際、そうせざるを得なかった。建国暦七六七年(紀元十四年)、七十六歳になっていたアウグストゥスは、ティベリウスと連名で国勢調査を実施した。これも当然、「業績録」―――アウグストゥスはこの記録をそう呼んでいた―――に記録されることになる。この国勢調査は、アウグストゥスの統治期間では三度目の、そして恐らくは最後のものになるはずだ。どれほど老いようと、アウグストゥスは国事に関しては執念ともいえる熱心さで、しかも表面上は淡々と取り組んだ。極めて現実的で実際的なこの養父は、ローマ市民権を持つ成人男子の調査であるこの「国勢調査」を、アントニウスに勝利し、最高権力者となった二年後に早くも実施している。四十二年前に行われたこのときの国勢調査から、成人男子の数は八十七万四千人増加し、四九三万七千人に達していた。無論この中には、女、子供、奴隷及び「非ローマ人」は含まれない。彼らを合わせると、属州民も含めたローマ内の総人口は四五五〇万を越えると概算されている。首都ローマの人口はおよそ八十万人だ。これほどの規模の大国が、この世界に出現したこと自体、ティベリウスならずとも驚嘆すべきことだった。そしてこの四五五〇万人の頂点に立っているのが、一人の小柄な老人なのだった。

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