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追 章  2-3/11 ビル・シャレットとセイリース

「ちょっと待て。俺達のファイルを、時間をかけて検証してるのか? 

 リンだけじゃなく、俺達のも?」


 セイリースは、疑いながら聞いて来た。


「そうだ。

 ただ、二人のは、もう終わっている、心配するな。

 お前達の尋問はないだろう。

 なぜ聞く? 何か気になることでもあるのか?」


「いや、そうじゃない。ちょっと気になってな。

 ……また同じ、かと思って」


 アンリードは、ほっとしたように言った。


「そうか? もし、何かあるなら聞くぞ」


 セイリースは冷たく言った。

 アンリードは、後ろに引き下がりながら、


「いや、遠慮するよ。……悪かった。もう邪魔はしない。

 ……リンは、もうここには来れないのか?」


 恐る恐る聞いた。


「どうかな? リン次第だ。心配か?」


「心配というか、リンって、やっぱり俺達と同じ方法だったんだろ? 

 また同じ方法になるのか?

 その、取り調べの……」


 アンリードは、言い淀みながら、でも、続けた。


「それが? ……取り調べに何も違いはない。

 正直に話しているうちは、特に何もしない。

 お前達が抵抗するから、こちらも手段を選んでいられなかった。

 リンについても変わりない。同じだ」


「リンは、まだ子どもだったんじゃないか? 

 子どもっていうか、まだ。なのに同じようにしたのか? 俺達と?」


「なぜ、そんなことを気にする? 自分のことで手一杯だろう?」


「そうだが、俺達は男だし、それなりに覚悟だってある。

 だけど、リンはどう見たって、あれに耐えられるとは思えない。俺達だって……」


「お前達が、なんだって?」


「俺だって、ショックだった。こんなことされるのかって、だから……」


 アンリードにとって、リンはいかにもかよわく映っていた。

 だから、……やっぱり心配だった。


「お前達がどう思っても、リンはお前達より、ずっと強い。考え方も意志もな。

 お前達に心配されるほど、弱くはないし、反対に迷惑だろう。

 リンの足元にも及ばないよ」


 セイリースは、笑いながら言い捨てた。

 それには、アンリードも言葉が継げなかった。


 そして、リンは二人の捜査官に連行されて行った。



 その後、アンリードとヘイクワースは、しばらく作業にかかれなかった。

 それどころか、ショックを受けていた。


 二人とも、椅子に座ったままブツブツとつぶやいていた。

 二人の席は、隣同士。


 セイリースの言葉が、二人の中に渦を巻いていた。


「リンの足元にも及ばない? だと」


「……そう言えば、聞いたことがある」

 そう言いだしたのは、ヘイクワースだった。


「なんだよ、それ。何を聞いたんだよ」

 アンリードが、ヘイクワースの方に向き直り、問い詰めるように聞いて来た。


「いや、その時はリンだと思わなかった。

 だけど、今思えば、あれはリンだったんだ」


「なんだよ。もったいぶって、早く言えよ」


 アンリードは痺れを切らした。

 立ち上がりヘイクワースの胸倉を掴みがかった。


「わ、分かったから、その手を放せよ。苦しいだろう」

「すまん。悪気はない」

 アンリードは、ヘイクワースから手を放して、


「いや、いいけど。でも、……本当にリンかどうかは、分からないからな?」

 ヘイクワースは、そう断ってから、声を落としてゆっくり話し出した。

 


 内容は、まだ、ヘイクワースがここに連行され、尋問を受けている時だった。


 ヘイクワースは、尋問に対して、最初は素直に応じていたが、

 だんだんと言葉が出てこなくなった。


 と、いうより、言えなかった。

 都合が悪くなると話したくない。

 その状態にいて、とうとう、自白剤を使われた。


 ただ、何とか切り抜けられるだろうと、安易に考えていたら強烈にきつかった。


 正直、頑張ってみたつもりだったが、結果は、たった三日しか耐えられなかった。

 それを、こんな風に聞いた。


「これ位で話すなら、とっとと話したら苦しまずにすんだのにな。

 しかし、これしか頑張れないとは、所詮は小物なのかもな? 

 すごい奴いは、こんなに簡単には話さないもんじゃないか?」


 そう言われて、引き下がれずに、こう言ったんだ。


「そんなことあるもんか。こんなの耐えられるわけないだろ。たとえどんな奴でも」


「そうか? 一ヶ月以上頑張ったのがいたがな。あれには、こっちも予定が狂ったよ。

 結局、ここにある手段のほとんどを使う羽目になったからな」

 ヘイクワースは、口ごもりながら話した。


「それなら、俺も言われた。俺は一週間頑張った。だけど、俺より頑張ったのがいたって。

 ……正直、本当かどうか分からなかった。

 それが、誰かは教えてくれなかったが、お前は聞いたのか?」


「ああ、そしたら答えは、ずっと年下の女だってな。

 名前や、コードネームまでは聞いてない。

 でも、俺達より年下の女で、実力もある。っていう条件を満たすのは、リンしかいないだろ? 

 しかも、あの強気。どう考えても、リンだと思う」


 しばらく黙ったまま考えていたアンリードは、こう言った。


「ヘイクワース。お前、元の名前ってある? それとも、……」


「あるよ。よく分かったな? でも、お前もだろ? アンリード?」

「ああ。……だったら、リンにもあるよな? やっぱり」


 ヘイクワースの言葉に、アンリードは冷たく返した。


「だろうな? でも、俺は前の名前なんて忘れたよ。使ったところで、いいことない」

「分かってるよ。俺だってそうだ。でも、リンって、本当にスピースだったんだな?」


 そんなことを二人でこそこそ話していた。


 それを、チームリーダーのフランが、

「そろそろ、仕事してもらわないと困るんだけど。それとも、報告しようか?」


 それには、二人とも、慌ててそれぞれの作業に取り掛かった。




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