ド平均の魔法適性
お手伝いが終わり、私は人間魔法課の研究室の見学をさせてもらっている。
見学にはエリーザさんとジョセフさんもついてきてくれた。
人間魔法課は総合魔法部門の課の中でも特に大規模らしく、大掛かりな施設が沢山ある。
「次は演習場ですね。」
続けて案内されたのは、屋内の大きな演習場だった。ちなみに案内役の人は、先程エリーザさんにグチグチ言われていた人だ。彼はここの副課長らしい。
そしてその演習場には的やら人が乗れそうな台やら人が入れそうなカプセルやらが並んでいた。
「実際に魔法を使ってもらって、そのときの様子を観察するんですよ。」
なるほど、"人間魔法課"と言うだけあって、実際に誰かに魔法を使って貰って実験するようだ。
「そういえば、前に被験者が足りないとか言っていたけど、それは解決したの?」
エリーザさんが副課長さんに尋ねる。
「それがまだ見つかっていなくて…」
「まあピッタリ平均すぎて逆にいないものね、"魔力量が80~100で火属性の、傾向が中立の人"なんて。」
「「え?」」
私とジョセフさんが同時に声を出す。
「ん?どうかしたの?」
エリーザさんに聞かれる。
「あ、えっと…私、大体当てはまってます…」
「え!?魔力量はいくつですか?」
「85です」
「属性は?」
「火属性です」
「傾向は?」
「日によって変わりますが、基本は中立です。」
「日によってと言うのは…?」
「実はシェルシェーレさんは、傾向が日単位で変わるという珍しい方でして…」
ジョセフさんが補足をしてくれる。
「なるほど…しかし、いずれにせよ問題なさそうですね!シェルシェーレさん、もしよろしければ被験者をお願いできないでしょうか?仕事の調整はこちらで行いますので!」
「あ、はい私で良ければ…」
「ありがとうございます!」
その後もう少し相談して、後日実験内容なども含めて詳しく話すことになった。
突然だったけど、人間魔法課の様子が見られてちょうど良さそう。
――――――
「それでは、今日は本当にありがとうございました。」
「いえ、私も見学させていただけて良かったです。」
「次からはもっと予算申請の仕事は計画的にやりなさいよ?」
「はい、肝に銘じておきます…」
「では、私たちはこれで。」
こうして解散になり、私は寮の部屋へと戻っていった。
「ふ~疲れた!」
私はとりあえずベッドにダイブする。仮にも貴族の令嬢としてどうかと思うけど、誰かが見ている訳でもないし問題ないでしょ。
コンコンコンコンッ!
すると、何かを叩く音が聞こえてきた。扉ではなく窓からだ。
「ん…?」
窓の外を見ると、ふちのところに白い伝書バトがいた。
ガチャ!
窓を開けてあげると、ハトは飛ばずにピョンピョン跳ねながら部屋の中に入ってきた。
「誰からだろ……あ!」
ハトの足ある手紙の内容を確認すると、送り主は婚約破棄されて以来会っていなかった友人だった。




