種明かし
「お前の見立てとしては、この魔法陣はどういう効果があったんだ?」
「恐らく、これは2段構えの攻撃魔法だと思います。」
「具体的には?」
「まず、この魔法を発動すると前方に火の球が放出されます。次にこの火球が対象にヒットすると、今度は対象の横に魔法陣が展開され、さらに火球を放って攻撃するような仕組みのようです。」
私は簡単に絵を描きながら説明する。
「ほう?」
エリオット様が満足気に笑いながら言う。
「それじゃあそういうことで報告しとくぞ。」
エリオット様がジョセフさんに目配せすると、ジョセフさんは大きく頷く。
やっぱりそうか。
「それで、私のテストの結果はどうでしたか?」
「「!?」」
エリオット様とジョセフさんは同時に驚いた表情で私の顔を見る。どうやら当たりみたい。
そう、この指輪は実際の押収品じゃなくて、私がどのくらいできるのかをテストするために用意されたものだ。不審な男のバッグから見つかったというのも恐らく信ぴょう性をあげるための作り話だろう。
「なんだよ、気づいてたのか…」
「いつから気がついていたのですか…?」
ジョセフさんに問われる。
「確信したのはつい先程、エリオット様が私の意見だけ聞いてさっさと報告しに行こうとしていたことです。普通、新米研究員見習いの言葉を鵜呑みにはしませんよね?」
「…怪しく思い始めたのは?」
「初めに違和感を感じたのは、ジョセフさんが私1人で作業を進めるように言い残してどこかへ行ってしまったときです。今回の指輪に使われていた畜陣石は誰でも使っていいものですが、押収される魔導具の中には魔導具取り扱い免許を持ち、2週間以上の実技研修を終えた人が1人はいないと扱ってはいけないようなものもありますから。私は、免許は持っていますがまだ研修中なので、1人で未知の魔導具は触らせないでしょう。」
「う、私がいてはシェルシェーレさんがどう動くか分かりづらいと思って用事があるフリをしたのですが、やはりちょっと強引すぎましたか…」
ジョセフさんが少し落ち込む。
「あとは、エリオット様が畜陣石を初めて聞いたかのように話している割に、1度使うとその魔法陣は消えてしまうということを何故か知っていたからです。それに、よくよく考えれば毎回魔導具の解析を頼む度に研究員の説明を聞いているはずのエリオット様が、畜陣石なんて初歩的な材料を知らないとは考えづらいですからね。」
「俺もミスってたのか…」
エリオット様がちょっと悔しそうな顔をする。
「それで、どうでしたか?」
私は改めて聞き直す。
「魔法陣の効果はシェルシェーレさんが仰っていたので正解です。」
「魔導具の解析の仕方もスムーズだったし、やっちゃいけないこともよく分かってたと思うぞ。」
「そういえば、私を見張っているのがエリオット様で大丈夫だったんですか?研究員じゃなくて騎士じゃないですか。」
「第7騎士団の魔導具解析依頼のときはほぼ必ずエリオットさんが来ていて、毎回私たちの仕事を見てらっしゃるので問題ありませんよ。今回のは正式なテストというよりどれくらいシェルシェーレさんに任せても大丈夫なのか、その目安が知りたかっただけですから。」
「な、俺って信用されてるだろ?」
エリオット様がドヤ顔で言う。
「あーはいそうですね。」
「もうちょっとなんか無いのか?なあジョセフ?」
「そういえば、捜査課の課長が他の課の人手が足りないから応援に来てくれと言っていましたよ。もしよろしければシェルシェーレさんも行きませんか?」
「はい、ぜひ!」
他の課の様子が見られる…!
「なあ、2人とも俺の事無視するなって!!」




