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不本意なお出かけ

そんなこんなで、エリオット様に半ば無理やり誘われ私たちは城下町のレストラン街までやってきた。


「なあ、ここら辺の店ってどちらかと言えば庶民向けのところだけどいいのか?」

「あれ、もっと高いところのほうが良かったですか?」

「いや、俺はこだわりねえからいいけど、貴族のお嬢様ってこう…"一流のシェフが作った料理しか食べませんわ!"みたいな感じかと…」

「確かにそんな感じの方も結構いますね。でも平民向けのレストランでもある程度のところなら正直あんまり貴族向けのと変わらないですし…それにお腹に入ったら等しく養分になるだけなんですから、そんなにこだわり過ぎるのも不毛じゃないですか?」

「…ブッ!…養分ってお前…!」


う、また笑われちゃった。


「と、とにかく行きましょう!」


――――――


そこから私たちはエリオット様が行きたいと言ったステーキのお店に入り、食事を取っていた。


「ここ、安いし美味しくていいですね」

「気に入って貰えて良かったよ」


エリオット様はなんだかご機嫌だ。


「あ!エリオット!」


するとそこへ、店員さんと思しき女性がエリオット様の元に近寄って来た。


「セレナ!なんでここに?」

「なんでって、ここでバイト始めたって言ったじゃない!もう、忘れんぼなんだからっ!」


そう言いながら女性はニコニコ顔でエリオット様のほっぺをつんつんしている。この人は多分エリオット様の"女の子"のうちの1人だろうな。


「悪(わり)ぃ悪(わり)ぃ、そうだったな。」

「…ところで、誰その娘(こ)?」


セレナと呼ばれた女性が私の方を見ながら言う。ニコニコ顔のままのはずなのに、何となく怖さを感じる。


「こいつはシェリーって言って貴族んとこの娘さんだ。俺とは仕事仲間だな。仲良くしてやってくれよ。」

「へぇ…よろしくね、シェリーちゃん!」

「よ、よろしくお願いします。」

「あ、シェリーちゃん!ちょっと耳貸してくれる?」

「え、はい…」


セレナさんが顔を近づけてきたので、私は耳を傾ける。


「…ちょっとエリオットに構ってもらったからって調子乗るなよ、ブス。」ボソッ


!?


「ね!」

「は、はあ…」


セレナさんは耳打ちをやめ、エリオット様にも聞こえるようにまたニコニコ顔で言った。いや、"ね!"じゃないでしょ、怖いよ。


「じゃあ、今私忙しいからまたね、エリオット、シェリーちゃん!」

「…おう!」

「はい」


そういうとセレナさんは私達に聞こえないくらいの声で"アバズレが…"と呟いてから去っていった。


…まあ私は地獄耳だからがっつり聞こえてるんですけどね。


「なあ、セレナに何言われたんだ?」

「…単に"よろしくね"みたいなことを言われただけですよ。」

「…そうか…」


え、そのちょっと含みのある"そうか…"はどういう意味ですか。何か心当たりでもあるんですか。


「あの、もし差し支えなければお二人の関係をお聞きしても…?」

「あの娘(こ)はあれだな、一夜の…」

「なるほどわかりました。」

「そのはずだったんだが、ちょっとそれ以降も付きまとわれててな…」

「え、ストーカーですか?それなら警備隊か何かに相談した方が…」

「いや、どちらかと言うと俺は相談される側なんだけどな?騎士だし。」

「そういえばそうでした。」

「なんにせよ、犯罪まがいなことはしてこねえし、そのうち向こうも飽きるだろ。」


大体ストーカーっていつまでたっても、犯罪を犯してでも諦めないって聞くけどな…


「…刺されたりしないように気をつけてくださいね?」

「お、なんだ?心配してくれるのか?」

「いえ、誰だろうと知人が刺されて死ぬのは寝覚めが悪いので。」

「へいへい、心配してる訳じゃねぇって言いてえんだろ?わかってるって。」

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