表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

六枚目 あいつらです、代行様

 今年一発目の投稿。

全体的に暴走回。

 魔界屈指の変態共の巣窟が、目の前で轟々と紅蓮の炎と黒煙を噴き上げている。


 火の粉が舞い、怒号と悲鳴が響き渡る。


「隊長! 第三研究施設消火出来ません!」

「情けない声出すんじゃねぇ! 貴様それでも軍人か!」


 奴らは消防隊の筈だが。


「待って下さい所長! 自爆装置は、自爆装置だけは!」

「いいや、限界だ! 押すね!」

「取り押さえろぉおオ!」


 咄嗟に反応した。

 かまわん、ころしてでもうばいとれ!


 手の平サイズのコンパクトな立方体にドクロマークが描かれた赤いボタン。―――奴の発言が本当なら自爆装置に―――。

 今にも拳を振り下ろさんとしていた汚れた白衣の男が『ドゴォ!』『ボグゥ!』と研究員+α(冥土長と有志の消防隊員数名)の手によって、袋だたきになった。


 危なかった、本当に危なかった。この状況で浚に暴走するとはあれかな、馬鹿なのかな。

 流石変態、常人には理解出来ない事をあっさりやってのける!


 やっぱり関わりたくねー。


「帰りたい、切実に」

「後で仕事が山の様に増えますが?」

「我慢する。俺は出来る男だからな」

「パジャマ姿でカッコつけられても」

「お前が無理矢理引きずって来たんだっつーのぉ!」


 着替える暇くらい寄越せッつーの!

 火災現場でパジャマ姿とか『夜寝ている間に火事になって慌てて飛び出て来た』みたいになってんじゃねーか。

 いや、飛び出たんだけどさ。おもいっきり。


 冥土長とそんな風にやり取りをしていると、ヨロヨロになったハゲ………


 ハゲ?(多分)だと思うのがやってきた。


 具体的に描写したら、側頭部から後頭部にかけて生存していた毛髪がチリチリになり。

 額から頭頂部は包帯を奇妙な形に巻かれた男。


 遠目でぱっと見たらパンツ被った変態に見えるんじゃなかろうか。


「今、謂われなき誹謗中傷を受けたような………

 ああ、代行様。本日は随分とかわいらしい御姿ですね」

「ヤレ(殺れ)」

「隠し様の無い殺意!? 対応が酷過ぎませんか!」


 あっ ちょっ!

 ヤメローヤメテクレー!


「何で学習せんのかね。言葉遣いには気をつけるべきだ」

「失言が多いのが問題でありますな」


 何をしに来たんだか、ついカッとなってしまった。だが、後悔はしない選択だった。








「んで、今回の原因は何だ?」


 ずらっと正座した第三研究施設に所属する研究員、十五人。

 これに先程、袋だたきになって簀巻きにされた所長で全員だ。

 八割が眼鏡をかけている、実にどうでもいいな。



「事の発端は所長が持ち込んだとある文献でした」


 『副長』と書かれた名札をつけた煤だらけの眼鏡一号が『くいっくいっ』と眼鏡を弄りながら答える。

 無性に腹が立ったのでレンズごと眼潰しを食らわす。


 副長、轟沈。


「そんで?」


 めがー、めがーと喚くのを放置して何も無かったかのように続きを促す。


「そ、その文献には、こう記されていました『オナラには火が着く………』と」


 ぶちん、という音が頭のなかで聞こえた。

 キレちまったよぉ、完全になぁ。


「このっ……… 極め尽けの馬鹿がぁ!!」


 汚らしいド畜生である所長の脇腹に、えぐるようなトーキックを連打連打。


「落ち着いて下さいませ、代行様」

「これが落ち着いていられるか冥土長!」「まだ、トドメをさしてはいけません」


 ぴたり、と周囲の音が止まった。

 『まだ』って………

後でヤル気満々やないですか。


「話しの流れは理解しましたが、この者達が確実にそれだけで終わる筈はありません」


 そうですね?

 冥土長に視線を向けられ、蛇に睨まれた蛙の様に縮こまる一同。


 そして、語られた事実に俺の認識がまだ甘かった事が思い知らされた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ