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24話 月明かりのディスティニー1 冷泉 太刀人

今私は冷泉 太刀人さまからのお誘いを受けて冷泉家の別荘、月光亭に向かっている。

【月を愛でる宴】にご招待いただいたのだ。

冷泉家の車で運転手さんが乗せていってくれるとのこと。

「特に用意するものとかはない。気軽な格好でいい。」


一応綺麗めの服を着ていくけど、和服とか持ってないし着付けも出来ないからお着物は無理なんだけど、着物で行くべきだったのだろうかとかいう不安がよぎった。

でも、、気軽な格好でいい。と言われたし。


事の始まりは何日か前。

冷泉家の使いだという人がドキLOVE城にやってきて、和紙を巻いたものを渡された。

インビテーションカード?招待状?らしきもの。

『月が綺麗な満月の時が来るので、特に美しい月を見ることのできる我が冷泉家の月光亭に招待したく

この文をしたためている。


お前と美しい月を愛でることが出来るのを楽しみにしている。

ぜひ、時間を作って遊びに来て欲しい。


冷泉 太刀人』


と達筆な毛筆でしたためてあった。


インビテーションカードというより、和紙にりゅうりゅうと書き連ねてあり、これって、招待状?ともいうべきもの?

いや、(ふみ)というものなのか。

とても風情がある。


特に仕事の依頼もなく、暇だった私に冷泉家からの招待状が届いた時点で断れるわけもなく

しかもそれを持ってきたのが冷泉家からの使者の方で

「お返事ももらってくるように申し使っておりますゆえ。」

とラウンジ前に立って帰ろうとしないので


これってすぐにお返事をしたためて返さなくてはいけないとかそういうものなのだろうか?

今すぐにってことかな。平安時代の文みたいなもの?

わ、どうしよう。

聖也に相談とかも出来ないし。仕事行ってるし今日はロケで撮影してるし、携帯もメールも見れるか分からないからって言ってたんだった。


この招待状、

別に二人きりとかって事じゃなくて

冷泉家のお月見会みたいなものでたくさん人が来るのかな?

差出してきた当人が今はまたどこかロケに出かけていて、今はドキLOVE城に居ない。だからお使いの人がこれを持ってきたってわけで。


どうしよう。なんかちょっと面倒な気もするし、楽しそうな気もする。

お月見用の服とかわからないのだけれど、後で用意すればなんとかなりそうだし、

問題はこれを断ることが出来るかというのと参加したほうがいいのかとどうかということ。


私が和紙を広げて眺めて思案していると

ちょうど、通りかかった帝様が

「あれ?それ、太刀人から?だよね。」

と言って近寄ってきて


「なになに。エンジェルちゃん難しい顔して眺めてるけど。見せてもらってもいい?」


私は黙ってその書面を渡したのだが


「ああ、これね。月光亭。冷泉家のお月見用の別荘。俺も行った事あるよ。

凄く綺麗だったなあ。さすが、冷泉家って思って感心したよ。

行ってみれば?お月見会楽しいよ。俺は予定有るし行けないからエスコート出来ないけど。太刀人がエスコートしてくれるって事でしょ。これ。俺は今回呼ばれてないし、およびじゃないのだろうし、どっちにしてもいけないんだけどね。」

そしてちらっと入り口付近で姿勢よく立って待っている使者の人を見た。

「ああ、これすぐに返事返さなくちゃならないやつだよね。

ささっと書いて渡せばいいんだけど、全くこの和風のやり取りめんどくさいんだよなあ。

ちょっと待ってて。俺部屋に行って筆取ってくる。」


そして、すぐに筆やら墨やらのセットと和紙をもって帰ってきた。

さすが、財閥の御曹司。


帝様もこんな書道セットを寮に持ち込んでいるとは。

私は部屋に元世界でもこんな書道セットとか持ってなかったし、実家にはあるかもしれないけど、昔々の冬休みの宿題の書初め以来使ってないかも。

年賀状も印刷だし。最近はもっぱら年賀状すらLINEとかメールとかだったし。書道とかしてないし、筆ペンすら使う機会がなかった。


「これになんかそれっぽい返事を書いて渡せばオーケー。」

とテーブルに置いて私ににっこりとほほ笑みかけてくれるのだが。


一体何と書けばいいのか。


目が点になり頭が真っ白である。

それをみて


『冷泉 太刀人様


この度はお招きいただきありがとうございます。

美しい月を愛でる機会を与えて下さり感謝しております。

是非とも月光亭にお伺いしたくお返事させていただきました。

太刀人さまとの月夜の宵を愛でること楽しみにこの文を結ばせていただきます。


早坂 瑠璃』


「こんな感じでいいんじゃない?」とさらさらと文をしたためて私に見せてくれた。


「わ、こんなすぐにこんな文章を。」

私が泡をふいたように言うと


「ま、こんなの子供のころから書いてる決まり事みたいなものだから。まあ、すぐにね。

ほら待たせてるんでしょ。マイエンジェル、これ清書して渡してあげなよ。」


そう言われて言われるままスラスラととはいかなかったが、

何とかその文章をそのまま書かせてもらい達筆とはいかなかったけれど

(ふみ)をしたためて、使者の方に渡すことが出来た。


これも一緒にね、と帝様がテーブルにあったマドレーヌやクッキーなどの焼き菓子を何個か綺麗にラッピングして渡してくれたので(ふみ)と一緒に渡すことが出来た。

私一人ではそのようなこと気が付かなかったと思うとやはり育ちが違うというかさすがに財閥の御曹司であるなあともう感心しきりだった。


が、


はっと気づけば良く考えもしないで行くという選択肢を無意識に選んでしまい返事まで出してしまっていたことに気が付いた。


さらさらと書き綴った帝様の(ふみ)をそのまま無意識に清書して渡してしまったのだ。


「あ、あわわわ、」

意味もない慌てた言葉が言葉にならない単語で噴き出してくる。


「どうしたの?マイエンジェル。」

「帝様。私、あ、あのお月見会に参加することになってしまったのでしょうか?」

何馬鹿な事言ってるの?今返事したばかりなのに。と口から出てしまったあとに思ったのだけれど。


「え?行かないつもりだったの?冷泉家の誘いとか断りにくくない?それに暇そうじゃなかった?最近エンジェルちゃんそんなに忙しくないよね?こっち戻って来てから楽しいイベントとかなかったよね。行けばいいじゃん。楽しいよ。」


「知らない人がいっぱい居たりして大変かなあと。」

急に不安でいっぱいになって聞き返す。


「ん?大丈夫じゃない?お月見団子食べて、和歌でも詠ってそれでせいぜいお琴の演奏を聴くとかそういうことだけで、別に和歌は詠みたい人だけ詠めばいい感じだったし。太刀人がいるんだから大丈夫じゃない?そんな大変な宴だったら太刀人が誘うわけないし。エンジェルちゃんに嫌われちゃうでしょ。そんなめんどくさい宴に誘ったら。そのくらい太刀人がわからないとも思えないし。」


そう言われるとそうかもしれないと思い


そのまま


お月見の宴の日がきてしまったのである。




「瑠璃、返事嬉しいぞ。来てくれるのだな。」


ロケからドキLOVE城に戻ってきた日に太刀人さまから言われて


「はい。ありがとうございます。楽しみにしています。」


と思わず答えていたし。


気乗りしないけど、間違って返事してしまいましたとは失礼過ぎて言えない。


しかし、なんとか断れないかな、と今更上流階級の雅な宴が怖くなり、そうだ、和服無いからとかいえば大丈夫かもと思って、ちらっと聞いてみた結果が


「いや、特別に用意するものなどない。気軽な格好でいい。」という返答だったのだ。




だから綺麗めな服は用意したのだけれど、


なんかちょっと気後れしている感は否めない。




もはや緊張している。


楽しむというよりちょっと怖いし緊張してしまっている。




それは冷泉家の車が到着し、冷泉さまに


「行くぞ、」と言われ、車に乗った後まで緊張していた。




冷泉さまは普通に余裕でくつろいで膝を組んでいるのに。


私は緊張MAXになってしまっていた。




別荘に行くまでの景色を楽しむ余裕もなく。


和服でなくてよかったのかとか、貧乏くさくないかなこの服などと要らんことばかり頭の中をぐるぐる回っていて




「今日の服可愛いな。瑠璃に似合っている。」と褒められてちょっとほっとはしたのだけれど、それでもなんだか不安で頭がいっぱいになってしまい




「顔色が悪いが車酔いしたのか?少し休憩するか?」


とか訊かれる始末。




「いえ、大丈夫です。乗り心地良いですし、気分悪いとかないです。」


「そうか、もうすぐ着く。中には温泉もあるからゆっくりくつろいでくれたらいい。ゆっくり疲れを取るといい。」




温泉もあるの?さすが大財閥の別荘。温泉がこの世界にもあるのは嬉しい。温泉は元の世界でも大好きだったが最近仕事が忙しくて温泉とか日帰りのとかもいけてなかったなあ。


ああ、温泉はいいなあ。とか思ってしまった。




温泉に入れるなんてラッキー。




とか思っていたのだが。




月光亭に着くと




びっくりするくらいに


お女中さんたちがたくさんいて




「長旅お疲れさまでした。太刀人さま。」


「こちらのお嬢様が瑠璃様でよろしいのでしょうか?」




「瑠璃様、お世話させていただきます。お荷物お持ちいたします。」


そして部屋へと案内されて




とまでは普通だったのだけれど




「瑠璃様、湯浴みのお手伝いを致します。どうぞこちらへ。」




湯浴み? お手伝い?


と謎の言葉に反応している暇もなく




温泉があるからゆっくりって言ってたよね?


というか全然ゆっくりできなかった。




湯浴みのお手伝いをして下さるというお女中さんだけで6人くらいいて、いきなり服を脱がされ


「まあ、綺麗な身体ですこと。磨き甲斐がありますわあ。」


「滑らかな肌。美しいですわ。もっと美しくして差し上げますわ。」


など言って


湯船に放り込まれたあげく




「あの、自分でできますから、皆さんは、あの下がってくださって大丈夫です。」


だって恥ずかしいし




なのに


「いいえ、これは私たちの仕事ですから、きちんとやるようにとの太刀人さまのご指示です。ちゃんとやらないと職務怠慢と言われかねません。きちんと最後までお世話をさせていただきます。


徹底的に美しく磨き上げますわ。」




となんだか、石鹸やら、ハーブだかのオイルやらでマッサージをされたり、スクラブされたりして、髪もシャンプーしてくれるし、なんだかトリートメントもしてくれるし、ヘッドスパみたいのもしてくれて、




「瑠璃様はゆっくり体を任せて下さっていてください。」


とやらで、




恥ずかしいのに




身体中磨き上げとやらをしてもらう羽目になってしまっていたのである。













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