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幾千の夜と暁を越えて  作者: 白明


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第九章 北辰星 陸 北斗七星

 私は書いていた。

 じいちゃんの残した資料、カヲルさんやレイさんから聞いたさまざまなコトバから。

 人生を駆け抜けたひとりの男の話を。


 そして、その生き方に影響を受けた周りの人と孫の人生と挑戦を。

 私を変えてくれた「教え」を。

 時代錯誤なのかもしれない。

 だが、そこには確実に人が生きた道があったのだ。



 昔の人はその人生を北斗七星に擬え、そして占ってきた。

 北斗七星は、貪狼、巨門、禄存、文曲、廉貞、武曲(死兆)、破軍と呼ばれ、それらには運命が宿っているという。


 また、古代中国では、北斗七星が天帝の乗物であり、人民の生死禍福を司る神とされてきた。

 そのため、北斗七星に祈れば災難を免れ、福が訪れ、長生きができると信じられてきた。

 北斗七星をたどり、生き、そして北極星の元に人は還っていく。

 北極星は終着点であり、新しい生命の始発点となる。

 動かず、そして満天の中心となる星は、幾千の夜と暁を重ねても常にそこにあり、人を導き、優しく見守ってきた。


 この北斗七星をテーマとし、じいちゃんの自伝を書こうと思った。

 人生を暗示する北斗七星。

 その一つ一つには古来より意味を持ち、占星術などに用いられてきた。


貪狼星ドゥペ:欲を表す星。欲望、歓楽、自由を表す。

巨門星メラク:探求を表す星。研究、討論、緻密を表す。

禄存星フェクダ:奉仕を表す星。愛情、奉仕、同情を表す。

文曲星メグレズ:知を表す星。学問、知識、芸術を表す。

廉貞星アリオト:策略を表す星。現実、利益、吟味を表す。

武曲星ミザール:決断を表す星。勇気、指揮、決断を表す。

死兆星アルコル):死を表す星。終焉、消失、滅亡を表す。

破軍星アルカイド:孤独を表す星。決断、決心、変動を表す。


 人は、人生において、多くの欲に苛まれることがある。

 しかし、そこから抜け出し、学び、奉仕し、そして知を蓄積していく。

 さらに、多くのことに気を配り、回し、大きな決断をする。

 最後には、孤独と死が待っている。


 当たり前なことではあるが、最後には必ず死が待ち受けている。

 孤独にして、たった独りで向き合わなければいけない死が。

 その死の先には、仏教でいう輪廻があるのかもしれない。

 人は生き、そして死を迎え、次へと向かっていく。



 人生の紆余曲折や苦悩、そして人としての成長の過程を北斗七星は示している。

 だからこそ、人は、北斗七星を経て、北辰星へ還っていくのだろう。


 私たちは先人が苦悩の中に生き、学び、そして乗り越えてきたものを書物などから得ることができるだろう。

 だが、書物として残るのは、偉人や賢人など多くの実績や成果を残してきた人達がほとんどである。

 彼らだけでなく、誰しもに人生がある。

 ある人の人生は、もしかしたら偉人や賢人よりも多くの学びがあるものである可能性がある。

 誰の人生も意味のないものはないのだ。

 特に自分に近しい人の人生は、今の自分を形作る一つの物語だと私は確信する。


 今の時代にそぐわない「教え」や「内容」になるかもしれない。

 だが、構わない。

 じいちゃんという一人の男が歩んできた人生を記したい。

 私がじいちゃんから受け継いだ「教え」を記していきたい。

 そして何よりも次代を生きる人たちに伝えていかなければならない。



 私が書かなければならない。



 私が、娘や息子に伝えていかなければならない。


 そして、同じように子どもたちが、孫たちに、そしてひ孫たちに伝えていってほしい。


 これまでにじいちゃんや、ばあちゃんがそうしてきたように。


 そうやって、人の想いはずっと継承っていく。


 その生きた軌跡や想いを継承していくのだ。


 「星」とは、自分の還るところであり、目指し、再出発するところ。


 そして、その「星」は、また次の「星」に継がれていく。


 次の世代へ。


 「教え」「想い」「いのち」は、暁と夜空と同じく、幾千も折り重なり、続いていく……。


(つづく)

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