1-9 神の子、パーティーを組む
久しぶりにあげます
明るい日差しが顔に差し掛かり起きる。知らぬ間に寝ていたようだ。
「ふぁー、ふぅ」
あくびがでた。やはり疲れていて熟睡してたんだな。
「おはよう、ソーキ」
「・・・おはよう、ヴァン」
寝起きのせいで一瞬誰か分からなかった。そういえばヴァンと同じ部屋だったな。寝言とか平気だったかな?
「あれ?もう準備してるけど、そんなに早く王都に向かうのか?」
ヴァンはすでに荷物をまとめており、出ているのは武器のロングソードと防具の鎧だけだ。
「ああ。王都は馬車でも二日かかるからな。商人の護衛依頼で一緒に行くんだよ」
本来ならそんなにかかるんだ。大変そうだな。
「そうなんだ。気をつけて」
「おう!よければ王都で一緒に依頼を受けようぜ!」
「こちらこそ頼むよ。初心者だから色々教えてくれると助かる」
「もちろんだぜ!じゃあな」
ヴァンはドアを開ける。そこにはすでにレイスがいて、ヴァンを待っていた。
「じゃあねソーキ。レオナちゃんはまだ寝てるから。またねー」
「ああ、ありがとなー」
手を振るレイスに手を振り返す。ドアが閉まり、ヴァン達は宿屋を後にした。
「さて、今日はなにしますかね」
俺達が王都へ行くのは明日だ。今日一日暇なのだ。
「うーん・・・とりあえず、レオナに装備をあげたら・・・冒険者らしく依頼を受けるか」
ベットから起き上がり、着替える。その上に昨日創ったロングコートを着る。重さも普通の鎧より軽く、防御力もある。そして腰に刀を差す。見た目は悪人っぽいが、まあいいだろう。てか、この世界に刀ってあるのかな?
「レオナに装備を渡すか」
着替え終わった俺はレオナに装備を渡そうと部屋を出て隣の部屋に行く。運良く、空いていた部屋が隣だったのだ。
「レオナー、入っていいかー?」
「・・・どうぞ」
小さい声だが返事が返ってきた。レイスがまだレオナは寝てる、と言っていたのでまだ寝ているかと思ったが起きていたようだ。
「じゃあ入るよ?」
部屋に入るとベットではなく床にレオナが座っていた。
「・・・なんで床に座ってるの?」
「奴隷ですので」
「ベットに座っていいから」
「・・・分かりました」
俺が言うと渋々ベットに座るレオナ。どうやって寝てたか心配だな・・・。
「昨日はどうやって寝てたの?」
「床で寝ていましたが、レイスさんにベットに移されたようです」
レイス、良くやった!ゆっくり休ませるために部屋を別々にしたのに床だとつかれがとれないだろ!
「そ、そうなんだ。これからはベットで寝ていいからな?」
「・・・分かりました」
レオナに言い聞かせたところで本題に入る。
「明日は王都に行くけど、今日はなにもすることがないんだ。だから依頼を受けようと思うんだ」
「分かりました。私の役目はなんですか?囮ですか?それとも肉壁ですか?」
レオナの言葉に絶句した。この世界だとそんなに奴隷の扱いがひどいのかと。
「しないしない。ただ単にパーティーメンバーとして一緒に戦ってほしいだけだから。もし、危険だと思ったらすぐ逃げて?できる限りは俺が守るから」
「・・・分かりました」
少し驚きながらうなずいてくれた。てか、さっきから分かりましたぐらいしか言ってなくない?
「まあ、その前に・・・はい。これ、レオナの防具」
レオナの防具を出して渡す。次は驚きよりも困惑のほうが勝ったようで訳が分からないといったような感じだった。
「それ装備してね?奴隷っていっても同じ<人>なんだから、痛いものは痛いし、死ぬときは死ぬんだから」
「・・・」
レオナはうなずき、無言で防具を装備し始めた。・・・そんなに警戒しなくてもよくない?そんな胡散臭いかな俺?
準備の終わったレオナはこちらの反応を待っているようだ。
「じ、じゃあ、ギルド行く前にご飯食べようか!」
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というわけで、今俺達は宿屋で朝食をとっている。会話はない。
「美味しいね」
「・・・」
「なにか受けたい依頼の種類ある?」
「・・・」
この通りだ。話かけても無反応なのだ。なんか、最初会ったときよりも警戒されてない?
「ごちそうさまでした」
「・・・?」
唯一反応を示したのが[ごちそうさま]という単語にのみだった。
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朝食を食べ終わり、ギルドで依頼を見ている。ギルドランクが上がったのでDランク依頼まで受けられる。
「うーん、いいのがないなー」
あるのはゴブリンソルジャーやメイジの討伐、プレデタープラントの討伐等だ。
ちなみに普通のゴブリンが剣術スキルを持っているのがゴブリンソルジャー、プレデタープラントは馬鹿でかい食人植物だ。
「うーん、どうしようかな」
ゴブリンソルジャーは手強いがゴブリンとさほど変わらないし、プレデタープラントは植物だから動かないしなー。
「よう、兄ちゃん。あんた新しくDに上がったばっかだろ?」
悩んでいると一組のパーティーが声をかけてきた。なんやねん、あんたら。
「良かったら俺達とパーティー組んでCの依頼に行かないか?」
ん?行けるのか?
「パーティー組めばCランクの依頼に行けるんですか?」
「ああ、パーティーが6人以上、なおかつ全員同じランクならそのランクの一個上のランクの依頼を受けられる」
へー、そんな規定があったんだな。まあここにはいい依頼がないから願ったりかなったりだな。
「いい依頼がDランクのにはないですし、お願いします。レオナはそれでいい?」
レオナに問いかける。返事はうなずき、つまりOKということだ。
「おう!俺はパーティーリーダーのロックだ。そんで、こいつらが」
そう言って、ロックが一歩横にずれ、後ろの三人が見える。
「始めまして、僕はマット。槍術士です」
「こんにちわ、私はナディアナ。魔法使いよ。ナディでいいから」
「・・・ケインズ・・・魔獣使い・・・よろしく」
四人の自己紹介が終わった。
ロックは白髪で針鼠のような髪型、背は190cmくらい、顔はダンディーなおっさん、体は筋肉でびっしりで太い。ボディビルダーみたいだな。
マットは茶髪で天然パーマ、背は170cmぐらい、顔は中の上といったところだ。
ナディアも茶髪でロングヘアをポニーテールに結んでいる。背は165cmくらい、胸は・・・レイスよりも残念だ。顔は上の下くらいだ。
ケインズは黒髪で肩まで伸びたロングヘア。背は167cmくらい、顔は髪で隠れていてよく見えない。前見えてるのか?
「俺はソーキです。魔法剣士をやってます。こっちはレオナです。一応魔法使いかな?をしています。よろしくお願いします」
「・・・(コクン)」
俺達の自己紹介もする。レオナは俺の後でうなずくだけだ。
「よろしく頼む。ああ、敬語じゃなくていいし、名前も呼びすてでいいぞ。じゃあ上に行くか」
俺達はB、Cランクのフロアへ向かう。
一階上がって、三階に着いた。掲示板へ向かい依頼を探す。するとケインズがひとつの依頼書を見つけた。
「・・・こんな依頼は・・・どう?」
その依頼書をパーティーリーダーであるロックに見せる。それは盗賊の討伐だった。
「うーん、どうだろう?みんなはどう思う?」
「いいんじゃないかな?僕は賛成だな」
「私も賛成ー。運が良ければ財宝なんかもあったりするし。それに依頼書には[盗賊はD、またはEランク程度と予想される]ってあるし、平気でしょう」
意見はどうやらまとまりつつあるようだ。しかし、なんでDやEくらいの実力の盗賊の討伐なのにCの依頼にあるんだろう?
「どうだソーキ?この依頼ならやる価値はあると思うんだが?」
「えーと、そのまえになんでDランクの実力の盗賊の討伐依頼がCランク依頼としてあるの?」
「それには僕が答えますよ」
見た目からして賢そうなマットが答えてくれるようだ。眼鏡をかけて落ち着いた雰囲気、まさしくガリ勉風だ。しかもイケメン。ぺっ!(脳内イメージで唾を吐いた音です)
「まず、要因の1つとして、一人一人の実力がD、Eでも、数が集まればその範疇には収まりません。さらに、地の利はあちらにあるのです。そういった理由から盗賊討伐依頼のだいたいは1、2ランク上で依頼が出されます」
なるほど、そういった理由か。たしかに言われてみればその通りだな。
「で?どうだ、ソーキ?受けるか?」
「俺は意義はないよ?他の人も賛成してるし。レオナは?」
俺はだいたいのことはレオナにも確認をとるのだがだいたい、
「・・・お任せします」
と、このように一言かえすかうなずくくらいしかしてくれないのだ。
「じゃあ決まりだな!」
ロックは依頼書を持ち、受け付けに向かった。
「これを受けたい。パーティーは俺、ナディアナ、マット、ケインズ、それとソーキとレオナだ」
「分かりました。・・・全員Dランクですのでこの依頼も受領可能ですね。少々お待ちください・・・はい、これで完了です。ご武運を」
ロックは依頼書を受け取る。それには先程までなかった判が押してある。これが受領した証なんだろう。
「受領できたから、あとは準備だな。ソーキ達は回復薬なんかは持っているか?」
「少しなら。ストックもあったほうがいいの?」
今持っている回復薬は昨日装備を創るついでで創ったものだ。
「そりゃまあ、な。ケガなんかで戦闘力が下がったり、判断がにぶったりもするからな。買うならギルドの一階に道具屋もあるから買うといい」
「まあ、今回は大丈夫だと思う。出発していいよ」
道具屋がギルドの中にあるので時間短縮になって冒険者には大助かりだな。
「じゃあ行きましょうか」
「そうだな」
「了解」
ナディの言葉にロックと俺が返す。
パーティーリーダーはロックだよね?ナディが先頭なんだけど?
歩き出したナディにロック達三人が続き、その後を俺達が追う。
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「よし、目的地の森についたぞ。盗賊達はこの森の奥にあった村を襲い、そこを自分達の拠点にしたようだ」
そこは、俺がこの世界に降り立った森だった。てか、父さんと母さん、魔物やら盗賊がわんさかいる森に移動先を設定すんなよ。
「ねーロック、ここからどれくらいで目的の廃村につくの?」
「はぁ~、ナディアナ、 事前に依頼書を確認しておけよ?だいたい30分から50分くらいだな。ついたらナディアナが索敵の魔法で敵の位置、数を把握する。見張りと外にいるものをまず始末し、その後、内部に侵入し、掃討する。その際二手に分かれ、正面、裏側から挟み撃ちで逃げられなくする。作戦はそれでいいか?」
作戦を聞いた俺達は軽くうなずく。筋肉の塊みたいな人だから脳筋だと思っていたが違ったようだ。
「こっからは魔物の数も増えるからな。気をつけて進むぞ」
「「「了解」」」
「・・・はい」
「・・・」
俺達が返信をするなか、ケインズは俺達の方をじっと見ていた。少し不気味なやつだな。
「うーん、なんかおかしいな」
少し森に入ったところでマットが言う。
「なにが?」
「ナディは気付かない?この森には魔物は他と比べて多いんだ、だけどこれまで一度も遭遇してない、だからおかしいと思ったんだ」
そう、魔物が多く危険な森では、森の浅い場所でも遭遇する。だが、俺達は遭遇するどころか気配すら感じられない。
「まあ、盗賊達が住み着くんであらかじめ数を減らしたんだろう。なんにせよ、消耗するのは避けたいからな、いいことだ」
そう言うロックだが、言った本人も聞いていたメンバーも完全には納得してはいないようだった。
さらに少ししたところでナディアが立ち止まった。
「ねえ、なんか戦闘音しない?」
「こんなとこに人はいないだろ?盗賊の拠点までまだ少しかかるし」
「そうなんだけど・・・」
会話をやめて耳をすませる。すると、キンッという固いものと剣がぶつかる音が聞こえてきた。
「やっぱり聞こえるよ!マットも聞こえたでしょ!?」
「ああ、聞こえた。これは助けに向かうべきか?」
「いや、なるべく消耗は避けたい。それに戦ってるってことは冒険者か傭兵だろう。なら、こちらが手助けするのもお門違いだろう?」
ロックって以外に冷たいんだな。まあリーダーだからまず第一に優先すべきなのはパーティーメンバーの命なんだろう。うん、そう信じよう。
だが、ここで戦闘音が止まり無視できない声が聞こえてきた。
「う、うわー!だ、誰か助けてくれー!」
冒険者や傭兵ではないような弱々しい声だった。
それを聞いたロック達は声の方へ駆け出す。
しかし、タイミングを見計らったように数匹のレッドウルフが飛び出してくる。
「チッ!こいつらは俺とマットとケインズで押さえる!ソーキとナディ、レオナは先に行け!」
「わかった!」
「了解!だけど、レオナはこちらはこちらを任せていいか?戦闘音が止んだことから、あっちは少し格上がいると思うんだ!レオナでもレッドウルフなら勝てる!」
「そう言うことなら、分かった!二人共気を付けろよ!」
ロック達がレッドウルフを引き付けている間に俺とナディアナは戦線離脱する。そして、一刻も早く声の聞こえた方へ向かうべく、走り出した。
やっぱり読むほうが楽しい・・・




