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貴女は人の嘘に気づきやすくて
些細なことも、
自分のことのように同調してしまう。
他人だと切り離せなくて、
しまいには情緒不安なやつになる。
常に一生懸命で、
手を抜くことを知らない。
誰よりもできなかった自分ができるようになったのだから、と
同じ熱量を他人に求めて
勝手に、失望する。
そんな貴女が私は嫌いだ。
――――だから私は、陸橋に佇む〈貴女〉の背を押したんだ。
*
「此度はご愁傷様である。諸君らは本来、まだ死ぬ予定でなかった存在だ」
――――故に冥府は転生の機会を与えたい。
聞き慣れない単語以外、生前とあまり変わらなかった。
どこかのオフィスビルの一室。
向かい合うデスクに、お誕生日席。
――――『シを狩る者』として、己を引き留める彼らに安らぎを。
――――もう頑張らなくていい、と。手を取って、冥府に連れてきてほしい。
上司っぽいヒトを中心に、“下界を行き来して、成功したら報告”の繰り返し。
時間の概念がなく、ノルマ――――なんてのもないが、飲まず食わずでも、寝なくても全然働けてしまえて。
(帰る家もないしな……)
(あんなに歩いたのに、靴擦れしてない……――どころか、かかと綺麗なまんまだー……)
(あー……今日も下界はお天気ー……)
栗毛の髪を揺らしながら、青空を見上げる。
生きても死んでもブラックな環境に、いっぱしのトウリは精神的に困憊していた。




