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47 【付与】と【強化】

「第三術式起動――」


 光竜王が両手を掲げ、告げる。


 奴の『天の遺産』は自分自身の能力を【強化】するというもの。


 無機物しか強化できず、自分自身を強くすることはできない俺とは、ちょうど対極にあるような能力だ。


 その発展形ともいえる第三術式で、奴は一体何を【強化】するつもりなのか――。


「我の能力は自分自身しか強化できない……そう考えているな?」


 光竜王がニヤリと笑う。


「えっ」


「通常ならば、そうだ。だが、この『第三術式』は我が生み出したものも、強化対象に含めることができる」


 光竜王が口を開けた。


「我が牙よ、兵士となれ……【竜牙兵(りゅうがへい)作成】」


 そこから吐き出された白い牙は空中で分裂し、地面に撒かれると、無数の兵士へと変化した。


「これは――!?」


 いずれも骨でできた竜人のような姿で、剣と盾、鎧で武装している。


 牙から生まれた兵士――そうだ、確か奴の配下である【七竜騎】のレドグフも同じ術を使っていた。


「そしてお前たちを【強化】する!」


 ヴ……ンッ!


 さらにそいつら『竜牙兵』たちは、光竜王から放たれた黄金の輝きに包まれた。


 言葉通り、竜牙兵たちを【強化】したのか。


「言っておくが、我が生み出した『竜牙兵』は、我が配下のそれとは強さの次元が違うぞ。さらに、そのすべてに我が【強化】を施している――お前たち四人では絶対に勝てはせん」


 言って光竜王は両手を掲げた。


「さあ、行け! 我が無敵の兵団よ! 我が怨敵を蹴散らせ――」




 そして――敵軍団の総攻撃が始まる。




「きゃあっ……」

「くっ……」

「こ、こいつら……っ」


 リリィも、マルチナも、マーガレットも――。


 竜牙兵たちの攻撃をしのぎ切れない。


 単体の戦闘能力なら、リリィたちのほうが上だろう。


 けれど、奴らはとにかく数が多い。


 しかも、その装備品は異様に強力だった。


 伝説級の剣を持つリリィやマルチナ、魔剣を持つマーガレットと比べても、それほど見劣りしないほどに――。


 装備にそこまでの差がないなら、あとは数の暴力でどうしても圧倒されてしまう。


 三人とも徐々に押し込まれ、後退していく。


「みんな!」


 俺は慌てて最前列に出た。


「レイン様!?」

「俺は強化付与した防御系のアイテムをありったけ持ってる。一番前で盾をやるよ」


 言いつつ、殺到する敵の剣や槍の前に体をさらす。


 いくら防御アイテムを複数身に着けているとはいえ――やっぱり自分から武器の前に体をさらすのは勇気がいる。


 がきっ、がきいんっ。


 竜牙兵たちの武器は俺の体に触れる前に防御アイテムの効果に阻まれ、跳ね返されていく。


 さすがに――俺の防御は簡単には破れないはずだ。


 過去にも、これを破ったのは、たとえば【破壊】の『天の遺産』を持つディータとか限られた相手だけ。


 まずは俺が奴らの攻撃をしのぎ、反撃のチャンスを見つけるしか――。


 ぱきんっ。


 その時、俺が身に着けている護符の一つが音を立てて壊れた。


 これは、身に着けた者を守ってくれる防護効果がある護符――しかも、+10000の強化ポイントを注ぎこんだ絶対的な防御力を備えたアイテムだ。


「えっ……!?」

「お前の力が『天の遺産』なら、我もまた『天の遺産』を使っている。同質の力同士なら絶対無敵とはいかぬのが道理――」


 光竜王が淡々と語る。


 決して勝ち誇るでもなく、ただ事実を述べているだけ。


 そんな雰囲気が、かえって奴から揺るぎのない強さを感じさせた。


 以前の光竜王とは、明らかにレベルが違う。


 こいつ、強い――!

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