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7の6 理由は何だろうな?

 エマローズと父親ジャンバディから、それぞれから送られてきた手紙には、エンゾラールとエマローズの婚約が決まった、と書いてあった。

「エマローズと結婚したいためだけに頑張ってきたのに」

「エンゾラールでいいなら、僕でもいいじゃないか」

「会えないことを我慢してたのに」

 オーリオダムは、誰にも言えない言葉を口にしながら眠りについた。


〰️ 〰️ 〰️


「ダムのおはな、きれいね。エマにくれる?」


「うん!だからエマ、ぼくのおよめさんになってね」


「いいよ。そしたらまたおはなくれる?」


「いつでもいっぱいあげるよ」


 いつも幸せな気持ちにしてくれた夢を久しぶりにみたオーリオダムは、涙に濡れた顔で目が覚めた。

「こんな悲しい夢じゃなかったのに」

オーリオダムは独り言ちた。


〰️ 〰️ 〰️


 ショックを受けたオーリオダムは、『メールボックス』の購入を止め、一月ほど部屋から出てこなかった。

 グレボウナの一言で、イロフスキー侯爵家の人たちはオーリオダムの好きにさせてくれた。オーリオダムにとって、グレボウナは、本当の兄よりも兄であった。


 根が真面目なオーリオダムは、中等学校の卒業テストは忘れていなかった。イロフスキー侯爵に迷惑はかけられないと、オーリオダムは、テストを受け、卒業が認められた、1位で。これをきっかけに部屋の外へ出るようになった。


〰️ 〰️ 〰️


 ガーリウム王国では、しばらく前に、もうすぐ高等学園へ入学するアナファルト第1王子の学園での側近、ゆくゆくは国王陛下の側近になりそうな者たちの選抜が、元老院で行われていた。

 宰相子息イリサス、騎士団長子息ウズライザーはすぐに決まった。二人は、小さいころから、王宮へ遊びにきており、すでに王子の友人のような立場であった。本来ならエンゾラールもそうなっていたはずだが、オーリオダムがナタロフ帝国へ行ってから、エンゾラールは登城するのをやめてしまった。


 そうこうしていたら、元老院の誰かが言い出した。


「そういえば、数年前、異国のお客人がいた頃、明晰な子供が登城してたはずだ」

「おお、天才と言われているナタロフ帝国の子供とよく明るく笑っていたな」

 その結果エンゾラールが側近に選ばれた。


 その頃、サンドエク伯爵から、悩みの相談を受けていたナハナージュ侯爵は、エンゾラールとエマローズを婚姻させ、ナハナージュ侯爵の持つ伯爵位とその領地を二人に譲ることで、サンドエク伯爵の悩みを解消することにした。

 元々、エマローズのために、オーリオダムにしてやろうと思っていたことだ、ナハナージュ侯爵家としては、なんの問題もない。

 王子の側近となるなら、尚更都合がよいと、研究所への仮入所も許可した。

 サンドエク伯爵は、もしものときは、エンゾラールたちに譲られる領地で一族が暮らせるとなり、安心した。一族を想っての決断だった。


〰️ 〰️ 〰️


「オーリー、お前、高等学校どうすんの?」


「んー、わかんない」


「とりあえず、さ、卒業試験受けちゃえよ。どうせもうとっくに終わってるんだろ?」


「そうだけどさ、グレーがいないときとか、遊べるやつらがほしいし」

 オーリオダムは、中等学校もこの理由で通っていたにすぎない。


「卒業試験だけ受けて暇なときに通えばいいじゃん。オレも時々学園行ってるぜ」


「え?知らなかった!」


「だって、中等学校と高等学校、違うから、な」


「じゃあ、そうしようかな」


 この頃、オーリオダムは、グレボウナがいないときでも、開発は進められるようになっていた。もちろん、二人での方が段取りよく行くし、困ったときのアイディアも浮かびやすいのは確かだ。だから、グレボウナも『一人でもやっとけ』とは言わないし、オーリオダムも無理はしない。

 だが、エマローズのことを考えなくて済むので、オーリオダムは、研究室に閉じ籠ることも増えた。


 それでも、オーリオダムは、エマローズとの文通は続けた。エマローズからの手紙には、領地経営への夢が語られていた。


「エンゾラールとの領地だろ」

と、思いつつ、励まし応援する手紙を書いた。オーリオダムは、手紙にエンゾラールのことが書かれていないことには、気がつかなかった。


〰️ 〰️ 〰️


 オーリオダムが高等学校3学年になるとき、グレボウナが結婚した。お相手は、ナタロフ帝国の伯爵令嬢リュドミーラ嬢で、小さい時からの婚約者だ。


「転生者なのに、このシステムよく受け入れられたね?」

「オレ、草食系だったんだよ。自分で見つけるなんて、とんでもないっ!でも貴族の義務とか、あるだろ。まあ、会ったらかわいかったしなっ」


 3歳で転生者となったグレボウナは、リュドミーラ嬢と会った4歳には当然今の美意識だ。


 オーリオダムは、さすがにどこかの宿舎に移ることを考えたが、グレボウナにもイロフスキー侯爵にも反対された。


「結婚して、弟を追い出すってあり得ないだろっ!」

ということらしい。侯爵邸へよく訪れていたリュドミーラ嬢は、オーリオダムのこともよく知っていたので、何の問題も起こらなかった。

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