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Please speak!  作者: 長野原春
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考え中です

 ガチャ、と家の鍵が開く音が聞こえた。

『ただいまー!』

 冬姉の声だ。

「おかえりー。」

「おかえりなさーい。」

 冬姉を迎えに行くと、玄関にもう一人立っていることに気付いた。

「おや?」

「そのお方は?」

 なかなかに精悍な顔つきの男性。

 冬姉と同い年くらいか?

「顔忘れちゃったの?七人(ななひと)だよ。」

「夏央くん、美衣ちゃん、久しぶりだね!」

「あ、七人くん!?」

「七人くん!?本当!?」

 ミー子と二人して驚く。

「本当だよ。今日はあたしが連れてきたの。」

「二人とも大きくなったねえ。俺ビックリしちゃったよ!」

 ニコニコしている七人くん。

 ああ、この笑顔覚えてるわ。

 そういえばこんな人だった。

「連れて来たってことはその辺で会ったの?」

 ミー子がそう聞くと、冬姉は何食わぬ顔で答えた。

「うんにゃ、こいつあたしの彼氏。」


「はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!?」


「冬華さん彼氏できたんだ!?おめでとう!!」

 春姉がものすごい笑顔で冬姉の手を握る。

「あっはは、ありがとね。次は春女の番じゃないの~!?」

「私!?私は・・・あはは・・・。」

 そして微妙な顔になる春姉。

「それにしても冬華さんに彼氏とはね。」

「まあ想像はしてなかったけど、もし彼氏になるとしたら俺らの中ではこの人しかいないしな。」

「そ、そうかな?冬ちゃん仲のいい人多かったよね?」

「いやー、あの時は別に付き合うとか考えてなかったしねえ。今は仲のいい異性とかいないからね?」

「そうなんだ。」

 そこ知らんのかい。

 まあでも七人くんってだいぶ前に転校したし、冬姉の高校・大学時代とか知らないのか。

「まあでもあたしも考えてみたらやっぱり彼氏にするんだったら七人かなあって。」

「冬ちゃん・・・。」

「へっへへ。」

「なんだなんだイチャイチャしやがってよ!!今まで弟一筋だったじゃねえか!!彼氏ができた途端ブラコンでもこんな感じかよ!!」

 いきなり荒ぶるミー子。

 あんた彼氏いるでしょうよ、ここに。

「普段美衣ちゃんの方が夏央とイチャイチャしてると思うんだけどねえ。」

「ああ、やっぱり夏央くんと美衣ちゃんって付き合ってるんだ?」

「夜に一緒の家にいるんだよ?もう親公認だよ。多分あたしよりこの家詳しいんじゃないかな。」

「いやあ、さすがにそんなことはあるよ冬華さん。」

「あるんだね!?」


「そういえばなんだかずいぶんといい匂いがするじゃない?」

「あ、気付いた?」

「この匂いで気付かなかったら鼻がおかしいのかと思われちゃうでしょ。」

 確かにリビングには芳醇なコーヒーの匂いが漂っている。

 誰だって気になるだろう。

「新しいケーキの練習してたんだよ。一応家族に味見してもらおうとは思ってたんだけど。」

「え、じゃああたしが食べてもいいの?」

「うーん、まあ彼氏ができた記念としていいかもしれないんだけど、今日初めて作った練習作だよ?」

「いいのいいの大歓迎よ!しっかり作れるようになる前に作ったものとか貴重じゃん!」

 そう言いながら冷蔵庫を開ける冬姉。

「おおお!!」

 冷蔵庫にしまってあるオペラ見て感嘆の声を上げる。

「どうよ冬華さん、私となっちで作ったケーキは。」

「高そう。」

「第一声それかよ。」

 ミー子が食い気味で突っ込んだ。

「七人も見てよこれ。うちの弟と妹は立派に育ってるみたいだよ?」

「ちょっと待って、まだ冬華さんの妹じゃない。これからなるけど。」

 七人くんがケーキをのぞき込む。

「おお、高そう。」

「感性似てんなアンタら。」

 そして黙っていた春姉もケーキを確認する。

「たか」

「おいハルさん、もういいぜっ?」

「おいしそうだね!」

 春姉の言葉が途中で変わる。

 手のひらクルックルですね。

「買ったやつじゃないんだよね?」

「練習の為に初めて作ったって言ったよねえ?」

「いやあ、小夜里(さより)の店でも出せそうだよね。」

「どうだろ、多分店長厳しくなるんじゃないかな。」

「ああそうか、もう専門の道に進むんだもんね。資格もしっかり持ってるし、同業者には厳しいかもね~。」

 その可能性はある。

 ただ意志を持って教えを請えばしっかりと教えてくれる気もする。

「冬華さん、資格って言うのは?」

「えーと、製菓衛生師と菓子なんちゃらってやつ。」

「なんちゃら・・・。」

 俺らにも必要になる資格だろうか。

「よーし、写真撮って小夜里に送ろっと。」

「えっ。」

 そのあと、店長から送られてきた返信には称賛と同時に多数の指摘があった。


「まだ卒業もしてないけど、進学したら店長さん確実に厳しくなるね。」

「ああ、確実だな。」

 8行くらいにわたってご指摘を受けるとは思わなかった。

「でもあれだよね、試作で作ったわけだし店長さんのアドバイスを参考にいいものを作れるようにしようよ。今回は友達へのサプライズなわけだし。」

「そうだなあ・・・祈木喜ぶかな。」

「喜ぶよ。陽花は絶対喜ぶ。私は陽花の喜ぶ顔が見たい。」

「友達思いだね。」

「なっち、私友達が少ないんだよ?」

「悲しいこと言うなよ。」

 本当のことだから仕方ないんだけど。

 ミー子が胸を張って友達と呼べる同性の人物は今は祈木くらいだろう。

 相沢と秋島と五十嵐に関してはどう思っているか分からない。

 好意的に見ているとは思うんだけど。

「あと多分京介くんも喜ぶよね。」

「多分喜ぶ祈木の姿を見て喜ぶんじゃないかな。今回はお客さんなわけだし。」

「なおさら手を抜いたものは出せないね。」

「そうだな。」

 もちろん手を抜くつもりはないけど。

『夏央ー、美衣ちゃーん?そろそろケーキ食べたいんだけどー!』

 下の階から冬姉の声が聞こえてくる。

「だってさ、なっち。」

「じゃあ行くか。」

 リビングではすでにケーキが用意されていた。

「夏央早く切り分けてよ!」

「そんなに急かすんじゃないよ。」

 5人分で切り分ける。

 母さんと父さんには今度食べてもらおう。

「うおー!すげー!やっぱ高そう!」

「そこなんだね?」

「ごめんね夏央くん、俺もやっぱり高そうっていう感想が出てくる。」

「まあ見た目はね。」

 普通のケーキとは違う高級感は漂ってるよね。

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