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整理整頓しかできない俺、異世界では世界の法則まで片付けられるようです  作者: ももにく


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52

第52話 世界の外側の外側


【接触まで】


【10秒】


数字が。


9。


8。


7。


減っていく。


空から伸びた白い指は。


何かを掴もうとしているようだった。


「……あれ」


リナが震える。


「何なの?」


誰も答えられない。


ただ。


一人だけ。


始原外存在が。


明らかに怯えていた。


『閉じろ』


『今すぐ境界を閉じろ』


俺は。


巨大な存在を見る。


「お前でも」


「怖いのか?」


『怖い?』


少し間があって。


『違う』


『あれは』


『私たちが理解できる存在ではない』


「……」


『世界を作ることも』


『壊すことも』


『整理することも』


『必要としない』


「じゃあ」


「何をする?」


『存在するだけだ』


【5】


【4】


白い指が。


さらに伸びてくる。


その瞬間。


始原外存在が。


黒い力を放った。


『来るな!!』


黒い波が。


白い指へぶつかる。


だが。


何も起こらない。


黒い波が。


触れた瞬間。


消えた。


「……!」


【3】


「ミラ!」


ミラが。


震えながら頷く。


「分かってる」


「世界の境界を閉じる」


「いや」


俺は首を振る。


「閉じない」


「え?」


「閉じたら」


「今までと同じだ」


俺は。


白い指を見る。


「外側を」


「全部拒絶する世界になる」


アリアが。


俺を見る。


「じゃあ?」


「整理する」


【2】


【始原整理】


【境界整理】


【選択構造】


三つを重ねる。


だが。


いつものように。


情報が出てこない。


【対象:未定義】


【構造:未定義】


【権限:未定義】


「……解析できない」


初めて。


俺の力が。


完全に沈黙した。


【1】


白い指が。


世界に触れる。


――瞬間。


音が消えた。


光も。


魔力も。


時間さえ。


止まった。


そして。


世界中の人々が。


同時に。


一つの声を聞いた。


『これは』


『何?』


ただ。


それだけ。


怒りもない。


憎しみもない。


命令もない。


ただ。


純粋な疑問。


『これは』


『何?』


俺は。


その声を聞いて。


背筋が凍った。


「……世界を」


「知らない?」


始原外存在が。


答える。


『違う』


『知るという概念すらない』


「……」


『あれには』


『願いもない』


『目的もない』


『判断もない』


『ただ』


『見つけたものを』


『自分の中へ取り込む』


「……!」


つまり。


食べる。


いや。


それよりも。


もっと根本的なもの。


存在そのものを。


自分と同じものにする。


『あれに触れた世界は』


『世界ではなくなる』


始原外存在の声が。


震えていた。


『だから私は』


『世界を作った』


「……え?」


『あれから』


『隠れるために』


『私は世界を作った』


『境界を作った』


『管理機構を作った』


『願いを分けた』


『存在を分けた』


俺は。


呆然とする。


「全部」


「逃げるためだったのか」


『そうだ』


『私は』


『一人になりたかったのではない』


『消えたくなかった』


「……」


始原外存在。


世界創造者。


アリア。


エリス。


そして。


俺。


全部の始まりが。


少しずつ。


繋がっていく。


俺は。


白い指を見る。


「じゃあ」


「お前が世界を奪おうとしたのは?」


『守るためだ』


「……」


『世界を一つに戻せば』


『外側から見つけにくくなる』


「だから」


『不要な構造を消した』


「でも」


『消しすぎた』


男の声が。


少しだけ弱くなる。


『私は』


『恐怖から』


『整理を始めた』


「……」


俺は。


目を閉じる。


それは。


俺とは正反対だった。


俺は。


捨てたくないから。


整理する。


こいつは。


怖いから。


捨てる。


「だったら」


俺は。


目を開く。


「お前の願いを」


「整理しよう」


『……何?』


「お前が本当に望んでいるもの」


「それだけを」


「残す」


始原外存在が。


黙る。


俺は。


【始原整理】を発動する。


対象は。


始原外存在。


だが。


今回は。


力で触れない。


「お前の願い」


「全部見せてくれ」


『……』


「怖い」


「消えたくない」


「誰かにいてほしい」


「一人になりたい」


「世界を守りたい」


「世界を支配したい」


「全部消したい」


無数の願いが。


俺の前に現れる。


「これを」


「一つずつ」


「分類する」


【願いの分類】


【恐怖】


【孤独】


【執着】


【支配】


【保護】


【存在】


「……」


俺は。


一つずつ。


離していく。


そして。


最後に。


たった一つ。


小さな光が残った。


【中心願望】


俺は。


その光を見る。


「……」


始原外存在が。


震えた声で言う。


『それを』


『それだけは』


『整理するな』


「どうして?」


『それが』


『私だから』


「……」


光に。


一言だけ。


刻まれていた。


『ここにいたい』


俺は。


息を呑む。


「……それだけ?」


『そう』


「じゃあ」


俺は。


笑った。


「それなら」


「消さなくていい」


『……』


「守ればいい」


始原外存在が。


黙り込む。


その瞬間。


白い指が。


また動いた。


【接触】


0秒。


世界に。


白い光が広がる。


だが。


俺の前に。


ミラが立った。


「私が」


「ここにいる」


アリアも。


隣に立つ。


「私も」


エリスが。


俺の手を握る。


「私もいる」


リナ。


アルベルト。


フェンリオス。


みんなが。


それぞれの場所に立つ。


俺は。


白い指を見る。


「見つけたなら」


「ちゃんと見ていけ」


「この世界には」


「ここにいたい奴が」


「たくさんいる」


白い光が。


止まった。


『……』


初めて。


白い存在が。


何かを理解しようとしているように。


動きを止めた。


そして。


一言。


『ここにいたい』


その言葉を。


白い存在が。


繰り返した。


『ここにいたい』


すると。


世界の境界が。


大きく揺れた。


【未知存在】


【新規概念を認識】


【願い】


俺は。


目を見開く。


「……願いを」


「覚えた?」


ミラが。


小さく笑う。


「世界の外側に」


「初めて」


「願いが生まれたんだね」


だが。


次の瞬間。


白い指が。


ゆっくりと。


人の形へ変わり始めた。


そして。


世界中に。


新しい声が響いた。


『では』


『私も』


『ここにいたい』


【世界外存在】


【新規存在として登録開始】


【名称を設定してください】


俺は。


息を呑んだ。


世界の外側にいた存在が。


初めて。


「存在すること」を。


自分で選ぼうとしていた。

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