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11:挨拶は大事だよね



 微笑ましいと言わんばかりのあの目はやっぱり私を正気に戻しました。テンションが上がり無駄に走り回ったので休憩です。ルディさんから真っ青な飲み物を貰ったけど、蜜柑味だった果汁100%のやつ。実も青いって事かな?不思議だなぁ。



 「スイ様は今日もえらい走ったなぁ。ま、元気なのは良いこった」


 「恥ずかしいんで、止めて下さい‥‥。その、気分が上がりすぎたと言いますか、ははは‥‥」




 正気になったので恥ずかしさが込み上げてきた私は机に突っ伏している訳で。テンションが上がると駆け回るとか、私とってもアホの子じゃないか‥‥。まあ、楽しいんだけどね。

 広い演習場を見回して、私とルディさんの二人だけで貸切状態ってどうなんだろうか‥‥あれ?私の練習のせいで他の人達使えないとか言う事だったり?




 「あの、ルディさん。普段ここって誰が使ってるんですか?」


 「基本は城で働く者は自由に使えるな。まあ、殆ど守備隊か巡視隊の奴らだが。ああ、大丈夫だスイ様が使うからこの時間帯は使用禁止とかしてねぇから。あいつらなりに気を使った結果、この時間帯は隣の隊舎で机仕事するんだと」


 「だだだ大丈夫なんですかそれは?!私のせいで鍛練の時間削ってるんですよね‥‥うわぁ、申し訳ないなぁ。あっ、じゃあ挨拶とか出来ますか?いや、したいんですけど」


 


 ぽっと出な私のためにわざわざ演習場を譲ってくれるのだから、挨拶はしないと駄目だよね。うん、これからきっと沢山お世話になるし交流だってしたい。

 隣で蜜柑味の真っ青な色したジュースを飲んでいるルディさんに息荒く詰め寄るが私の奇行も慣れてきたのか、ずずっと青い飲み物を飲み干して顎をさすりながら、隣に居るらしい方々に聞きに行くと立ち上がって、演習場をぐるっと囲っている三メートル位だろう塀を軽く跳び越えて行きました。ジャンプってあんなに飛べるんだって初めて知ったな‥‥皆あれ位出来るのかな、笑うしかない。はははと一人笑っておいた。


 二、三分位経っただろうか。

 なんか塀の向こうがどたばたしてないかな?と思って見上げていたら、ルディさんが行き同様跳び越えて帰ってきました。



 「是非挨拶されたいそうだから、行くかスイ様」


 「あ、はい。なんか向こうどたばたしてませんでしたか?いきなり過ぎましたかね‥‥」


 

 つい今しがた思い付いたのだ、都合が悪い人もいるやもしれないとか考えるべきだった。挨拶されたいってのはよく分かんないけども、歓迎はされていると思おう。



 「息抜きしたい所だったらしくてな、大歓迎だと。ま、適当に挨拶してやってくれな」


 「適当にって‥‥が、頑張ります。うあーちょっとなんか緊張してきましたよ、沢山いらっしゃいます?」


 「はは、そんなには居ねぇよ。十人位だな、後は見回りとかに出てっからな。スイ様が来るぞって急いで着替え始めてたから今から行けば面白いぜ」



 面白いぜなんて、にやにやしながら言われると今から会う皆さんが何だか可哀想な気がする。‥‥行くけどね。でも何故着替えが必要なの?

 塀を跳び越えて行くか?って聞かれたけど、無理ですから。例え出来ると言われても私はそこまでノリで生きてる訳じゃないので拒否は正しい選択だ。俺が抱えるぞなんて普通に言うのはびっくりだったけど、私を赤面させたいのだろうか、止めて欲しい。


 演習場を出てすぐ横に四階建ての隊舎、案外簡素だなぁと思ってたらなんでも隊舎と言っても、殆どの隊士さんは城の近くの街に家が有るそうで、隊舎の三階から寝泊まり用の部屋みたい。夜の警備や見回り組の人達の仮眠用みたいな感じだったり、気分で泊まっていったりと自由な様子です。ルディさんは城に住んでるらしく東の塔に部屋が有るそうだ。因みに、フルーさんの部屋は北の塔。




 「おらー、来てやったぞ」


 「お、お邪魔します‥‥」


 

 ばんっ!と勢い良く扉を開け放って入るルディさんの後ろから、恐る恐る私も続く。

  一階は寛ぎスペースだって言ってたかな?本とかトランプとか丸テーブルの上に出しっぱなしだ。多分あれ、七並べしてたのかな‥‥。 あ、ロッキングチェアーも有る。あの椅子で揺られてみたいなってちょっと思ってたんだよね、いいなぁ。



 「スイ様、観察すんのはそれ位な。ほら挨拶してくれるんだろ?」


 

 周りの観察で本来の目的を忘れていた、危ない危ない。くすくす笑ってるルディさんにちょっと照れつつ、一列に並んでいる隊士の皆さんの前に出る。皆さん、いい筋肉ですね引き締まってますって感じ。体脂肪率は一桁に違いない。



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