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9:改めて、知識を学ぶ


 マラソンの後、腕立て伏せとか腹筋とかさせられて案外スパルタに体力作りをした。これが、世界に慣れるまで毎日か‥‥。

 でもやっぱりあまり疲れないって言うか、どうにかなってて今の私ってば超運動出来る子だ!とテンションが上がり余計に走り回ってしまったのは、今思い返してもアホの子だ。ルディさんの微笑ましいものを見るあの目は、私を正気にさせたもの。ああ、恥ずかしい‥‥ルディさん誰にも言わないよね?


 まあでも、疲れなかったとは言え中々に動いたしフルーさんとの女子トークでのはしゃぎもあり、ぐっすり快眠。今朝もサイラスさんの声で起きました。ベットの端に居るのは変わらずでしたけど。

 今日も何故かちょっと増えている衣類に誰が補充をしてるのか毎回気になりつつ、気分は黄色だなとリネン素材だろう手触りのシャツワンピースに着替えてからお決まりのサイラスさんに扉を開けてもらい執務室に移動する。


 自分の椅子のふかふか具合はやっぱりまた寝そうになる。この椅子なら寝ても身体が痛むとかないだろう。 



 「魔力についてはルディに聞きましたか?」


 「あ、はい。私の魔力量はすごいぞ的な感じだみたいな?後は、花の名前がチリンだって事教えてもらいましたよ。可愛らしい名前ですよね」


 「まあ、‥‥間違いではないですね。チリンの花は統治者にしか咲かせられない希少な花なのですよ、大陸の源から森までの範囲にしか咲いておりません。スイ様の魔力によって今はその範囲一杯に咲き誇っておりますね、色も様々ですし歴代一でしょう」


 「えっと、歴代の方達は他の大陸と交流みたいな事ってしてたんですか?私、腹芸はちょっと苦手なんですが」


 「交流とまでは行きませんが、リバルデールに来ると言う奇特な者達の監視は為さっていた様です。最も、このリバルデールでは他種族は殆ど力を出せませんので心配はないのですが」


 「力が出ないんですか?」



 力を出せないのにリバルデールへ来る人は変な人なんだろうな。まあ、他の大陸と変に交流しないといけないよりは全然安心した、権力を伴う人間関係などあまり乗り気はしないもの。それを生き抜く自信は無いし‥‥。



 「リバルデールは魔力の満ちた大陸ですから、魔力を糧とし産まれ落ちた時より慣れ親しんだ我らは元より、魔力に慣れないものにとってこの大陸は歩くのもやっとでしょう。身体が得たいの知れぬ魔力に拒絶反応を起こすようで、極々たまに拒絶反応の出ない者も居りますが、そういった者は変わり者ばかりですからスイ様の心配するような野心や権力には興味を微塵も向けていませんので大丈夫ですよ。奴等が興味を向けるのは自分の琴線に触れたモノにだけですから」


 「ん、サイラスさんはその反応の出ない方達とお知り合いですか?」


 「‥‥‥知り合いなどではございません、ええ、心底違います。この大陸に来る度に性懲りもなく絡んでくるゴミです。スイ様も不審な輩に絡まれた際には、速やかに私かフルーの元へ転移下さいね」


 「は、はあ‥‥分かりました?」



 眉間に皺が出来たのを見ると、サイラスさんにとっては宜しくない感じの様だ。なんだろう、背中がぞわっとする。やっぱり変な人なんだろうなぁ、見てみたいような避けていたいような‥‥まあ縁があればその内来るだろう。リバルデールに来る度にサイラスさんに突撃するなら、遠くから見ようっと。




 「その転移って、すぐ出来るようになるものですか?まだ魔力見えてないし」


 「転移は幼体が初めに教えられるのです。まだ力なき幼体が危険を回避するのには転移が一番ですから。」




 逃げるが勝ちだもんね、親か近くの大人の所へ転移すれば生き残る可能性もぐんと上がるし、一番初めに教えるのには確かに妥当だ。

 じゃあ、きっと一番初めに教えるやつだからそんなに覚えるのが難しくはないよね。



 「転移は移動する場所又は人物を思い浮かべるだけですね」



 難易度はとっても低くかった。

 思い浮かべるだけで良いのか‥‥なんて楽チンなんだろう、これ位なら私でも出来る筈だ。



 「大事なのは、なるべく確りとイメージをする事です。半端にイメージしてしまうとずれた場所に転移してしまうのがたまに居ますので気を付けて下さいね」


 「えぇ‥‥適当にイメージしたら訳わからない所へ行っちゃうって事ですか?」


 「その通りです。まあ我々はそう簡単には死にはしませんので問題はないと言えば有りませんが。まずは、そうですねフルーかルディの元へ転移してまた私の所へ戻ってくるという事でどうでしょうか」


 「分かりました、頑張ってみます!」



 フルーさんかルディさんかぁ、ルディさんには午後に会うしここはフルーさんかな。

 フルーさんは海みたいに綺麗で波打った青色の髪で、ぽってりツヤツヤの唇にやや垂れぎみの目は色っぽい。そしてなにより妖艶な体つきがとっても羨ましいです!よし、イメージ完璧な筈。イメージが出来たと同時に足元の床が淡く光だしたと思えば、景色が変わり知らない部屋に居た。



 「あら?‥‥まあ!スイ様じゃありませんか。転移の訓練ですわね、ささお掛けになって。お喋り致しましょう!もう(わたくし)スイ様とお喋りしたくて仕方なかったですわ。お菓子も丁度厨房によって貰ってきた所ですから!」


 「え、あの、フルーさん。ちょっと待って下さい、ええっとまたサイラスさんの所へ戻らないと‥‥サイラスさん困っちゃうんで‥‥」


 「そんなの大丈夫ですわ。その内痺れを切らしてここに来るはずですから、一緒におやつタイム致しましょう !」



 うふふ、と笑いかけるフルーさんとおやつらしいクッキーに戻らないとサイラスさんに迷惑掛けちゃうなぁなんて、更に口に出すなんて事は出来なかった。クッキーとっても美味しそうなんだもん‥‥、猫の形で可愛いし。サイラスさんごめんなさい、後で猛烈に反省するので許して欲しいです!



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