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魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺  作者: ウミガメ
第3章 闘技場とハーレム
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準決勝戦

ユウリの姿が見えなくなったのを確認すると、俺は胸元のペンダントを取り出した。

ゆらゆらと左右に揺らすと、太陽の光に照らされて、ヒビの入ったところがよく目立つ。


「なぁ、どうしたんだこのヒビは? 今までなかったよな?」


俺はペンダントに問いかける。

ペンダントが太陽の光をきらりと反射する。


「ワタシも気づかぬうちに、どうやら萌えが溜まっていたのねぇ~」

「なんだよそりゃ……」


萌えによってヒビが入ったという事は、おそらく呪いが少しずつ解けているという事なのだろう。


―――とすれば、このペンダントが壊れたその時に、俺は解放されるのだろうか。


俺は昨夜の事を思い出し、ヒビの入ったペンダントを見た時のラルフの悲しそうな表情を思い出す。

ラルフに無駄に心配させてしまっていることを、心底申し訳なく思った。

しかし本当の事を言うわけにもいかないので、困ったものだ。


ペンダントからは「これからも励んでね☆」の言葉を最後に、また何も聞こえなくなった。





準決勝戦が始まろうとしていた。



会場に着いた時に感じたのは、今までとは明らかに違う人々の数であった。

観客席を見渡せば360度ほとんど全ての席が既に埋まっている。


人々の顔は明るく、闘技場内は既に熱気に包まれているのを肌で感じていた。

午前中に行われていたらしい、もう片方の準決勝戦がきっと盛り上がったのだろう。



目の前の準決勝の相手を見据える。

全身を黒いオーブで覆い、身長は高く、大きく立派な杖を持っている。

いかにも魔術師といった格好であった。

その表情と格好の雰囲気から、今までの対戦相手とはまた一段違うオーラが放たれていた。


その対戦者は珍しく、試合前に俺に一度歩み寄る。


そして俺の顔を見るなり、少しだけ驚いたような表情をした。

しかし直ぐに元の表情に戻ると右手を差し出した。


「……よろしく」

「ああ、よろしくな」


俺は同じように右手を差し出すと、相手に魔力が渡らないよう、意識をせずに握手をした。


師匠との修行のおかげで、相手への魔力譲渡はある程度コントロールすることができていた。

しかし完全に抑制することはできず、触れれば魔力譲渡は少なからず発動してしまうようだった。



「両者、正規の位置へ!」



審判の声が大きく響くと、俺らは後ろへ下がり、目印の線に立つ。



「では、はじめ!!」







ずっと静寂の中にいたような気がした。



―――試合は終わっていた。



そう分かった瞬間に耳に入ったのは、観客からの地鳴りのような歓声だった。

目の前に広がる光景には、魔術師たちに治癒を施される対戦相手がいた。


今までに感じたことのない脱力感と眩暈を感じて、俺もその場に座り込んだ。

しかし、それも、束の間の出来事だった。



「明日の決勝戦の対戦相手を発表する!」



背後で聞こえた声に振り向くと、そこには大きな台紙に2名の名前が書かれている。

それを見て―――息が止まりそうになった。


「う、そだろ……」


そこに書かれていたのは「エルネスト」と。








―――見間違いじゃない。



「ギルバート」の文字が書かれていた。



ジリジリと照らす太陽の光を感じた次の瞬間、その場で俺は意識を失っていた。







目を覚ますと、真っ白いベッドに寝かされていた。

どうやらここは救護室のようだった。


慌てて身体を起こして辺りを見回すと、隣のベッドで先ほどの対戦相手が横になっていた。


「気を失ってたのか……」


そう呟くと、目を覚ましていたのか対戦相手が目を開き、こちらに振り向いた。


「ああ、目を覚ましたんだね。さっきは対戦ありがとう。素晴らしい動きだった」

「いや、こちらこそ……記憶が今飛んでて思い出せないくらい、凄い試合だった」


俺はまだはっきりとしない頭で、そう返事をした。

そして先程のギルバートと書かれた文字を思い出す。



「……なぁ、ところで決勝戦の相手で発表されたギルバートって知ってるか?」



そう聞くと、相手は大きく口と目を開けて、驚いた表情をした。

その反応から、ギルバートの事を知っているのは明白だった。


「多分俺の知り合いなんだけどさ……。いつも出場しているのか?」

「ギルバートはもう3年も前から、ずっとこの魔術闘技祭の優勝者だよ!」



―――優勝者!?



その事実に驚きを隠せなかった。

俺のその反応が珍しかったのか、相手は不思議そうな顔をした。


「知らなかったの? ……ああ、君は魔術闘技祭が初めてだって言ってたから知らないのも無理ないか」

「ああ、知らなかった……」


「今年もギルバートがどうせ優勝だろうって言われていたよ。……でもその中で君が現れたんだ」


なるほど、そういったことからも、俺の異端性が話題になっていたのか。


―――しかし、ここで一つ疑問が浮かんだ。


ギルバートが例年優勝しているというのなら、俺がこの大会に出場する意味はないはずだ。

だって、ギルバートが求めているものは「優勝賞品」さらにいえば「お金」である。

俺が優勝してそれをギルバートに渡すはずだったが、そもそも自分が優勝できるのならその契約には何の意味もない。


今年は自分が出場できないというならともかく、いつもと同様に出場している。



―――そして明日、俺と戦うという状況にあるのだ。



「……ちなみにギルバートが出場するようになったのは3年前からってことなのか?」


そう尋ねると、相手は首を横に振る。


「いや、3年前までは別の人が連覇してたんだ。それまではギルバートは準優勝だった」

「なるほど、それで……。連覇していた人が3年前に出場を止めたってことか?」


その言葉に、相手は大きくため息を吐くと、また首を横に振った。

そして俺の顔をじっと見つめた。


「そうじゃない……その人は亡くなってしまったんだ」




その言葉に息を呑んだ。




どうやら俺には、まだまだ知らない事実があるようだった。


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