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魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺  作者: ウミガメ
第3章 闘技場とハーレム
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準決勝の朝

頭がズキズキとしていて、その痛みで、ふと目が覚めた。


「……イッデェ」


重たい頭を何とか持ち上げて、ベッドから起き上がる。

カーテンを開けると眩しい朝日が容赦なく目を焼き付けた。


―――そう言えば昨夜はラルフと酒を飲み過ぎてしまったんだった。


いつの間にベッドで眠ってしまったのだろうか。

少しずつ覚醒する頭の中で、昨夜の記憶を思い出していく。


「ああ、そういえば……」


ギルバートのあの傷付いた、なんとも切なげな表情を思い出す。


(今日は……来なくていい)


この家に来てから毎晩、ギルバートに魔力を供給する儀式を行っていた。

それを怠ったのは、昨晩が初めてだった。


「どうして、昨日はあんな事を言ったんだろ。……ギルバートは俺の事なんて、何の興味もないと思ってたのに」


しかしそれを冷静に考えられないほどには、頭がガンガンとしていた。


―――今日の準決勝は午後からだったはずだ。


ギルバートの家で昼食を食べてからでも十分に間に合う。

そんなことを考えていると、机の上に真っ黄色の液体の入った瓶が置いてあるのが目に入った。


「なんだろう、これ」


ビンのすぐそばには紙が置いてある。

それを手に取ると、そこには何やらメモが書かれている。


(おにぃのバカ! もう知らない! これでも飲んで元気になっちゃえ!)


文面から察するにユウリのものだろう。

とすると、この瓶の液体は何かの薬というところだろうか。


「うーん……これは当たりか、それともハズレか」


怒っているのか、応援しているのか、ユウリからの謎のメッセージはかなり恐怖だ。

まだまだユウリの考えていることは未知数な部分が多すぎる。


俺はおそるおそるビンの蓋を開けると、匂いを嗅ぐ。

なんとも酸っぱい香りがして、鼻腔を刺激する。


「の、飲むか……」


そしてグイッと一気に飲み干した。


「あ……」


すると、先程までズキズキとしていた頭の中に、一気に風が吹き抜けたように、痛みが消えていった。


「す、すごい……」


気分の悪さも吹き飛び、頭の中が明瞭になっていくのが分かる。

お酒を飲んだ後にこれ一本!

うーん。これは間違いなく金儲けの種になる。


ユウリに感謝だ。

おおよそ俺が昨日酔っぱらってべろべろになって帰ってきたのを、目撃していたのだろう。


俺は気分を良くして、寝間着のまま部屋を出るとリビングに向かった。



リビングに入るが、そこには誰も居ないようだった。

そういえば家の中からは物音一つしない。


「ギルバートも、今日はもう出かけてるのか……」


俺はギルバートが居ない事に少しほっとしていた。

昨日のあの後ではどう顔を合わせたらよいものか、考えあぐねていたのだ。


そばにあったソファに座ろうとした、その瞬間、腰にトンと小さな衝撃が走った。


「わぁ!!!」

「……ん?」


後ろを振り向くと、ユウリがひしっと抱き着いていた。


「……どう? ビックリした?」

「あ。ああ! 驚いたよ」


そう声をかけると「エヘヘ」とユウリは満足したように笑った。


ユウリはこの所、肩の少し下まで伸びていた髪をバッサリと切り落とした。

今は男の子でも十分通じるほどの短い髪形になっている。


そして、驚くべきはその髪はなんとギルバートが切っていたらしい。

あのぶっきらぼうな振りをして、案外器用な上に、文句を言いながらも面倒見が良いらしい。


「今朝の薬ありがとうな! それで、どうしたんだ?」

「……別になんにもないよ。なんにもない」


ユウリは俺の腰から手を離すと、スルリとその脇を通って俺の前に立つ。


「最近おにぃ、修行で忙しそうなんだもん。……昨日はせっかくのお休みだったのに、ラルフさんと一日おでかけしてさ。ボクは置いてきぼり」


ユウリが不満そうに両の頬っぺたを膨らませる。


「だから、ちょっとでもおにぃに元気になってもらいたかったの。ボクのこと構ってくれなくたって」

「ユウリぃ~!!」


俺はユウリの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやった。

ユウリは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。


「ば、バカ! やだ! そんなの嬉しくないんだ! ボクは誤魔化されないんだ!」


そして俺の手を振り切ると、更に両の頬っぺたを破裂しそうなほど膨らませる。

それがあんまり可愛らしかったので、そのユウリの頬っぺたの風船を両方の人差し指でつっつくと、プッと小さな音がした。


「……もう知らない!!!!! バカ!!!!!!!」


そしてユウリは真っ赤な顔で怒りながら、ドタドタと階段を上がり、二階の自室に戻っていった。



その後、俺が家を出るまでユウリは一切部屋から出てはこなかった。

何度か声をかけたが返事が全くないので、仕方なく俺は家を出ることにした。



外に出ると、暑いくらいの日差しに思わず目をそらす。

太陽を直視しないように家の二階を見ると、ユウリが窓からチラリと覗いているのが見えた。


その姿に俺は安心して手を振ると、ユウリはバツが悪そうに、口を尖らせながらも小さく手を振り返してくれた。


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