【19枚目】そして100日目。
今日は記念すべき食パンダッシュを始めて100日目である。
今日も私は、学園の50m程前で馬車を降ろしてもらった。
「お嬢様… いよいよ今日で最後ですね。」
アンは優しい目で私を見ている。
「うん。今日でいよいよ最後だよ。明日からはハリス様がうちに馬車で迎えに来てくれることになっているからね。」
そう言って私は食パンを口にセットした。
「やーん!!遅刻遅刻ぅー!!!」
今日も曲がり角に向かってダッシュする!
(この100日間、色んな事があったなぁ。)
婚約を解消されたり、デビュタントで踊ったり、ハリス様と思いが通じるも、ハリス様が記憶喪失になったり。
けれど、結局これからまた大好きなハリス様と一緒にいられることになった。
私の食パンダッシュの婚活結果は花マルであるっ!!
「今週末はハリス様とどこに行こうかなー。」
楽しい妄想をしながら曲がり角まで走っていくと、ドン!!と男の人にぶつかった。
相手はもちろん…。
「ハリス様っ!!!」
私はハリス様に抱きついた。
するとハリス様は恥ずかしそうに隠し持っていた花束を差し出してきた。
「ルチア・トラボルタ嬢っ!貴女のことが大好きだ。
どうかこれからも一緒にいて欲しいっ!!」
私は笑顔で答える。
「はいっ!私も!!私も大好きですっ!!!」
―HAPPY END
〜おまけ①
―ミラ・エマーズのその後
「くっ。私っ!ヒロインなのにまさか退学になるなんて思わなかったわ!こうなりゃ一攫千金よっ!」
こうしてミラ・エマーズは『モテモテ♡ミラたんの小悪魔テクニック』というエッセイ本を紆余曲折を経て出版することになった。
本はなんとバンバン順調に売れて、彼女は出版界の新星として、鮮烈なデビューを飾った。
ついでにグラビアデビューもして、Hカップ小悪魔エッセイストとして雑誌の表紙も飾った。
「よーし、次回は『小悪魔♡ミラたんのボディータッチ入門〜初級編』を売り出すわよーっ!」
と意気込んでいた時だった。
どんどんどんどん!!!
ドアが何度もノックされた。
「だぁれー?こんな夜更けにノックするのは…。」
恐る恐るドアを開けると…。
「「ミラたーん、養ってーーー!!!!」」
そこに現れたのはかつて、自分が学園で洗脳した令息達だった。
およそ5人程が結託してミラの家に転がり込もうと計画したようだった。
いずれも皆、婚約破棄され家督を継ぐ事もできず平民に堕とされた者たちばかりだ。
だが、顔はいい。
皆イケメンばかりなのだ。
そして、今、ミラはお金を持っている。正直相手はお金持ちに限定する必要はない。
「…しょうがないなぁー。私が養ってあげるっ!!その代わり、家事と夜のお楽しみはお願いね♡」
「「はぁーい!!!」」
こうして、彼女は真のイケメンパラダイスを手に入れた。
(稼いでくるのは大変だけど、これはこれでいいかもぉー♡)
彼女が『ヒモ達の女神』として、世の中に認識されるようになるのはまだ先の事…。
あざとい女は強いのである。
〜おまけ②
―カール様のその後
愚かにも魅了魔法『ラッキー⭐︎スケベ』に洗脳されていた私は王位継承権を剥奪されてしまった。
だが。私は今回の経験を通して気づく事ができた。
そう。女体の素晴らしさにっ!!!
女体とはもう芸術だ。私はこの素晴らしさを自分の描いた絵を通して世の中に伝えていきたい。
ミラのパンチラにすぐ洗脳されたのも、結局私が女体が好きだからなのだろう。
こうして、私は裸婦専門画家として、生計を立てていく事になった。
好きな事に全力投球出来る今の環境が幸せだ。
私は公務が別に好きではなかった。
正直、頭の良くて要領のいい、少し腹黒い弟の方が向いていると思う。
(…だが、エリザベスには悪い事をしてしまったな。
お詫びにエリザベスの今の一番若くて美しい裸体を記念に描き残してやることとしよう。)
そう思い、ルークに相談したら
「ふーん、僕の大事な奥さんになるエリザベスの裸体を描くだって?
…兄上、僕に処刑されたくてわざと言っているのかな。
毒殺と、絞首刑、どっちがいい?」
と黒い笑顔で本気でキレられたので、諦めることにした。
―おしまい。
ここまでルチアの恋を応援してくれた読者様、本当にありがとうございました!
正直途中まで書いてて恥ずかしくなってきてしまい、もうやめちゃおうかな…と頭を何度か過りましたが、せっかく顔文字やブックマーク、評価で応援してくださった読者様が少しでもいるんだったら、なんとか完結させよう…と頑張りました。
次回は『料理好きの主婦、週末は異世界で主婦になる。』のスピンオフを書く予定です。
設定の時点では今までで一番壮大な話になるはずです。
良かったらまた読みにきて下さると嬉しいです。
2025.5.11 ブー横丁。




