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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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アザラシとは似て非なる

「うっ!眩しい!」

空を見上げてみると日本の朝日とはまた違う刺さりそうな朝日が俺の体を目覚めさせた。乾燥しているからなのか非常に心地が良い。乃木と椎名は朝食を取っていた。

「乃愛ちゃんも食べなよ」

「だな」

見たことない料理だったがとりあえず食べてみる。かなり美味い。

「美味いな。この料理」

「でしょ!」

「鶏肉が美味しいですね」

朝食は皿からあっという間に消えてしまい、なんだかインド料理を食べたくなってきてしまった。

朝食を済ませると俺たちは各種装備を装備し、準備を整えた。椎名だけ妙な装置と容器をリュックに入れていた。

「椎名、それはなんだ?」

「ハッキングに使う装置とドローンです。ドローンは偵察には欠かせませんから」

「ドローン、操縦しても良い?」

「乃木さん、それは無理です」

椎名が断ったのは、乃木が絶望的にラジコンの操縦が下手だということを椎名が知っているからだ。

「よし、準備は済んだか?コウタロウズエンジェル!世界を救え!」

山猫は俺たちに洋画の探偵を気取って言った。

「わかった。だがコウタロウズエンジェルはやめてくれ」

「久遠、ノリは重要だぞ」

「よし、行こう!」

俺たちは山猫を無視して義勇兵たちに紛れて任務を開始した。

義勇兵たちは本当に多国籍だ。中東系、アフリカ系、ヨーロッパ系、アジア系。そして様々な言語。まるで人類のサラダだ。

任務を開始してから数十分。俺たちは戦闘に巻き込まれていた。

「椎名!伏せろ!」

「はい!」

俺はテロリストの足に小銃を発砲する。本当は頭を撃てば良いのだが、山猫の命令でなるべく殺さないようにしている。まさか自衛隊員との訓練がここで役に立つとは。

「久遠さん!この路地裏に入りましょう!」

「わかった!」

路地裏に入ろうとするとひとりの男が目に入った。あからさまにピンチだ。

「おい!お前!こっちだ!」

「ダメだ!敵の攻撃が激しい!」

「援護する!来い!乃木と椎名は先に行ってくれ!」

「分かりました!」

俺はその場に留まり男を援護した。

「今だ!行け!」

「恩に着る!」

男が路地裏に避難したのを確認し、俺も路地裏に入った。

「ありがとう。俺はエディ・ガーハイム。君は?」

「久遠乃愛だ」

「私は真理亜!」

「椎名桃花です。危ないところでしたね」

男は汗を拭いながら残弾数を確認していた。

「どのくらいあるんだ?」

「マガジンが3つ。中途半端なのが12発」

「俺もそんなもんだ」

乃木と椎名は今後の行動について話していた。

「とりあえず一緒に行動しようよ」

「乃木さん、私たちの任務は大量破壊兵器の無力化ですよ。さすがに一般人を同行させるのは」

「桃花ちゃん。その時はその時だよ」

「お前らは何の話をしてるんだ?」

エディは日本語は分からないようだ。

「椎名、とりあえず一緒に行動してみたらどうだ?適当なところで別れれば良い」

「確かにそうですけど」

その時、後ろの方からガタガタと何かが転ぶ音が聞こえる。音の方を見てみるとテロリストがひとり倒れていた。

「任せろ」

エディはそう言って立ち上がると拳銃でテロリストの頭を撃ち抜いた。

「久遠、お前らは俺を連れていくのか?」

「あぁ。連れていく。だが、ひとつだけ答えてくれ」

「なんだ?」

「なぜ民間人であるお前が法執行機関しか使えない小銃を持ってるんだ?」

エディは特に驚く様子も無くあっさりと答えた。

「俺がデブグルの隊員だからだ」


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