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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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異国

半年後、山猫が山口司令の計画を組織の全員に話した。組織の奴らは始めは驚いていたものの、すぐに飲み込んでしまった。一体なんなのだ。この異常な適応力の高さは。だが、この適応力があるからこの組織に所属できるのだろう。それが1つ目のニュースだ。2つ目のニュースは先月、椎名が戸籍を取得したことだ。下の名前は「桃花」に決まった。どんな方法で取得をしたかは分からないが、恐らくとてつもない権力や圧力を使ったに違いないと俺は考えたが山猫が言うには普通の方法で取得したらしい。

「山猫、死んだ司令官の替わりは誰がやるんだ?」

「ん?俺だよ。俺、副司令官だし」

山猫はまた重大なことをさらっと発表した。組織のほとんどの奴らがそれを知らなかったらしくイブ計画を知った時よりも驚いていた。この組織の奴らが驚く基準がやはり分からない。乃木に聞くと「大体こんなものだよ」と言った。

「じゃあ、山猫のことは司令官って呼べば良いの?」

「いや、真理亜ちゃん。山猫って呼んでくれれば良いって」

「まぁ、どっちにしろこれからも山猫って呼ぶ予定だったけどね」

山猫はいつも通り面倒そうに頭を掻いていた。山猫はこれからもただの山猫でいるつもりのようだった。

「乃木らしいな」

「そうだよ乃愛ちゃん。山猫に威厳なんて似合わないよ」

「ハハッ、確かにな」

俺のその返事を合図に全員がドッと笑った。

それから2週間ほど後、山猫が衝撃的なことを言った。

「久遠、真理亜ちゃん。俺たちと中東に行くぞ」

「山猫、それ本気で言ってる?」

「乃木さん。山猫さんは嘘を付きませんよ」

椎名は真面目な顔をしていた。どうやら本当のことらしい。

翌日、俺たちは緑のパスポートを使って中東へ向かった。

「さ、中東に着いた。乾燥してるな」

「乃愛ちゃん、保湿クリーム塗ろうよ」

「いや、遠慮しておく」

するとターバンを頭に巻いたスーツの男がこちらに手を振りながら歩いてきた。

「こんにちは。ミスターナルサス」

山猫はその男と固い握手をしていた。アラビア語で話していたので俺と乃木は内容が理解することが出来なかった。すると椎名が俺たちに「山猫さんはナルサスさんと紛争地域に行くための確認をしているようですね」と言ってきた。

「椎名、アラビア語分かるのか?」

「はい、山猫さんに教えて貰ったので」

椎名の習得力は大したものだ。椎名は他にも英語、ロシア語、中国語まで習得。おまけに高度なハッキング技術を身に付けたそうだ。

「みんな、行くぞ」

山猫はナルサスと話を済ませ、俺たちを呼んでいた。

「俺たちはこれからこれに乗り、目的地に向かう」

山猫の指差す方向にはオフロード仕様の大型車が停まっている。

「よし、乗るか」

俺たちは大型車に乗り込んだ。



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