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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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つかまえた

数日後

「乃愛ちゃん、拳銃持った?」

乃木はハンカチ持った?と同じ言い方で俺に聞いた。

「持った。大丈夫だ」

俺と乃木は山猫の言っていた暴力団の事務所の近くで防衛副大臣が出てくるのを待っていた。この防衛副大臣が銃の横流しをしている。

政府が恐れているのは銃の数が減ることではない。本当に恐れているのはその銃が海外に渡りコピーされることだ。性能の良い銃のコピーは世界中に広まる。カラシニコフ等がその代表だ。仮に自衛隊の銃のコピーが広まってしまったら政府のお偉いさんたちが屈辱感に包まれて死んでしまう。そうなってしまったら大変だ。

「副大臣出てくるかなぁ」

「まるで出待ちだな」

俺の顔から笑みがこぼれる。

「文字としては出待ちだよ」

「言葉遊びだな」

「そうかも知れないね。ねぇ、乃愛ちゃん」

「どうしたんだ?」

「なんだかデートみたいだね」

乃木は何故か照れていた。

「バカ言え。でも、なんで事務所には潜入しないんだ?」

乃木はびっくりした顔をしている。

「だって面倒じゃん」

言われてみると確かに面倒だった。わざわざ忍び込むよりよっぽど効率が良い。俺は相変わらず頭が固いらしい。

すると事務所から副大臣がヤクザふたりと出てきた。

「乃愛ちゃん、行くよ」

乃木の小声の合図で俺はヤクザの背後に回り首に手刀を入れて気絶させた。乃木も同様にもうひとりのヤクザに手刀を入れた。副大臣は突然両隣のヤクザが倒れたので明らかに動揺していた。

「副大臣ですね?同行願います」

俺はそう言うと合気道のように副大臣を倒すと。副大臣は怯え、震えていた。

「き、君たちはいくら欲しいんだ?」

副大臣は俺たちを買収する気のようだ。

「バカなのか?」

乃木は後ろでハンカチに麻酔薬を染み込ませていた。

「い、いくら

「おやすみー」

乃木は副大臣の口を麻酔薬入りハンカチでふさいだ。はじめはモゴモゴ何かを言っていたが次第に静かになり気を失った。

「こいつは金教の信者なんだな」

「金教?」

「金さえあればどんなことでも解決できると思ってるやつのことだ」

「そんなもんじゃない?」

乃木はあっさりとしていた。

「かもな」

少しすると清掃業者の軽自動車が走ってきた。どうやら清掃業者に変装した回収班らしい。男たちは副大臣を座席の後ろに作ったスペースに入れてさっさと行ってしまった。

「あいつらも大変だな」

「みんな大変だよ」

「大変だ」

「とりあえず、報告するために指令部に行こうよ」

「そうするか」



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