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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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依頼

俺はコーヒーを用意し、乃木と山猫の元へと向かった。

「コーヒーお待たせ」

乃木が「インスタント?」と聞いてきた。

「インスタントじゃなかったらもっと時間がかかってるだろ?」

「それもそうだね」

乃木はそう言いながらコーヒーを飲み干した。山猫は砂糖を大量に入れていた。

「山猫。それ、スプーン何杯目だ?」

「10杯目だ」

山猫はそう言うと11杯目の砂糖をコーヒーに入れた。

「入れすぎだ。やめろ」

俺は砂糖の容器を取り上げた。山猫はおもちゃを取り上げられた子供のような顔をしていたが無視をした。そのような表情は子供がするから意味があるのであって大人では気持ちが悪いだけだからだ。

「じゃあ、本題に入る。俺は君たちに任務を伝えに来た」

「任務?」

「ここに忍び込んでこの議員を捕まえてくれ」

山猫は俺たちに1枚の紙を見せた。そこには有名な暴力団の事務所の住所と防衛副大臣の写真が乗っていた。

「任務の開始日は1週間後だ。気を付けてくれよ。じゃあな」

山猫はどこかへ行ってしまった。

「ヤクザの事務所かぁ」

俺は自分の顔を両手で覆った。まさかヤクザの事務所に忍び込むとは思っていなかったからだ。すると乃木は俺の肩に手を置いて「今の乃愛ちゃんなら大丈夫だよ」と言ってくれた。

「乃木、ありがとうな」

「だって、私たち恋人でしょ?」

乃木の目はキラキラと輝いていた。

「いや、それは違う。友達だろ」

「恋人だもん!」

「今回はごり押しを通さないからな」

「もぅ」

乃木は少しふてくされていた。

「俺はもう寝る。ソファで寝るから乃木はベッドで寝ろ」

「乃愛ちゃん」

「なんだ」

「一緒に寝ようよ」

「やだ」

俺は即座に断った。乃木には前科があるからだ。

「おやすみ、乃木」

俺はソファで横になった。

「おやすみ、乃愛ちゃん」

乃木は少し興奮気味にベッドに入った。

「乃愛ちゃんの匂い・・・。乃愛ちゃんのフレーバー・・・。寝られない」

「寝ろ!」

「はーい」

次に目を開けると朝日が目に入った。そして横を見ると全裸の乃木がいた。

「乃愛ちゃんおはよう」

「おはよう」

「あれ?反応が薄いね。どうしたの?」

「慣れた」

「人間ってすごいよね」

「だな。そして服を着ろ」

「りょーかい!」

乃木はエプロンだけを着た。

「今日の朝ごはんは私だよ!私を食べて!乃愛ちゃん!」

「慎んでお断り申し上げる。そして服を着ろ」

乃木はやっと服を着てくれた。露出癖でもあるのか?乃木はなんというか「残念な美人」だ。

「朝ごはんは俺が作る。乃木は座っててくれ」

「乃愛ちゃん男らしいね」

「中身は男だ」

俺は簡単な朝食を作った。乃木がどれも美味しいと言ってくれたので嬉しかった。俺がパンを食べながらテレビを付けるとハロウィンの特集が組まれていた。

「あ!」

「乃木、どうしたんだ?」

「乃愛ちゃん!明日ハロウィンだよ!」

「そうだな」

「明日仮想して行こうよ!」

「衣装なんてないぞ?」

「先月買ったじゃん!」

俺はゴスロリ衣装の存在を思い出した。

「行くかぁ」

「そうこなくっちゃ!」

乃木は楽しそうだった。

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