素を知りたい⁇
オレは友達の妹の家庭教師をしている。
その生徒は、とにかくかわいいが変わり物
だ。
その可愛くて変わり者の妹を実はオレは狙
っている。
本日もその生徒とのお勉強中。
「ねー、穂乃果ちゃん」
「ほぇ?なんですの?先生」
「ここ、ちょっと違うかなー」
「えっ、ふむふむ…あー…ここですね」
ガシッ
ギューギュー消し消し
と、とにかく問題を間違えると消し方がす
ごい…。
しかも、その消しかすをきちんと同じ場所
にきれいにまとめている。
…几帳面?なのかな?
にしても、消し方すごくね⁉︎
消しかすをまとめながら穂乃果ちゃんは、
恥ずかしそうにオレに言った。
「あの…空先生…。」
「ん?何?わからないところある?」
「はい…。実は…」
「うん。いいよ、教えてあげるからなんでも
聞いてよ」
「実は、ですね…」
「うん」
「空先生がわからないんです」
⁉︎ん?オレの教え方よくない⁉︎
それは大変だ‼︎
「そうなの⁈オレ教え方よくない⁉︎もしかし
て今まで全然わからなかった感じ⁈」
思わず質問攻めしてしまった。
「あー…勉強は、すっごくわかりやすいです。
ありがたき幸せでございます。」
「え、じゃあ…何がわからない…の?」
わからないのがわからない…
ん?
ややこしい…
「わたし、空先生がもっと知りたいです。先
生としてじゃなくて、空単体が知りたいの
です」
…空単体…?
んー…
素のままのオレって事かな?
「先生じゃない、普通のオレって事?」
「はい!そうです‼︎修といる時の空です」
…いきなり兄貴もオレも呼び捨て。
「この消しかすがミニケース満タンになった
ら、素の空見せてもらえますか?」
あー、だから消しかす大事に集めてたのか。
…しかし …素の空かぁ。
脳内で小人飼ってるとか…?
あと、妄想変態野郎とか?
そもそも家庭教師はじめた動機とか聞かれ
たら、穂乃果ちゃん…引くんじゃね⁈
うわー…
よく自分を分析してみたら、オレってやば
い奴じゃん。
ピピーッ。
小人たち、全員集合ー‼︎
ぞろぞろ。
「なんだよ、空…今は穂乃果ちゃんの鑑賞会
なんだぞー」
なんて小人たちがざわめき出す。
「そんなのんびりしていられない。いいか。
一大事だ。」
「なんすかー」
オレの脳ミソに寄りかかりながらだるそう
に小人が聞いてきた。
「なんすかーって!聞いてなかったのかよ?
穂乃果ちゃんが素のオレを知りたがってる
んだよ?どうするよ?」
「どうもこうもないっすよー。ありのままの
自分見せたらいいっすよー。それが空なん
っすから」
「あー…まぁ、そうなのかなー…。」
「…あのー、先生?」
「あぁ、穂乃果ちゃん」
すっかり脳内小人との相談会で頭がいっぱ
いになっていたオレ…。
「素のオレだっけ?」
「はい」
「じゃあ、今度オレとデートしてみる?」
「はい‼︎ぜひぜひです‼︎」
と言う事で、デートすることになった。
…オレ。
なんでこんなにも大胆にデートなんて…
自らデートに誘うなんてオレどうしたんだ
よ⁉︎
オレー‼︎
すげ〜じゃん。
自分を褒めたたえた…
壁ドンからはじまり、一番の生徒になって
なんて大胆発言といい、オレはほんとに穂
乃果ちゃんを前にすると突拍子もない行動
に出てしまうな。
ってかさ‼︎ってかさー‼︎
今更だけどなんで穂乃果ちゃんオレの素を
知りたいわけ⁇
んんん?
も、もしかして穂乃果ちゃんって…
うーん。
しかし自惚れは、良くないよなー。
焦りも禁物だ。
とにかく‼︎
今はチャンス到来だ‼︎
勉強の息抜きついでにハッピーデートを楽
しもうじゃないか。
さ、帰ってデートプラン考えよーっと。
るんるんで穂乃果ちゃん家を出ようとして
いたら…
視線。
うんうん。
穂乃果ちゃんと思いきや修ー⁉︎
何かをヒラヒラバサバサしている。
…あ、ノート忘れた。
慌ててノートを取りに行くのでありました。
続く。