第8話 "村人R" は "合否発表" に挑んだ!
「レッシュ…レッシュ起きろよ、朝だぜ!」
昨日の夜まで食べ明かしたレオンはライオット達の泊まる宿に共に泊まっていた。
ライオットがベッドに横たわるレオンを揺らす。
「むにゃむにゃ…ライオット…俺はまだまだ食い足りないぜぇ〜…」
「まだ、寝ぼけてんのかよ…おいレッシュ起きろって!」
⦅あぁ…よく寝たぜぇ…⦆
フレッシュの肉片が背伸びをするようにレオンの体から伸びる。
「ん?」
⦅ん?⦆
「うっ、うわぁぁぁぁぁ!?」
宿中にライオットの驚く声が轟く。
「ふがっ、ライオットどうした!?」
レオンもその声でようやく深い眠りから目覚める。
「ど、ど、どうしたも何もお、お前の体から、に、肉が…」
「ん?俺の体から?」
レオンは下に視線を向ける。肉塊がなんだかしょんぼりしているかのように萎びれて出ていた。
⦅悪ぃ坊主、俺様としたことが…⦆
(ヤバい…バレたか?)
レオンは冷や汗をかきながらライオットを見る。
「レッシュ、お前……すっげぇな!なんだよそのスキル!」
ライオットが目を輝かせながらレオンに詰め寄る。
「こ、これはえっーと…」
レオンは昨日、フレッシュが偽造していた『鑑定』の結果を思い出す。
「に、『肉体操作』っていうスキルなんだ…あはは…」
「すっげぇな!俺も使ってみてぇなぁ!」
⦅素直で助かったな…坊主…⦆
(あぁ、正直見られたのがライオットで良かったよ…)
「あっ!そういやレッシュの合格通知が出たから起こしたんだった!早く見に行こうぜ!」
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「楽しみだなぁ!」
ライオットはルンルンでステップをしている。
「おぅ…」
そんなライオットと対照的にレオンは足取りが重い。
「本人あんな顔してるのになんであんたはそんなに元気なのよ」
クローディアは呆れながら、2人の後ろを歩く。
「レ、レッシュさんなら大丈夫ですよ…」
カノンがようやく口を開いてくれるようになったことがレオンの心を少し癒してくれる。
⦅覚悟は出来たか?坊主⦆
(ええい!なるがままよ!)
レオンは足取りを早くした。
|名前:レッシュ |
|筆記試験:32/100 判定F |
この文字がレオンの目に映る。
「はぁ…これからどうしたらいいんだよ…」
⦅良かったな、坊主⦆
(何がいいんだよ、不合格だろこんなん)
⦅ん?ちゃんと下見ろって⦆
(下?これ以上何が書いてあるんだよ)
レオンは視線をまた紙に移す。
|名前:レッシュ |
|筆記試験:32/100 判定F |
|戦闘能力:120/100判定A |
|故にCランクに推薦する |
「うおおおお!レッシュすげえ!」
「何よレッシュ!あんたやるじゃない」
「すっ、すごいです。」
3人がレオンを祝福する。
⦅なっ、良かったろ坊主?⦆
「いよっしゃあ!」
レオンは飛び上がる!夢の冒険者になれたのだ。これからのやりたい事が頭の中で広がる。
「よし!お祝いだな!今日も美味いもん食おうぜレッシュ!」
「そんなお金無いでしょ!昨日でほとんど使っちゃったじゃない!」
「えぇ…マジで…?」
ライオットがオロオロする。
「はぁ…」
クローディアのため息は大きくなるばかりである。苦労してるんだろうな…とレオンはこの数日だけでも感じる。
「それなら、これ参加しようぜ!」
そこには、ゴブリン殲滅戦という文字が書かれた紙が貼られていた。
「これって、昨日のあのデカい集落のことか?」
「そうだぜ!俺たちの情報提供で任務が作られたんだ」
⦅ほう面白そうじゃねーか、どうする坊主?⦆
決まってる。
「もちろん、行こうぜ!」
レオンは張り切った声で話す。
「よぉし!それじゃあすぐ出発しようぜ!」
「ちょっと待ちなさいよ!危険になったら『すぐ逃げる』これだけは守ってよね!」
クローディアがライオット達に詰め寄る。
「も、もちろんだぜ…なぁレッシュ」
「お、おうもちろん…」
「ならいいんだけどね…」
クローディアは少し安心する。
「だ、大丈夫だよ。任務は色んなパーティーが来るしあのAランクパーティーの『七色の曲剣』も来るらしいし…」
ライオットはクローディアを必死になだめようとする。
「私はあなたが心配なのよ…」
クローディアがボソッと呟く。
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ゴブリンの集落が見える丘の上の集合場所には何組かのパーティーが集まっていた。
「思ったよりも少ないな」
レオンは驚く。この人数であの大きさの集落なんてどうにかなるのだろうか?
「安心しろよレッシュ、ここにいる全員町ではそこそこ有名なパーティーだらけだぜ。弱いパーティーがいても足手纏いになっちまうからな」
「そっか…」
「それに『七色の曲剣』もいるしな、おっ見ろよ!あそこにいる人たちがそうだぜ!」
ライオットが指を指す。
爽やかな金髪の男性、冷静沈着な雰囲気を感じる銀髪の女性、豪快そうな大きなヒゲを伸ばしている大男。メガネを掛けた弓師、他にも何人かいる。
「なんか凄そうだな…」
レオンは彼らの覇気に気圧される。
「そうだよ!あの人たちがいれば上位種が何体いようが問題ねぇって!」
(上位種…?)
⦅スキルとかを持ってるモンスターのことを言うらしいぜ、あとは《《呪縛》》を持ってるやつだな⦆
(そんなのやばいんじゃ…)
⦅大丈夫だろ、あそこの奴らは坊主よりは強そうだ。⦆
「おっ、始まるみたいだ。レッシュ準備しようぜ!」
「あんたぐらいよ、こんなんでテンション上がるの…」
「レッ、レッシュさん、待ってください…」
ライオット達が足を止める。
「どうしたカノン?」
が聞く。
「そ、その…が、頑張りましょう」
カノンがレオンに拳を出す。
「……そうだな!頑張ろうぜカノン」
レオンも拳を出し、拳を合わせる。
「えへへ…」
カノンの顔がニマニマしている。
⦅かわいいな、なぁ坊主⦆
(う、うるせぇよ…)
レオンの顔が少し赤くなる。
「レッシュ!カノン!行くぞ!」
ライオットが遠くから手を振る。
⦅行くぞ坊主⦆
「おう!」
レオン達は駆け足でライオット達の元に向かう。
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「グルルル…」
集落の中には一際目立つ大きな影がうなりを上げている。
「結構、大きくなったなぁ…これなら期待できそうだね…」
フードを被った男がそんなことを呟いている。
この男がレオンとフレッシュの運命を大きく変えることになるのはもう少し先の話。




