第1話 "村人R" は 呪われた !
『呪縛』−それはこの世界の罪人に邪神によって与えられる甘い罠。
『呪縛』を与えられた者はその力に溺れ、やがて『呪縛』に魂ごと喰われると言われている。
そんな『呪縛』を持つ者達、呪縛者達を止める組織『円卓』
彼らの戦いは今もなお続いてる………
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ここはそんな戦いとは縁のない呆れ返るほど平和な村「セーキマツ」
そんな平和な村に一人、外に憧れる男が…
「そもそも邪神だのなんだの言うが結局は悪い奴が悪いことをしたからそういう風に身を滅ぼす訳で、それをあたかも邪神のせいって他に責任押し付けるのって良くないよな…神様にだって神様なりの都合gッ…」
長々とひとりごとを呟いていた男の頭に板を割るような強烈なチョップが叩き込まれた。
「痛ってぇ!」
男は頭を抱えた。
筋骨隆々の男が言った。「さっさと働け!レオン!今はエール麦の収穫期なんだぞ!」
このデカオーg…… オヤジさんは農夫とは思えないほど傷だらけの顔をしていて、丸太のような手足、オーガのような図体を持っている。
良くこんなオーガみたいにがさつな人にあんな美人な娘さんがいるよなぁ…といつも心の中で思ってる。
「はいはい、分かってますよ。オー……ヤジさん」
「なんだ今の間は?」
「何でもないですよ、それより早く収穫しちゃいましょうよ」
「それもそうだな、よしレオンさっさと麦を取れ」
やっぱ人づかい荒いよなぁ、と思いつつレオンは手を大きく広げ、叫びながら振りかぶる。
「突風」!
大きな風が畑中の穂だけを吹き上げる。
続いてオヤジが籠を持って、より大きな声で叫ぶ。
「収集」!!
吹き上げられた穂が一瞬で籠に集められる。
「オヤジさん、スキルってこんなわざわざ叫ばなきゃいけないんですか?」
レオンは顔を少し赤くしながら言う。
「馬鹿野郎!叫んだ方がカッコいいに決まってんだろ!」
(じゃあいらねぇじゃねぇーか脳筋め)
「なんだその目は文句あんのか?」
ドンッバキィ
オヤジさんの長〜い説教が始まろうとした時、後ろの扉が勢いよく…というより殴り飛ばされる形で開く。
「お父さん!」
「リ…リン」
「また、レオンさん虐めて!ダメって言ってるでしょ!」
「それはコイツがだなぁ…」
この娘はリンさん、オヤジさんの娘とは思えないほど華奢で可愛らしい女性…と言いたいところだが「剛腕」のスキルを持っている。この親にしてこの子ありって感じだ。
「レオンさんお仕事は終わりましたか?」
「はい、今終わったところです」
「それは良かったです。お身体に気をつけてくださいね。」
リンさんは俺の周りにいる人物で唯一の聖人と言っても過言ではない。
「その…」
「どうしたんですか?リンさん?」
「よ、良ければ明日、私のお誕生日会に来てくれませんか!」
もちろんです、と答えようとしたがリンさんの背後から鋭い眼光で俺を睨むオヤジさんの顔を見て、一瞬躊躇ってしまった。
「も、もちろんですよハハハ…」
「わぁ、嬉しいです!明日楽しみに待ってますね♪」
そう言いながら暴れるオーガの首根っこを片手で掴みながら帰っていった。
すると、「うわ、雨かぁ…麦が濡れる前に収穫できて良かったな。今日はもう家で過ごすか」
レオンは家に帰りついてすぐに今日の賃金を見ていた。
「今日は結構稼げたな!あともうちょっとで目標達成だぜ!」
レオンには夢があった。この世で最も自由な職業、冒険者になることだ。そのための装備を揃えるために金貨2枚が必要だった。大体、雇われ農家の3年分の給料だ。
「とりあえず、防具は買ったしあとは剣と盾だけだな」
レオンは手作りの防具立てに掛けている防具に目を向ける。
『熟練者御用達!オーガのパンチでも壊れない最強アーマーセット一式』
「くぅ〜かっこいいぜ、試しに着てみ…」
ズドーン、バキッ
屋根を突き破り、ナニカが落ちてきた。それは理不尽にも『熟練者(以下略)』を踏み潰した。
「お、俺の最強アーマーが…」
レオンはこの怒りと悲しみを謎の物質にぶつけようとする。
「この野郎、誰がこんなもの投げ込みやがって…」
レオンが触れようとするとそれがドクドクと躍動していることに気づき、手を離そうとするがそれは瞬く間にレオンの腕に飛び移り、口の中に入ってくる。
「あっ、ガッ、ウゴゴゴゴが」
レオンの身体の中でナニカが蠢いている。まるで身体を吟味しているかの如く。
想像を絶する痛みにレオンは意識を手放してしまった。




