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ルラル様

 目の前に広がる光景を

 私はまだ受け入れられずにいる


ここには峰が居るはず……いえっ!そもそもなんで裸……そんなことより縛られて……


というふうに、私の頭の中は今でも情報が錯綜している


 しかしこの時点で一つだけ、

 ハッキリとこの状況を起こした犯人が私には分かった。


「みぃぃぃねぇぇぇぇ!」


 そう、峰しかあり得ないのだ


 その結論に辿り着いてから

 戸惑いを占めていた感情が怒りにかわり

 少し冷静になり始めた時、


「あの……ルラルさん、これほどいてもらえますか?」


 リグが助けを求めてくる


「ええ……今助けっ」


 言葉が詰まる


 頭はまだ混乱しているようだ

 目の前の凄まじい光景が私の不安をかき立てる


これが……私を誘い込む罠なら……


 リグが私に好意を抱いているのを知っていた私は

 どうしてもその推測を捨てきれずにいた

 

 そう考え出すと不思議なもので

 私から見るリグもどこか喜んでいる様に見えなくもない


「ごめんねリグ……でも私貴方を信じきれないの……」


 伝えるとリグの目が私を見て

 疑問からか、なんともいえない表情をする。



「貴方がそういう趣味じゃないって信じきれないのよ!」


 

 今度はハッキリと伝える

 

 

 するとリグは唇を噛み

 何かに耐えるように言う


「酷い……誤解なんですルラルさん……」


 天を見つめ悔し涙が溢れているのが

 この距離からでもみてとれる




 そうしていると

 廊下の先から複数の足音と声が混ざって聞こえ始める。

 

「なんだ!何事だ」


 恐らく、

 先程私があげた悲鳴を聞きつけやって来たのであろう

 

 ここは暫く、男性船員に対処を任せ

 私も異変に気付き、今駆けつけた風を装うことにした


 先頭の男が


「え?ルラルさん?」


というのを皮切りに

 

 続く3人の男達も口々に

 ルラルさんルラルさんと続ける。


「一体どうしたんです?貴方はこの区画に立ち入りが……ハッ!」


 先頭に男が部屋の中のリグの惨状を見て絶句する

 続く男達も同様にだ


「ええこれをどう思う?」


と冷静を装って言う

 


「……」


 

 男達が言葉を失っている

 当然だこんな酷い光景なかなか見るものではない


 そう思い反応を待っていると

 先頭を来た男がついに口を開く



「これを我々に見せるのが目的ですか……」



ん?どういうこと?



「こんな!うらやまっ……酷い真似をして!どう思うかですって!?」



え……



「違っ!私がやったんじゃ……」


 何かおかしな方向に進んでいると思った私は

 なんとか軌道修正を試みるが



「嘘おっしゃい!」



ビクッ!


 

 私の抵抗虚しく真っ向から否定される


 そしてリグに男が近寄っていき

 優しく抱きしめながら尋ねる


「泣かなくて良いんだよリグ……誰に泣かされているんだい?」



いや!その聞き方は駄目


 そう思う私の想像通りにリグが答える



「ルラルさんが……俺を変態だと言って……」



 男達がざわつく


「あのルラルさんが…」

「やはりルラルさんが……」

「間違いなくルラルさんが……」


 口々に言葉を囁きわたしをみる


 すると先頭の男が

 ムクリと立ち上がり

 私を見てこう言う


「見損ないましたルラルさん……いえルラル様!」



違う……違うのよ私じゃないの!



 顔は熱くなり

 誤解のはずなのに、

 まるで私が本当にやったかのように恥ずかしさが込み上げる。


「聞いて!違うのよ!」


 必死に訴えかける私に


「話は聞きます、しかし我々は貴方を捕らえなければなりません!」



なんでそうなるのよ!



「さぁ!抵抗して我々にも同じことをすると言うならぜひやってみなさい!」


 男達に囲まれる



ちがぁぁっぁう!


「ほんと私じゃないんだってぇぇぇぇ!」



 

 恥ずかしさの余り私は男の一人を跳ね除け

 通路を走り出す。


「くっ!さすがだルラル様」


 跳ね除けた男が後ろで言っているのが聞こえたが

 無視して走り出す。



 走る私の目的は定まった

 その決意を口に出して確認する。






「峰浩二……絶対殺す」












 





 







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