第31話 慌てる王女様
第三十一話 慌てる王女様
リース王女様のお父さん…いわば国王様が俗に言う戦闘狂とわかった後もしばらく会話が続いていたのだが、オークの一言で俺は固まることになった…
「それで悠真はどの子が本命なんだ?」
そんなことを言い出したのだ…
しかも、みんなの前で…
その一言で俺が固まるのはもちろん、他のみんなも固まってしまった。
そして、みんな悠真をじーっと見つめ始めた。
…どの子が本命?
そんなことは考えたこともなかった。
なにせ何度も言っているようにカレンとシアは俺が創造した…いわば家族のような存在だ。
それを恋愛感情でどうのこうのは考えたことがなかった。
いや、多少は意識をしたりはあった。
カレンとお風呂に入ったときや、シアとデートをしたときとか。
…だが、それが恋愛感情からきているのかと言われるとわからない。
リース王女様に関しては、そもそも昨日出会ったばかりだし、この際、深く考える必要はないだろう。
たしかにカレンとシアは綺麗だし可愛い。
不意に見せる笑顔や仕草にドキッとすることもある。
好きなことは間違いない。
しかし、それが家族としてなのか一人の女の子としてなのかがわからない。
…いや、それも違うな。
俺はただ逃げているだけだな。
前の世界でいない者として扱われてきたから…
結局俺が何も言えずにいると…
「まぁ、悠真様も言葉に困っているようですしこの話はここまでにしましょうか! それに…悠真様はカレンさんやシアさんのことを家族のように思っているようですよ?」
「そうなの悠真?」
「妾としては少し物足りない気もするのじゃが…まぁ、今はそれでよしとしよう」
「う、うん。そうだけど…」
あれ?
俺、王女様にそういうこと話したっけ?
大事だとかそういう話はカレンとシアが馬車とかでしてたけど…
「こりゃお嬢ちゃん達も大変だな…」
「ん? 何か言ったオーク?」
「いや、お前さんは鈍感だなって思っただけだ」
「どういうことだ?」
俺の言葉にオークはあからさまに溜息を吐いた。
こいつまじかよ…と、言わんばかりに。
そんなこんなで会話をしていたが、オークは仕事があり俺達も城に行かないといけないためお開きになった。
「じゃ、俺は仕事に戻るわ! お嬢ちゃん達頑張れよ!」
オークはそういうと仕事に戻っていった。
「お嬢ちゃん達頑張れよって…どういうことだったんだ?」
悠真の言葉にカレン、シア、王女様は呆れたような顔をしていた。
「カレンさん、シアさん…大変ですね…」
「まったくじゃのぅ…」
「わ、私は別に…」
三人の言葉に悠真はついていけず首を傾けるのだった。
………
……
…
オークと別れた後、また馬車に乗り揺られていること1時間程で目的地であるお城についたようだ。
俺達は馬車からおりると王女様はお城に手を向けこう言いだした。
「私の住むお城へようこそ〜! どうですか? 大きいしいい感じでしょう?」
「お、おう。すごいな?」
君のテンションが…
「へぇなかなかいいお城じゃない! 私の城と同じくらいね!」
「ふむ、いいお城じゃのぅ! 妾の城と同じくらいじゃのぅ!」
「ちょっ! お前ら!」
まじでそういうのは言わなくていい!
たしかにカレンは竜の皇族のイメージを持って創造したし、シアにいたってはそもそも女王だけどさ!
ほら! 王女様もなんか反応に困っ…て?
あれ? なんか顔が青くなってきた?
「え? え? お城? もしかして二人ってどこかの国のお姫様とかだったりするの? …ってことは私ひょっとしてかなり失礼な態度で接してた?」
「いや、気にしなくて大丈夫だぞ? カレンとシアが勝手に言ってるだけだから!」
俺がそう言うと王女様は俺の事をじーっと見つめてきた。
いっとき見つめていたがやがてあわあわとまた顔を青くしながら、
「やっぱり失礼な態度してたー!」
と、叫んだのだった。
「いや、本当にこいつらが勝手に言ってるだけだから気にしなくていいって!」
「私は嘘なんかついていないわよ?」
「妾もじゃ」
「ごめん。少し静かにしててくれ…」
王女様が落ち着いたのはもう少し後の事だった…




