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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
32/45

貴船町⑧

大変お待たせしました。


更新と並行してこれまでのパートを修正していってます。

伏線の張り直しを踏まえてるので良かったら見て下さい。


※12/13時点で13部まで修正済


◇◇◇


「そ、それはあれだよ!ほら、なんて言うのかな・・・そんな香りがしたんだ。そう!危険な匂いってやつ?」


「ハル・・・」


(うわあ~めっちゃ疑ってる目だよ・・・他に方法なんて思いつかないしなあ・・・)


「もしかして、ハルには予見の素質があるのかもしれないな」


「・・・ん?予見?それは・・・どういう意味なの?」


「未来予知だ」


「未来予知?」


「どこから説明しようか・・・実は、ハルは昔から魔法の素質が全くないんだ」


「そうなの!?それじゃあ僕には魔法が使えないってこと?」


「今はマナの安定化が進んでいるから素質がない人でもオートコアを使えば魔法は使える。だからそれほど気にしなくても大丈夫だ。それにハルの場合は少し特殊かもしれない」


「特殊?」


「未来に干渉する魔法は、現在の事象に干渉する魔法とは違って、その習熟は極めて遅くなる。予見系の魔法使いは晩成型なんだ」


「じゃあさっき僕が水護陣を予見できたのはその素質が開花し始めてるってことか」


(リセットで何度もやり直せる栞の力はある意味予見系なのかな?・・・それよりも、こんな風に解釈してくれるのは結構ありがたいかも。はは・・・)


「もう一つ。血縁で素質が決まるわけではないけど、ハルのお父上も亡きご祖父そふも、予見系の魔法使いなんだ」


「父さんも祖父じいさんも予見系なら、なんか僕もそうかもしれないって気がしてきたよ」


(もしもハルの魔法が予見系なら、月乃の意識世界でも役に立ちそうだ)


「アカデミーに着いたら先生に聞いてみよう。今なら系統診断の結果が出るかもしれない」


「そうだね。アカデ・・・」


スパっと。


突然、音も無く飛んできた飛来物により、ハルの手首が切断された。


「え?」


ものすごい量の血が右手首から溢れる。


「ぐああああああっ!?」


「なんだ!?なにが起こった!?ハルの手が!?・・・あのチャクラムか!」


「狙い通りに切り落とせた。てっきり予見系の法術士だと思っていたのに。違ったのね」


赤い忍びの女は、壁にめり込んだチャクラムを回収する。


「それじゃあ次。その首でも狙おうかしらね」


◇◇◇


「お前さんは誰だ!?攻撃してくる目的は一体なんだ!?」


(あの格好は・・・まさか、火の珠を狙っているのはこのくノ一か!?)


「それを話す義理はないわね」


忍びの女はチャクラムを構える。

ロイは後ろにいるハルをチラっと見た後、横に走った。


(このくノ一がウィークテイマーだとすると、この状況でホルマと対峙させるのはまずい!・・・探ってみるか)


「お前さん!なぜ俺達を狙うんだ!町は魔物で大変なんだぞ!」


「うるさい。なにも話すことはない」


忍びの女はロイに向けてチャクラムを投げる。


「うわっと!」


(急ブレーキしなけりゃ真っ二つだ・・・なんという精度で投げているんだあのくノ一は)


チャクラムは真っ直ぐ飛んで壁にめり込んだ。


「顔を隠しているところをみると、お前さんは賊か?魔物騒動に紛れて盗みを働こうってことなのか?」


忍びの女は答えず、チャクラムを回収して再度投げる。

チャクラムはロイが避けた後も、真っ直ぐ飛んで壁にめり込んだ。


(賊なら俺達を狙うよりも、町中を荒らせるだけ荒らすほうがは大きいはずだ。俺達を狙う理由が他にあるのか?・・・まさか!火の珠を運んでいるとバレたのか!?)


「俺達は魔物から避難する為に手ぶらで東棟に向かっているところだ!だからなにも持っていない!頼む!見逃してくれないか?」


ロイは真正面から飛んでくるチャクラムを横に飛んで回避する。


(あのチャクラムは直線状に飛ぶだけだ。速度にも反応出来る)


ロイは視界の端でハルを捉える。

ハルは建物に寄りかかりながら止血していた。


(ハルの為にも時間は掛けられない。・・・こちらからも仕掛けてみるか)


ロイは駆け寄り、壁にめり込んだチャクラムに手を掛ける。


「な、なんだこれ!?全然動かせない!?」


「ちょっと。私のチャクラムに触らないでくれるかな」


忍びの女はロイに向かって拳を突き出す。

ロイは両腕をクロスにして拳を受け止めた。


ボキっと、鈍い音がした。


「ぐっ!」


忍びの女は拳でもう一度ロイを殴ると、ロイはボールのようにぶっ飛ばされた。


◇◇◇


「ロイ!」


(くそ・・・手が死ぬほど痛い・・・今すぐリセットしたいけど、あの女をなんとか出来る方法を見つけないとまた繰り返される!)


僕はロイの傍に寄る。


「ロイ!あいつはもう倒せないのか?」


「俺達では無理かもしれない・・・あのチャクラムもそうだけど、くノ一のパンチも相当やばいぞ」


忍びの女は壁にめり込んだチャクラムを回収して僕たちを睨んだ。


「私を賊と一緒にしないで。これでも私はウィークテイマーなの。さてと。お話はこれぐらいにして。あなた達はここで終わりね」


「ウィークテイマー!?ロイ、もしかしてホルマの言ってた・・・」


「ああ。・・・ハル、いいか?絶対にあのくノ一とホルマを近づけさせるな」


「分かった」


忍びの女はこちらに向けてチャクラムを勢いよく投げる。


「ハル!しゃがむんだ!」


僕はロイに引っ張られる形で地面に伏せる。

チャクラムは空を切り、後ろの壁にめり込んだ。


「ぐっ!痛い!痛い・・・」


「ハル!?くそ!・・・なあお前さん!俺達は戦えないんだ!魔物から逃げているだけなんだ!お願いだ!アカデミーまで避難させてくれ!」


「それは出来ない。何回も言ってるでしょ。その為に今。足止めしてるのよ」


「足止め・・・?それはどういう意味だ!?」


「失言した。それは教えられない」


忍びの女はチャクラムを回収してまた投げる。


「次も避けれるかしら」


チャクラムは先程よりも低い位置で真っ直ぐと向かってくる。


「ハル!飛ぶんだ!」


今度はロイに引っ張られる形でジャンプする。

チャクラムは足の下を通り過ぎた。


「ふふ。まだ終わらないよ」


真っ直ぐ飛んでいたチャクラムは弧を描き、今度は後ろから僕達に迫ってきた。


(あのチャクラム、真っ直ぐ飛ぶだけじゃなかったの!?)


「だめだ!避けれない!」


「ならばせめて、ハルだけでも・・・ハル!痛いけど我慢しろ!」


ロイは僕を力の限り押し出した。


「ぐっ!」


チャクラムの軌道線上かられた僕は、押し出された態勢のままロイを見ていた。


「後は頼ん」


チャクラムが、ロイを真っ二つに切り割いた。


「ロ、イ・・・?」


「意外とあっけないのね」


忍びの女は自身に飛んでくるチャクラムを平然と受け止めた。


「ロイ!ロイ!・・・うう、おえええっ」


「さあどうする。友達は死んじゃったけど。次は君が死ぬ?」


そう言って忍びの女は、もう一度チャクラムを投げた。

次の部の下書きは完了してます。

細かい修正をしてからの投稿を明日明後日にはがんばります・・・!


面白いと感じて下されば、是非とも評価をお願いしますლ(╹◡╹ლ)


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