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第78話 エピローグ
処刑から、七日が過ぎた。
光の神殿は静けさを取り戻していた。
あれほど騒いでいた人々も、もう別の噂を追いかけている。
ワタシは、フィニアスの眠る部屋にいた。
窓を開ける。
銀の森を渡る風が、髪を揺らした。
ーー懐かしい風。
ふと、胸の奥が温かくなる。
『……人間って、本当に騒がしい』
声がした。
耳ではない。 もっと内側。
ワタシは、静かに目を閉じる。
「イーグ?」
『今さら名前なんて必要?』
くすり、と笑う気配。
あの時。 風の奥方のもとで。
ワタシは、砕けかけたイーグを、自分の中へ取り込んだ。
だから、もう彼女は外にはいない。
風になるたび、時々こうして声だけ残る。
『あの女、最後まであなたを呼んでたわ』
「……はい」
『変なの』
風が吹く。
カーテンが揺れた。
『でも、嫌いじゃなかった』
それきり、声は消える。
窓の外。銀の木々がざわめいていた。
まるで、誰かを見送るみたいに。
完




