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気が強い高嶺の花は夢の中では僕の恋人  作者: nite
夢と現実の彼女の話

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結局文化って何なんだろう

「夢の中でも文化祭をするつもり?」

「ただ寝るときに考えたのが文化祭だっただけだよ」


 いつも通り、夢の中。

 寝る瞬間に文化祭のことを考えていたので、白い空間じゃなくて、文化祭開催中の学校に僕らは立っていた。


「楽しかったわね文化祭」

「それはなによりだよ」


基本的に僕が夢の中に入った時は、白い空間に僕もひうりも立つことになるのだけど、考え事しながら寝るとそちらに引っ張られてしまうのだ。


「さてと、それじゃあ反省会をしましょ」

「えっと…うん」


 …なんかひうり、機嫌悪くない?


「まず…文化祭は本当に楽しかったわね」

「そうだね」


 …


「デートらしいこともできたしね」

「そうだね」


 …


「それで…最後のあれは何なのよ!ちゃんと手を握りなさいよ!」

「ごめんなさーい!」


 やっぱりそれで怒ってたー!

 あのときどうにも勇気が出なくて、そのあとずっと考えていて…眠るときに怒られるのではないかと思ってたからここに来たわけだけど、やっぱり予想通りになった。


 でも一応弁明しておくと、仕方ないことじゃないか。だって、現実では僕とひうりはまだ友達なのだ。結構いい雰囲気になっている自覚はあるけれど、まだ手をつなぐ段階ではないと思う。


「というか、ひうりは狙って手を当ててきたの?」

「いえ、現実の私は無自覚よ。でもね、ちょっとそういう気分にはなってたの。それを無視するなんて、本当にっ!」

「ごめんって」


 言い方は軽くとも、ちゃんと謝罪する。重くなりすぎない方が、恋愛は長続きするらしいとどこかで読んだことを思い出す。


「現実の私たちはまともに手を繋いだこともないのよ!」

「でもそれは仕方なくない?」

「一樹くんがリードしなさいよっ」


 ひうりは随分と文化祭での一件が気に食わないらしい。でも、ああいうことをされて進んで手を繋げる人なんて、超イケメンか物語の主人公だけだよ。

 僕は別に物語の主人公ってわけじゃないんだから、過度な期待をされても困るというかなんというか…


「私は積極的に一樹くんとカップルになろうとしてるのに、どうして一樹くんは消極的になるのかしら…」

「ひうりが学校全体からどう思われてるのか考えてよ。僕は何か目立つようなことをしたら、それこそ永遠に夢の世界にいることになるよ」


 既に僕のことは、結構な人に知られていると忠に言われたことがある。

 去年の段階では何の特徴もない男だったのに、急に学校の姫と仲良くしだしたことがインパクトが強かったらしい。同学年はもちろん、上にも下にもすぐに噂は飛んで行ったらしい。


 忠曰く、もしキスでもしようものなら次の日の命はないらしい。目立つようなことはやめておけと警告までされているのだ。

 僕もそう思うので、自重しているのだけど、僕の彼女にはその自覚がいまだに薄いらしい。


「見せつけましょうよ」

「僕がボコボコになるよ」

「私から言ってあげるわよ。それくらいの力があることは自覚しているわよ」


 ひうりに守られるのはなんか違うような気がするし、どのみち陰険な嫌がらせに発展するようにしか思えない。むしろ、なぜまだ嫌がらせされていないのか不明である。


「もしくは…進藤くんに頼ってみたら?」

「忠もひうりのファンの一人だよ」

「私からはそう見えないけど…私より一樹くんのことを優先してくれると思うわよ」


 僕とひうりの間には忠への印象が違うらしい。まあ、ひうりは忠とあまり関わらないからわからないのも無理はない。あいつはそれなりにひうりへの気持ちがある。

 ひうりがいなくても仲良くしてくれるような奴なのは知ってるけども…


「体育祭も文化祭も終わっちゃったのよ?このあとどうやって仲を深めるっていうのよ」

「無理に学校内でそういうことをしなくてもいいんじゃないかな…?」

「夏休みのあれを期待しているなら諦めなさい。あれをしたせいで、現実の私は少し自分自身に疑心暗鬼になってるのよ。今の現実の私なら拒絶はしないでしょうけど…何か一樹くんに誘導されてると思っても仕方ないわ」


 流石に出かけた先に僕はちょうどいるというのは、少しばかり出来すぎだったようだ。ひうりに恐怖を与えたいつもりはないので、自重せねばなるまい。


「もし学校の外で会いたいなら、ちゃんと一樹くんから誘うこと!文化祭は私から誘ったんだから、それくらいいいわよね?」

「はい…」


 少しばかり威圧されながら言われたので、僕には肯定するしかない。どのみち拒否する理由はないし、ひうりが言っていることはごもっともなことだけど。

 でもタイミングは考えなければいけない。朝の時間は、結構周囲が聞き耳を立てているので、誘ったらひうりが去ったあとに袋叩きにされる。


「なら一樹くん、こうしましょう」

「うん?」

「まずは連絡先の交換よ。一樹くんは遠慮してるみたいだけど、私だってスマホくらい持ってるし、二人で話せるところは必要よ」


 なるほど…

 因みに、男子たちの間でひうりの連絡先は宝の一つとなっている。どこかの男子が女子にひうりの連絡先を聞き出そうとして、その場にいた女子たちに尊厳をボロボロにされた事件があってから、一種のブラックボックス扱いされている。


「いつかは一樹くんに任せるわ。今の私なら拒否することはないわ」

「分かった」


 大丈夫だ。現実で名前呼びできるようになったのだから、タイミングさえ間違えなければ。


「さて、それじゃ話し合いも終わったし…お詫びのスイーツでも貰おうかしら?」

「分かったよ」


 僕は特大シュークリームをひうりに渡しながら、どうしようかと考えるのだった。

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