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ハニービームトラップ その①

2003年 9月1日 11時10分


「早速仕事に取り掛かろう!君には沢山働いてもらわないとね。」

母が泣いている傍で、私とイオリは話を続けた。

「これから行くの?どこに?」

「過去さ!この時代の魂はほとんど取り尽くしてしまったからね、過去の魂を取りに行くんだよ。」

「それって、未来を変えちゃうんじゃ?」

「タイムパラドックスの心配かい?もう君は契約を通してじゃないとこの世の人間には干渉できないぞ。気にする必要ないだろ?」

イオリは私の手を引いて視界が一気に閉じて、体が冷たくなっていく。

「さぁ!ハルカの最初の仕事だよ!」



1986年 10月9日 23時26分


「あれ、」

私は誰だっけ?

「ハルカ、ついたよ。」

そうか、私はハルカって名前か。

記憶が飛んでしまっている。

「今回の標的は佐々木ひろし33歳。こいつの悪の人格を操作し、魂を奪うのが君の今回の仕事だ。」

この子の名前はイオリ、それだけは覚えている。

「わかった。イオリ、リミットはあるの?」

「1週間以内に頼むよ、こいつは10月16日に由美という名前の子供を授かる。そうなると悪の華を植え込みにくいんだ、できそうかい?」

「大丈夫、任せて。」

「悪の華は人間の心の中の闇を表へ出すものだ、植え込むには佐々木ひろしの悪に漬け込む必要がある。」

「わかった。」

「任せたよ、ハルカ。期待の新人さん♪」


佐々木ひろし、職業は大手メガネチェーン店の幹部、趣味はパチンコ。6歳年下の妻がいる。

ひろしは今帰宅途中だ。手元の資料によると、私との契約の条件をもうじきに満たす。

カランカラーーン

ひろしは神社の入口にある皿に乗った盛り塩を蹴飛ばし、辺りに塩が散乱した。

今だ。

悪の華を心臓に突き刺し、私は彼の前に姿を見せる。

「おーーいおねえちゃん、君ねえ?こーーんな夜遅くに出歩いてたらあぶないだろおぉ?」

左目の六芒星を確認。どうやら酷く酔っ払っているらしい。私をただの人間だと思っている。こんな奴にリミットを1週間も設定する必要はなかったな。

「お前は、もうじき死ぬ。」

「馬鹿いっちゃあいけねぇ!俺はもうちっとで娘が産まれんだよォ!」

「お前は私と契約した。お前は人間を1人殺したあと、私に魂を譲ることになっている。」

「あいぃ?人殺し?俺がそんなけったいなことするはずがねえだろおぉ?」

私のやり方はイオリとは違う。イオリは対象の願いをトリガーに魂を奪うが、私は対象の殺人をトリガーにしている。

「明日のこの時間までに誰でもいい、人間を殺せ。さもなくばお前は無限地獄へと堕ち、魂はそこへ固定される。永遠に死ぬこともなく、無限に続く苦しみを味わい続ける。殺すことが出来れば、お前の魂を私が頂く。」

「おい!そろそろいい加減にしねえと、犯すぞ!なーーんちってぇ。」

「これでも信じないというのか?」

私が虚空を左手で切ると彼の右手の親指は体を離れ、地面へと転がった。

「いってえええ!てめぇ!い、いい今何しやがった!!!」

「もう一度告げる!明日の23時30分だ!もし誰も殺すことが出来なければ、お前を無限へ堕とす!」

もう一本切り落としてやろうかと、虚空を切る構えを見せた時、彼は叫んだ。

「わかったよ!!もう指を切らないでくれ!どうやってるかわわからねえが!くっそいてえよ!たのむよー!お前の言うことも信じる!助けてくれよォ!」

「年齢、性別は問わない。24時間以内に同族である人間を殺せ。お前は先程、そこにある盛塩を蹴散らした。それが合図だった。私との契約は交わされたのだ。」

どこかで聞いたようなセリフだ。思い出せない。

「私の名はハルカ。悪魔だ。」

私は宙に浮き、自らが同じ人間ではないということを強く知らしめた。

「おい、、とんでるのか、?うそだろ、、、」

「また会おう。さらばだ。」



おいおいおいおい、

「冗談じゃねえぞ、、。」

俺はどうなっちまう?殺されるのか?無限ってなんだ?訳がわからねえ!いきなりやってきたガキンチョの女にあーだこーだ言われて、塩をけったのがいけねえのか?ガキの頃から母ちゃんには神様は大事にしなさいって言われてたなぁ、。大事にしなかったのが行けねえのか?神様!!ごめんよぉ!今度からちゃんとお賽銭するからよぉ。もし生きられたら、、だけどなぁ、。

「くそーー!!人なんか殺せねえけど、殺らねえと俺がやられんのか!?いやちがうな!どっちみち殺られるのか!ぐへえー!!」

とりあえず今は家に帰るんだ。おちつけ、俺はもうすぐ父親になるんだ。仕事だって順調だし。、、、そうだ!!これは悪い夢だ!家に帰って朝起きたら何事もない!また仕事帰りに入院中の妻と話して、娘が産まれてくるのも、病院の話じゃあもうじきらしい!幸せの絶頂で悪魔と契約?そんなわけがない!

「よかったあーーー!!」

ひとまず帰るか。自販機で1本ビールをかお。このちぎれた指もどっかで引っ掻いちまっただけだ!明日病院に行こ、、、

ガコン

んっっっ

「プハー!」

悪魔なんか居ない!絶対いない!俺は幸せものなんだ!絶対いないいないないないないない!

家に着いてから、さっきのは嘘じゃあねえってのが分かった。さっき会ったガキがいやがった。

「よお、佐々木ひろし。」

「ひいいぃっ!てめえ!どこから入りやがった!!」

「玄関だよ。通り抜けた。」

「とおりぬけただ!?ありえねえだろ!!」

「ごめん。」

こいつ、頭いっちまったプッツンかと思ったが、まじに悪魔じゃあねえか、、!くそっ!俺はまじで死ぬのか?

「無限ってなんだよ?俺が人を殺さなかったら行く、無限ってなんだよ!!」

「教えてやるよ。無限地獄とは、君の記憶の中にある辛い記憶をこの宇宙が終わっても永遠に経験し続ける空間のことだ。どんな手を使っても出られない。」

「なんで、、なんで俺なんだよ、、」

俺がなにかしたのか?毎日真面目に働いて、毎日家族のために金を入れて、もうそりゃあ死に物狂いで働いてるのに、俺の命日は明日か?

「おい、クソガキ、、」

「なんだ?」

「殺す人間は誰でもいいんだよな?なぁ?!」

「あぁ、誰でも構わない。」

麻里だ、あいつを殺そう。あいつ、職場で俺に色目使ってきやがるし、俺が結婚する時もいい顔しなかった。今日だってめちゃくちゃボディタッチされたし、あんなアバズレほっといたら大変だ。不倫だと疑われて妻の由香里に変な話が入っちまったらやべえ。やるなら絶対あいつだ!

「わーーったよ、決めとくから、もう帰ってくれ。」

「楽しみにしてるよ。」

空飛ぶチビ女の悪魔ねぇ。

とにかく無限ってのはヤバそうだ。人間には死っていう救済がある。死があるから人間は日々の時間を大切に想えるんだ。それを奪われちまうってのはまじでヤバい。それに辛い記憶だ?死んでもゴメンだ!あいつのあの感じだと、間違いなく"そこ"は存在する!

俺はあれこれ考えているうちに、いつの間にか眠っていた。


1986年 10月10日 6時00分

残り17時間30分






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