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第1章 10話 ティスと刀 コロシアムスタジオ編

ここは砂漠地帯。戦いの聖地コロシアムスタジオがある場所だ。


スタジオには砂煙が巻き上がり足元は崩れており体勢が取りづらい状態であった。その場の誰もが息を飲んだ。

「おい…地面割れたぞ…」

「大丈夫なの?」

「地震…じゃないよな?」

次々と野次馬共がざわざわと話し出した。あまりの衝撃に混乱しているかのようで。

「俺はロール!地面を操る!デスマッチと行こうぜ。弱そうな人の子供!」

「人の話は最後まで聞いた方がいいですよ。」(ていっても、この足場じゃ部が悪い…相手は従者といっていたから神なのか…それとも半端者?)

「今から死ぬのに何か言うのか。そうか遺書か!」

(僕は今は普通の人間…あの時のように体に神様から入れられていた力はない。自分で鍛えたものは絶対裏切らない!)

ティスは刀を抜いて地面を蹴り、相手に急接近した。ロールは両腕で刀を白刃取りをして受け止めてしまう。

「っ!?」

「遅いし軽い!」

ティスは顔を蹴りあげ手が緩んだ事を確認し、後ろにぴょんとさがり、再び構えた。

(渾身の一撃だったのに…バカだ。相手は仮にも神だぞ…)

「まだまだ!」

そういってロールは拳をバチンと合わせて殴りかかってきた。地面を蹴りあげ一瞬で間合いをつめられる。ティスはクロスした両腕を顔の前でガードし、受け止めるも力負けしてそのまま吹き飛ばされてしまう。壁にぶつかり、ポロポロと瓦礫が崩れている。

「弱い!よわいな!人間!」

「まだ…まだだ…」

刀で立ち上がりフラフラと再び構えた。殴りかかってくるロールの動きに合わせ、刀で受け止めてはいるもの、力の差で押し負けている。

「弱い!弱い!弱い!」

「うっ…ぐぅ…」

攻撃が激しくなり、再びティスは吹っ飛ばされた。その場は一気に静まり返った。


「アルトさん…ティス大丈夫なんすか…」

「さぁな…あのロール…あれで半端者か…」

「はぁ!?なんかもう俺神です!感がすごいんすけど…」

「まぁ半端者なんて嫌われてるからな。公開することの方がよっぽ頭おかしいぞ。」

「無駄話してる場合じゃないっすよ…ティスのことっす!」

「それはあいつ次第だな。引き際分からんやつをこの先連れてく事なんてできねーからな。」

「もしかして試してるんすか…」

「さぁな。」

アルトとスコットはその戦いを控え室にて見ていた。ボロボロになっているティスをみて、スコットは心配していた。


瓦礫の山に挟まれているティスの意識は朦朧としていた。

(血がすごいな…死んじゃうかもな…そういえばこの刀…僕次第なんだよね…)

ティスは回らない頭で考えていた。動かない体は為す術もなく、こちらに歩いて近づく大きな男の足を見つめていた。そしてゆっくり目を閉じた。


「諦めてしまうのかい?少年?」

「ん?だれ?」

誰かに呼ばれ目を開けるとそこは、真っ暗で辺りには星のように輝く空間が広がっていた。

「ここは…」

「ここか?ここはアルト殿が私のために作った空間だよ。」

「アルト…さん…?え?あれ?僕さっきまで…」

「いましたよ。あぁ自己紹介が遅れました。私はツヴァイスター。貴方の持っている刀です。」

謎の空間にぽつんといるティスはポカーンとしていた。そこに立っているのは金髪のダンディな男性がいた。

「え?刀?えっと…」

「今すぐ理解しろとは言いません。貴方の持っているその刀はかつて私がアルト殿に仕えていたときに使っていたものです。」

「えっと…ツヴァイ…スター?さん?この刀は貴方のもので、アルトさんとお知り合いで…?」

チラっと握っていた刀とツヴァイスターと名乗った男性を交互にみながら、間抜け面になっていた。

「ツヴァイと呼んで下さい。分からないって顔してますね。まぁそうですよね。どうします?このまま行けば貴方は確実に死んでしまいますよ。」

「そうだよ!穏やかな世界だったから忘れてた!流されすぎて頭がおかしくなってきた…」

頭を抱えるティスに対してクスクスと笑うツヴァイスターは座っているティスと目線を合わせて言う。

「私はこの刀に宿る者です。貴方がその気なら力を貸しましょう。望んでいいのであればアルト殿を共に守ってくれないだろうか。」

真剣な眼差しでティスを見つめる。

「分かりました。今僕に出来ることはそれしかないです。」

受け入れるように刀を握りしめた。

「また機会があれば詳しく説明いたします。さぁティス。この刀の名前と私の名前を。」

その空間は大きな光に包まれた。


目が覚めるとそこは先程自分が倒れていた瓦礫の山のなかであった。目の焦点が合わず薄ら薄らと意識を取り戻すティスは、刀を握っている方の手を目線だけ向けた。

(夢…だったのか…確か…名前は…)

一星剣(ひとせいけん)…ツヴァイ…スター…」

そう呟いた瞬間刀が光を放った。刀は形を変えた。刀身が延び、黄色く輝くロングソードになった。ティスは驚き再び立ち上がると、歩いてくるロールに視線を向けた。

「なんだ。お前のその武器は。」

「あんたには関係ない。」

「はは!今更そんな強がったって意味ねぇよお!!」

ロールは拳を振り上げながら突っ込んでくる。一星剣(ひとせいけん)で受け止めると、先程と違い吹き飛ばされるわけでもなくその場で受け止めた。

「ぐぅ貴様なにがあった!!」

「うぉおおおお!!」

ティスはそのまま一星剣(ひとせいけん)を振り上げ、黄色く輝く光の斬撃を放ちロールごとはじき飛ばした。

「はぁ…はぁ…」

ティスは息を上げて、ロールの方を見る。相手は壁に埋まって気を失っていた。

「2回戦目。勝者、ティス!!」

アナウンスが流れそのままティスは気を失い倒れた。


次に目を覚ましたのは全てが終わったあとであった。

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