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※茨の小説「癖のある男」、アマゾンで発売中
恐る恐る掛かり付けの医者に訊いてみた。
「1億円貯まってるんですけど、もう働かなくても生活できるでしょうか」
「・・・できるでしょう」
それを聞いて小躍りして悦び、さっさと公立の学校の先生など辞め、本来そうあるべきだった芸術に勤しむ身分になった。そして念願の女子高にたまに教えに行ってるよ。これは趣味だ。
僕の友達は皆でぶになるなあ。僕も床屋で座って鏡を見ると、腹が驚く程でっぷりしててやばいと思い、腹筋とランニングに励んでいる。しかし腹の贅肉は執拗い奴だ。
橋下徹が私立の高校の授業料を只なんかにしたから公立の彼高校もチャラいことをして生徒集めに必死なのだ。しかし校歌がポップなのは、吾が母校の流れではないか?
大学なんかより専門学校の方が、就く仕事のために勉強するから学ぶ動機が強く、よっぽど良いよ。世の中学歴社会なのは事実だが、肝要なるは人のできだ。そして親として子をしゃんと成人させる事だよ。
格安スマホ買うたな。世の中スマホ、スマホ言うときながら、金が高いのはずっこいよ。僕は月千円台半ばになる迄は買わん。
年金もらえるのは65歳だから公務員の定年も65歳で然るべきでしょう。嫌なら僕みたいに勧奨退職して割り増しの退職金をもらうことだ。この先も見えて来たし、したい様にして、大気を嗅いで人間らしく、生きなあかんで。
Kという男は真面目な奴で誰もが大学に行くと思っていたが、英語が苦手だと、きっぱり専門学校に行くと決めた決断力には感心したものだ。しかし己が名前に「英」という字を冠し、やはり「英」を名に持つ女と結婚し、2人の息子の名にも「英」を授けた彼は、余程英語にコンプレックスを持っていると見える。尤も学習意欲だけは大したものだ。
僕も皮肉なことに、正教員を辞めてから、英語の勉強意欲が燃え出した。仕事柄一端のことは分かっていたつもりだったが、如何に無知であるかを知った。今ノーベル文学賞作家のToni MorrisonのSong of Solomonを読んでるが、1年になろうという所で3分の1しか進まない。
韓国は本当に執拗い奴だ。日本大使館の前に慰安婦像を置くなぞ、吾が国に対する侮辱だ。即刻大使を召還し、国交を断交せんかい。女子高生の彼奴らはK-POPにチャラチャラしてるが、日本人はもっと誇りと言うものを持たなあかんで。
学習環境を求めて僕に近付いたのなら、K君は当てが外れたな。その当時僕は音楽に夢中で、勉強の動機はまるで無かった。糞遠くにある大学の合格発表を見た帰り、どしゃ降りの雨の中を傘を差さずに濡れるが儘になって、愕然と山の坂道を歩いて降りる僕を、見ただろう。
僕も全てを、あの皆がぬるま湯に浸かっている、母校とは呼びたくなかった、学校のせいにしていたが、この学校の奴らは家の環境が悪い。商店街の中にうちがあって2階に部屋があるが、夜うるさくて勉強できんと言う奴もいた。然るに僕の親は、落ち着いた6畳のベッドのある部屋を用意し、贅沢にもクーラーまで付けてくれた。奴らの中には自分なりに勉強して一流とは言えずとも、それなりの大学に通った奴もいた。そいつに僕は負けたと思った。
K君の誕生日はいつだっけ?
僕のは昭和天皇の誕生日だから覚え易い。この前昭和の初めが舞台のドラマを見たが、人は着物を着てるし道は土だ。昭和も60年でえらく変わったものだ。最近昭和の景色を残しておかんと、という思いが強い。寅さんの映画は貴重だ。サザエさんの4コマ漫画も大事な記録だ。家から父親が撮り溜めた布製の表紙のごっついアルバムが山程出て来た。いらんものは捨てると母親は言ったが、僕は取っとけと言った。家族の歴史だ。それに昭和の貴重な資料だ。1度僕が赤ん坊の時からの風景を辿って見たい。
太陽の塔の内部公開は何か月も先迄予約で一杯だと言っていたが、いざ公開となるとキャンセルだらけで困ってるらしい。しかし岡本太郎の作った太陽の塔は傑作だ。ランドマークになっている。
僕は60歳になると老人というイメージだ。八重桜も散った。しかし桜は秋にどこ迄も赤い紅葉を見せるのだよ。
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