5PEACE
午前の部の遊びが終わると、近くに青いレジャーシートを敷いた。
「…何してるの?」
「一緒にご飯食べよ?作ってきたんだ」
チリちゃんはトコトコと歩いてくると、レジャーシートの上に座った。
「靴を脱いでから入るんだよ?」
チリちゃんは土足でレジャーシートの上を歩いた。
「そうなの?」
不思議そうな表情でこちらを見つめてくる。
なんとか靴を脱がせ、レジャーシートの上に座らせた。
「はい、これがチリちゃんの分」
チリちゃんは手渡された弁当をジッと見ているばかり…
そんなのおかまい無しに自分が作った弁当をほおばった。
「おいしいよ」
その光景を見ていたチリちゃんはようやくお弁当を食べてくれた。
「…おいしい」
「だろ?これは俺が朝早く作ってきた―――」
小さな女の子と楽しいひと時が続く。
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■コ コ ■ ロ ノ カ■ケ■ ラ■
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いつの間にかに、空は夕焼け色。
「そろそろ帰ろうか?」
「そうだね」
チリちゃんはちょっぴり残念そうな表情を見せると、くまの人形を前にさしのべた。
「…?」
どう接すればいいのかな…?
「あげる」
「っえ?でも、これって大切な人形とかじゃないの?」
チリちゃんは顔を横に振った。
「大丈夫だから、受け取って」
こんな子から貰うプレゼントを男としては拒否してはならない。
「ありがとう」
そういって別れを告げると、家に向って歩き出した。
「どうしたの?その人形」
真弓はコーヒーをすすりながら聞いてきた。
「貰ったんだよ、例のあの子に」
「モテモテだね!でもその人形どっかで見たことあるんだよねー昔持ってたのと似てるのかな?」
真弓は人差し指をおでこにあて、昔の記憶をたどろうとしている。
「へぇー真弓ちゃんでもこんなの持ってたんだ」
「当たり前でしょ!私だって女の子なんだから!」
そしてこんなことが何回も続いた。
毎週土曜日に会えばチリちゃんからいろんなものを貰う。
小さなプランターに入った赤い花。
手料理だというハンバーグ。
小さな小さな小瓶に入った透明な水の首飾り。
他にもイロイロなものを貰った。
そして会うたびにチリちゃんはどこかを怪我していた。
何故こうも不思議がらなかったのだろう…
毎回毎回こんなものを…
もお世界自体を拒絶したくなる…
人間不信に陥ってしまいたくなる…
…助けて…助けて…助けて…