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俺の元にやって来た外宇宙からのエルフさんは文化侵略が目的のようです。  作者: 安達 明
モニター当選の品はエルフと云う種が来訪した事でした
6/23

6・エルフさんは増殖をはじめたようです

 昼過ぎに小腹の空いた俺はひとりで食べるのも何となく気不味さを感じ、隣で笑顔を向けている自称エルフさんに何か欲しいものがあるかを聞いた。

 だが返って来た言葉は俺の予想すらしていないもので"名前が欲しい"と云うものだった。

 え?確かに名前はモニター当選者がつける様な事を言っていた気はするけど、今じゃなくても良いよね?

 俺は目の前の自称エルフさんを見ながら、何とも場違いな思考が頭の中で踊っていた。


「い……今じゃなきゃ駄目?」

 俺は誤魔化す様に脇に笑顔で控えている自称エルフさんに聞く。


「今でなくても可。期待はしてる。」

 自称エルフさんは言葉通り期待をした表情で俺にそう返す。

 どのような対応を行うかは分からないが多分俺とこの自称エルフさんは生活を共にして行く事となるだろう。

 そうでなければ数日中に心の死が訪れ自称エルフさんの生命活動すら危ぶまれる状態になってしまうからだ。

 死と云う事象が身近で感じる事が皆無な日本人として、その死の執行を目の前に突き付けられてそれを拒絶できるものは少ないだろう。

 保健所にペットを預ける為に連絡を行う人も居るがアレは死の執行を保健所側が感じさせない様に言葉上で誤魔化しているに過ぎない。

 保健所にペットを預けるとは即ち殺処分する為に引き渡す事に他ならないのだから……

 その事実をどれだけの人が理解した上でペットを保健所に預ける為に連絡しているのだろう。

 俺は目の前で笑顔を向けている自称エルフさんを見ながら思ってしまった。


「名前はそのうちって事で。そううでなく何か飲み物とかはいらないのか?」

 俺は自身の中で湧き上がってしまった不穏な思いを誤魔化すかの様に自称エルフさんに聞き返す。


「人類の飲食は分からない。故、大喜多(おきた)様にお任せする。」

 自称エルフさんはそう返すが、その返答に俺は引っ掛かる様な疑問を感じた。

 高山と部屋で話していた時、彼女は食事についての事も言っていたはずだ。

 なのに俺への返答はまるで飲食を行った事が無いような事を言っている。

 食事に関して今までどんな物を食べていたのか気になる所であるが、聞いたところで俺が理解できるとも思えないので後で掲示板にでも書き込むなりしておこうと自身を納得させる。

 俺はサンドイッチと缶コーヒーを自称エルフさんには適当に濃縮還元の林檎ジュースのペットボトルを選んで会計を済ませる。

 窓際のテーブルに陣取り、空いた小腹を落ち着かせる為にサンドイッチの封を切る。

 サンドイッチを摘みながらタブレットを取り出し、エルフ関連のスレッドに目を通す事にした。



─・─・─・─・─



【抽選に】我が家にエルフが来た【当たりました】


821:無名の名無しさん

 今日、俺の所にもエルフさんがやって来た!

 尚、死亡が確認されている場所とは全く無関係な場所。


824:無名の名無しさん

>>821

 今までで確認できているエルフちゃんの人数といっちが提示している人数との辻褄が合わないからエルフちゃん達が何人いるか聞いてくれ。



828:無名の名無しさん

>>824

 聞いてみた。

 全部で二十四人って返答が返って来た。



831:麻婆豆腐

 俺も気になったので我が家のエルフちゃんにも聞いてみた。

 我が家のエルフちゃんからは八人って回答。


>>828

 できればコテハンよろ。



833:無名の名無しさん

>>828、831

 824のところのエルフちゃんと麻婆豆腐エルフちゃんでは三倍も人数に開きがあるが、これ何か意味あるのか?

 いっちのところは十人って言ってるし、これ適当に答えているだけじゃないのか?

 ってか、麻婆豆腐エルフちゃんが言ってる人数が全てなら逝っちゃった人数だけで超えちゃってるよな……

 誰かこの謎を解いてクレメンス。



837:無名の名無しさん

>>833

 何人存在しているかは情報が足りないよな。

 エルフちゃんが嘘を言ってるとは思いたくないけど、全体でどれくらいの人数居るのか俺も知りたい。

 俺の所にもエルフちゃんが来るかもしれないと思うとたぎるよなw



840:無名の名無しさん

>>837

 その気持ち分かるぞ!

 俺だってエルフちゃんが来てくれるならパンツ脱いで正座待機して待つだろうしw



846:無名の名無しさん

>>833

 エルフちゃんの言ってる人数ってもしかして都道府県に存在する市の数と同数なんじゃないかと推理してみる。

 いっちは青森なのが本人の書き込みから判明しているが、青森に存在する市の数がエルフちゃんの言ってる人数と一致する。



851:無名の名無しさん

 エルフちゃんの話題まだまだ出そうなので次スレ立てておいた。


【辛いものは】我が家にエルフが来た 2人目【猛毒】

 https://www.*****.com/********/1532567194



853:無名の名無しさん

>>851

 スレ立て乙



856:828

>>846

 地図と照らし合わせて市の数を確認してみた。

 確かにウチに来たエルフちゃんが言ってる数と市の数は同数で一致する。



858:麻婆豆腐

>>828、846

 こっちも市の数と同数なのを確認。

 どうやらエルフちゃんは来た都道府県に存在する市の数と同数の人数が送り込まれているのは確定みたいだな。



863:無名の名無しさん

 都道府県に存在する市の数と同数のエルフちゃんだとすると、各市に一人ずつなのかその土地全体に対してその人数なのか物凄く気になるところ。

 俺の住んでる場所、町だからこの情報は重要。



867:無名の名無しさん

>>863

 それ以前にエルフちゃんのモニター募集に応募してるかの方が重要だろ。

 応募してなきゃエルフちゃんがおまいの所に来る訳が無い。



890:無名の名無しさん

>>867

 ……そうだったorz



894:無名の名無しさん

 これ近所で撮影したんだけどエルフちゃんだよな?

 ハイソックスだけの全裸エルフちゃんってだけでも充分インパクトあるんだが、なんで血だらけなんだ?

 とりあえず確認してくれ。

 http://www.*******.co.jp/*****/********.mov



897:無名の名無しさん

>>894

 撮影者に気付いて逃げ出すのは分かるが、赤いの人の血だよな……

 ってか、地面から民家の屋根にジャンプとか運動能力凄くね?


901:828改めハニワ

>>894

 エルフちゃんで間違いない。

 全裸ハイソックスで徘徊とか色々とヤバイだろ。

 どこで撮影したんだ?

 明かせる範囲内でよろ。



903:無名の名無しさん

>>828

 横浜某所。


─・─・─・─・─



 掲示板に貼ってあった動画を確認してみると俺の隣でペットボトルの扱いに困っている自称エルフさんと同じ姿の人物がほぼ全裸の状態で映っていた。

 右手は肘の近くま赤黒く染まっており、それが乾燥したであろう人の血であるのが映像でも確認出来る。

 振り返り撮影者の存在に気付くと数歩勢いをつけ二階建ての民家の屋根の上にジャンプし、そのまま屋根伝いに画面から消えて行く姿が収められていた。

 振り向いた際の顔にもまるで返り血を浴びたかのように乾いた人の血液が付着しており、全裸で表情を確認出来ないと云うギャップも手伝って不気味にすら感じる。

 タブレットから目を反らし隣でペットボトルの扱いに困っているエルフさんからキャップを外してやり、それを手渡してやる。

 自称エルフさんは満面の笑みを湛え、その中身を恐る恐るといった感じで口に運ぶ。

 一口ペットボトルの中身を口に含むと驚いたように目を開き、物凄い勢いでその中身を飲み干した。


「これ美味しい、もっと!」

 空になったペットボトルを掲げて自称エルフさんは俺に訴え掛けてくる。

 タブレット画面の中で見たエルフさんと隣でジューズをせがむエルフさんは顔の作りは同様ではあるが、そのあまりの違いに俺はどう対応して良いのか困惑するばかりだった。

 そんな困惑している俺の元へ高山が展望ロビーに現れる。

 他にも一緒にロビーに入って来た者達も居たが、その人達は俺以外のエルフさんの組みの元へ向かっていた。


「少々面倒な事件が発生しました。申し訳ありませんが、事件が落ち着くまで身柄を拘束させて頂きます。」

 険しい表情で高山は俺に告げた。


「どこかでエルフが殺人でも犯しましたか?」

 俺は先程の動画の件だろうと思い、カマを掛け高山に聞いてみる。

 すると高山は一瞬驚いたような表情を見せるが、それを悟られない様に表情を作るのだった。


「すでにそれらしい映像が先程掲示板にアップされたんですよ。」

 俺はつい先程確認したばかりの映像を高山に見せる。

 掲示板には横浜の某所としか書かれていなかったが、高山達はどこで事件が発生したのか言葉には出さないが把握しているようだった。


「参考人としての拘束だとは思いますが、コレに林檎ジュース買ってやるくらいは良いですよね?気に入ったようで催促されているんですよ。」

 高山に緊張を与えない様に俺はできるだけおどけた感じを出しつつそんな事を言う。

 隣で笑顔を向けている自称エルフさんは飲み終わったペットボトルを両手でしっかりと握り、次は?と云った感じで俺の事を見ていた。

 高山はそんな俺の申し出に毒気を抜かれたのか溜息をひとつ吐いてどうぞと売店まで一緒に来てくれた。

 参考人としてだろうがどれだけの時間拘束されるか判断が着かない。

 とりあえずクーラーボックスの中に残っていた林檎ジュースを五本購入する。


「さっきみたいに一気に飲むなよ」

 四本を肩掛け鞄の中に収め、一本をキャップを外して空のペットボトルと交換して自称エルフさんに渡してやる。

 するとエルフさんはそれを大事そうに抱えてちびちびとその中身を楽しむように飲みはじめた。


「きっと今日は帰れなくなるんですよね、仕事先に連絡して良いですか?それと話せる範囲で良いので仕事先に説明お願いできますか?自分派遣社員なんで、説明も無しに仕事に穴開けると先が無くなっちゃうんで……」

 自称エルフさんいペットボトルを渡した後、高山に尋ねる。

 高山はそんな俺の言葉に苦笑交じりに了解する。

 その後は仕事場と派遣会社に連絡を取り身柄が拘束された事を伝え、仕事先へは明日からの出張仕事に向かえない事も付け足した。

 派遣先の上司は俺に対して散々文句を言っていたが、高山に電話を変わると渋々といった感じで出張に向かえない事を認めるしか無かった。

 俺は精神が不安定になっている時にも派遣先には迷惑掛けているし、今度こそ派遣の契約を切られるだろうと溜息を吐く事しか出来なかった。

お読み下さり有難うございます。

作者モチベーション維持の為にも感想、御指摘等お待ちしております。

また不定期連載中の物語も宜しくお願い致します。


永遠なる大地の叙事詩

https://ncode.syosetu.com/n8703eb/


エデン ~偽りな僕らの理想郷~

https://ncode.syosetu.com/n4422ei/

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