↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/46

第46話(最終話) みんなに見守られて

 私とアレクシオ王子は、大聖堂の扉の前に立ちながら、その時が来るのを待っていた。やがて、扉が開くと、大歓声とともに大きな拍手が鳴り響いた。

 沢山の人の姿が見える。ミランダ王妃をはじめ、ミレーヌ聖女やネリ公国のファン王子の姿もあった。ファン王子の横にはロゼもいた。

 そういえば、つい先程、ファン王子たちが挨拶に来た時、ロゼがこんなことを聞いてきた。

「アンコロさん、今日は神父様の前でキスするんだよね」


「うん。そうだよ」


「でも、お姉ちゃんたち、もうそれ以上のことをしているのでしょ」


「……、本当のことを言うと、実はまだしてないの……」


「まだしてないの?」


「してないよ」


「だったら、これからもしないの?」


「……す、するよ」


「いつするの?」


 私は……、子供相手に何を話しているのだろうか……。そう思いながらも、ちゃんと答えてしまった。

「たぶんだけど……、今晩するよ」


「きゃっ!」

 ロゼは嬉しそうな悲鳴をあげた。

 ふと見ると、ゼノンが不服そうな顔で私を見ていた。まあ、出席してくれただけでもよしとしよう……。ゼノンはあれだけの美男子なんだから、きっと素敵な女性がたくさん現れるはず……。ゼノン……、たくさんの女性があなたのことを意識するだろうけど、幸せにする女性は、一人で充分なんだからね……。

 あと……。ゼノンの横には、もっと暗い顔をした男性が立っていた。忘れかけていたため一瞬誰だか分からなかったが、よく見るとアレクシオ王子の補佐官、シビルだと思い出した。シビルは唇を噛み締めながら、今にも泣き出しそうな辛い顔を私に向けていた。

 彼に対しては……。私から彼について何かを語るつもりはない。まあ、あるとすれば、「どうかイザベラには付きまとわないでください。そして、どうかあなたの妻と子供さんを大切にしてください」ということくらいだ……。

 そんなイザベラはシビルからかなり離れた席で私に笑顔を向けてくれている。相変わらずの美人さんだ。もしかして、ゼノンと合うのかも⋯⋯。

 そんなことを考えていると、大聖堂の鐘が鳴り始めた。


「さあ、行こう!」

 アレクシオ王子が優しく私に微笑みかけてきた。そして、右手のひらを伸ばすと、そっと私の頬に触れてきた。

「アメリア、私が今、一番怖いと感じていることは何だと思う?」


「さあ、何が怖いのでしょうか?」


「アメリアだよ」


「えっ? 私が怖い?」

 私が恐妻家にでもなると思っているのだろうか⋯⋯。こんな時に、正直ちょっと失礼な言葉だと思った。

 すると、アレクシオ王子はこう話を続けてきた。

「アメリアが怖いんだ。アメリアの美しさが怖いんだ」


「はい?」


「今のアメリアは、世界中の男すべてが、君に惚れてしまうほどの美しさだから⋯⋯。でも、そう考えるとライバルが多すぎて、怖くて仕方がない。こんなに美しいアメリアが他の男を好きになってしまうのではと思うと、怖くて仕方がないんだ」


 王子の言葉に、私は思わず笑ってしまった。

「大丈夫よ。私の推しはあなた一人だから」

 私はアレクシオ王子の腕に手を添えると、練習した通りに足を合わせながら、赤い絨毯の上を歩き始めた。

 私の左手の小指には、形見の指輪が輝いていた。

 この指輪は、大、大、大好きなお母さんから譲り受けた大切な指輪⋯⋯。

 そして、お母さんは今も私を守ってくれている。



(終わり)





最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。