どこに泊まるのだろう?
今日の予定が分からないって不安ですよね。
飛行機が駐機場へと誘導されて停まった。
搭乗口が開き、涼しい風が入ってくると気分がシャキッとする。
タラップを降りると、カネルが続き、客室乗務員もスーツケースを持って降りた。
目の前には黒いロールスロイスが待っており、俺が降りたことを確認した運転手がドアを開けてくれる。
「ようこそお越しくださいました。金剛寺様」
いや、俺がお願いしに来た立場なんだが……。
しまった! あの飛行機は普段誰が使っているのか聞くのを忘れてた、帰りに聞いてみよう。
客室乗務員によりスーツケースがトランクへと収まったのを視界の端で確認した。
高級車に気後れしながら後席に乗り込む。今回はカネルもスムーズに乗り込めた。
運転手が静かにスタートさせたが、俺は行き先を知らない。今日以降のスケジュールも知らないのだ。
予定が分からないことが若干不安になる。
「どちらへ向かっているのでしょうか? 今日の予定は……?」
「これから宿泊場所へとご案内いたします。今日はゆっくりと旅の疲れを癒していただき、明日、閣下との会談がセッティングされています」
会談って、カネルの相談に来ただけなのに……。何か大事になっていないか?
それに「宿泊場所」ってホテルではないのか?
「運転手さん、冷蔵庫の中のものを貰ってもいいですか?」
「はい、お好きなものをご自由にお召し上がりください。私はサトゥール・イカルーガと申します。サトゥールとお呼びください」
どんな乗り物でも乗りこなしそうな運転手さんだ……。
カネルに冷蔵庫から炭酸水を出してもらい、グラスへと注いでもらった。
カネルが嬉しそうにしている。機内では客室乗務員がサーブしてたので出番がなかったからな。
冷たい炭酸が気分をリフレッシュさせてくれる。
今日はどこに泊まるのか、落ち着かない……。
気が付くと何か見覚えがあるような風景が見えてきた。
高い塀が見えてきた。ここは……入るときに厳重なセキュリティがあったところだ。
うん? 今回はノーチェックで門をくぐったぞ?
守衛が45°の敬礼をしている。尻がムズムズするからやめてほしい。
前回この国に納品した際、後半に泊まった「ハイクラス」に案内されるとセカンデュー氏が待っていた。顔見知りがいて少し安心する。
(第1章エピソード4参照)
「老師! お久しぶりです! よくお越しくださいました」
いきなり、セカンデュー氏に両手を握られた。
「お久しぶりです、ダルマンの調子はどうですか?」
「いや~予想以上ですよ! 老師のおかげです」
「いえ、ダルマンの努力の成果であることも忘れないでください」
「勿論ですとも! 彼には十分な報奨金が支給されており、政府の要職にもついてもらっています。引退するまではトレーニングに専念してもらいますが」
ちょっと世間話をしたあとで「ハイクラス」へと案内してもらった。
「おかえりなさいませ、金剛寺様」
オーガ執事が出迎えてくれた。今回も27階の部屋に案内される。
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