籠の鳥……?
エピソードによって話の雰囲気が変わります。
早く落ち着いてくれるとよいのですが……
「こちらが皇皇子様がお過ごしになられるお屋敷となります」
五条院の説明が終わると大きな扉が自動で開き、車が進む。道の両脇には花壇があり、華やかな印象だ。自動で扉が閉まり、車はそのまま進む。正面の二階建ての洋館の車寄せで停まり、速やかに降りた侍女たちによってミコが降ろされる。
先頭を切って二人の侍女、続いて侍女に車椅子を押されるミコ、その後に五条院と俺が続く。
「ここはどんな施設なんですか?」
「金剛寺様に依頼したときから皇皇子様に相応しいお屋敷を探しておりました」
依頼を受けてから約二年、それでも探すのは大変だっただろう。元は何のために建てられた施設なのか?旧華族のお屋敷かなにかなのか、広い庭に手入れされた花壇、品の良い洋館だ。
「皇皇子様におかれましては、まずこの先の部屋で回復に努めていただきます」
車椅子が廊下を曲がった先の豪華な扉の前に着く。中にいた侍女が扉を開けると正面に大きな開祖の肖像画が飾られている。天蓋つきの大きなベッドがあり、立派なソファと豪華な装飾が施されたテーブルが鎮座し、高価そうな花瓶には綺麗な花が生けられている。
窓からは中庭と庭園が見える。日当たりも良さそうだ。
部屋を見ながら五条院と話している間にミコがベッドに寝かされる。
「ミコ様は滾る性欲がなんなのか理解できず、発散の仕方も分かりません。上手く対処してください」
「承知いたしました。まずは私が手ほどきして導かせていただきます」
体格の良い青年の欲求がどの程度の強さなのかわからないが、本能に刻み込まれたものだからキチンと処理しなければ大変なことになるだろう。そこは五条院の手腕にかかっている。
「それで、以前に納品した彼女たちはどのように過ごしていますか?」
「ほど近いところにある小さな孤児院で過ごしています」
「そちらも拝見できますか?」
「後ほどご案内させていただきます」
まずはミコが目覚めないと始まらないか……
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